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133. 産業教育手当(その6) [17.産業教育手当]

 前回のつづきで、産業教育手当に関し、超過勤務に着目した国会での議論を引用する。
<参議院文教委員会 昭32.5.18>
○衆議院議員(赤城宗徳君) (略)御承知の通り、私から申し上げるのは恐縮ですが、学校の教員には超過勤務手当も何もないわけであります。それは給与の中に含んでおるというようなことであるのでしょうけれども、ないわけであります。普通の授業をした上に朝にあるいは夜に、夕方に生徒を指導し、あるいは農村あるいは海の方に出て実習をする、そういうことに対して産業教育手当を出そうということであります…(略)

○政府委員(内藤譽三郎君) 私どもも産業教育振興法の第三条の趣旨に基きまして、農、工、商、水産等につきまし一応全部特別な措置が講ぜられることが望ましいという見解でございますが、事実上私どもが関係方面とも、特に大蔵省給与課及び人事院あるいは自治庁とも打ち合せした範囲では、なかなか農水と、工業については多小違うのじゃなかろうかと、ただいま赤城議員からお話のように、農水の場合には自然的な条件と、生きものを扱っておると、こういう点が非常に特色があるし、超過勤務的な要素が非常に多い、工業の場合になりますと、ある程度人為的に操作ができる面もありますので、この工業については、また非常に種類が多いし、十分な検討がされなかった。(略)

○衆議院議員(赤城宗徳君) 松永さんも御承知の通り給与の中には、超過勤務手当というものがあるのでありますが、学校教員の特殊性で、学校教員が相当一般にも超過勤務などをしまして時間的に何時から何時までということが非常に困難のために、教育職員に対しては超過勤務手当というものはない、こういうのが実情なんです。私から申し上げるまでもございません。そういうようなことでありまするから、ここに農業教員で免許状を持って実習を伴う者にだけ超過勤務手当をやるということになるというと、学校教員の給与の体系に影響もありはしないかということも一応考えられるのです。
 それからもう一つは、御説の通り超過勤務でいくべきだということも相当考えたのでございますが、職務の複雑さとか内容からいって、時間的にやることは非常にけっこうなんですが、技術的に非常に困難ではないか、困難でないといえばないかもしれませんが、非常に困難もあるのではないか、そういうことから考えまして超過勤務手当という方式をとらずに、新たに産業教育手当ということで待遇をはかっていこうじゃないかという考え方から、実は産業教育手当という新しい一項を、一つの手当の制度を設けたわけであります。実は御説のような研究も相当したのでありますが、結論的にはこれがいいのじゃないかということに落ちついたわけであります。

○衆議院議員(赤城宗徳君) 教員の給与体系の中には調整号俸が含まれておるというのは御承知の通りであります。そこで超過勤務でいくか、調整号俸でいくかということでありますが、これは実際を言いますと、調整号俸と超過勤務の、給与体系からいくとまた中ぐらいの産業教育手当というものを新設したわけなんであります。そこで超過勤務の方から考えると、先ほど初中局長もお話されましたように、産業教育振興法三条の三を見ますと、人材を吸収するという面と、それから特殊性という超過勤務の面と、二つの面がありますので、これは工業の面なども一応頭に入れておきましたので、超過勤務というよりもこういう新しい手当の制度を設けた方がいいじゃないか。これは調整号俸の意味合いもあるのでありますが、調整号俸ということで新たに調整号俸一号をつけるとか二号をつけるとか、こういうことが今人事院の給与体系からいきますると、特に調整号俸としてつけることは少くしております。そういう意味で、中間的な意味を持った産業教育振興法に基く産業教育手当、こういうふうな考え方からこういう手当をつけるということにいたしたのでありまして、御趣旨の気持はよくわかっているのでいろいろ研究しておるのであります。まあ繰り返して申し上げるようでありますが、結論がここへ来たということを申し上げる次第であります。

 超過勤務の議論から、調整号俸の議論になった。この調整号俸は、沿革的には後の俸給の調整額になっていくことになる。その点を踏まえると、以前このノートで引用した佐藤三樹太郎著『教職員の給与』(学陽書房)における次の記述とつながってくるのである。
 「したがって、この手当は、いわば特殊勤務手当の一種ともみられるが、その支給方法が、必ずしも勤務した一日または一時間を単位として支給されるものではなく、俸給の調整額と同様の算定方法がとられているので、見方によっては、俸給の調整額的な性格をもつものといえる。」


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いまじん

農水手当の設置に関して、農場協会が自民党議員を使って手当を作らせたのは間違いないこと。
確か日下とかいう農場協会の幹部の伝記にそのあたりの経緯が書かれていた。「炎の人」とかいう副題が付いただいぶ厚い書籍であった。
農業高校の校長室に行くと書棚に飾ってあったりする。
by いまじん (2007-09-08 20:46) 

速見卓

いまじんさん。残念ながら、その農場協会の書籍は今のところ入手できていません。チャンスがあれば、読んでみたいと思います。貴重な情報をありがとうございました。
by 速見卓 (2007-09-17 23:46) 

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