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433. 短時間労働者に対する健康保険等の適用縮小? [8.トピック]

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号)により、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が実施されることとなり、平成28年10月1日に施行されることとなっている。
 具体的には、同一事業主の適用事業所の厚生年金保険の被保険者数の合計が、1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる場合は、特定適用事業所として短時間労働者の適用拡大の対象となり、次の5つの要件を満たす短時間労働者については、新たに健康保険・厚生年金保険の被保険者となる、とのこと。
 このことだけを聞くと、「適用範囲が拡大されるんだ」と思うのだが、同様の施行日以降、被保険者資格の取得基準が法律上明確化されることから、昭和55年の内かんに基づく、ぼやっとした取扱いは廃止されることになったようだ。そのため、新基準との間にスキマが生まれ、旧基準であれば被保険者の資格が取得できた者が、今後は取得できないケースがでてくるのだ。つまり、この点に限って言えば、「適用縮小」なのである。(平成28年5月13日付け保保発0513第2号厚生労働省保険局保険課長通知参照)

 被保険者資格取得の基準変更の内容は、
① 「1日または1週の所定労働時間および1月の所定労働日数がおおむね4分の3以上」を「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が4分の3以上」に改正
② 「被保険者として取り扱うことが適当な場合は、総合的に勘案し、被保険者の適用を判断すること」との取扱いを廃止
というものである。
 そうなると、以前このノートの「410.「コマ給」をどう捉えるか(その3)」で取り上げたような、例えば、ある自治体では週27時間勤務でも資格取得できないが、別の自治体では週24時間でも資格取得できるといったややこしい事態は起きないことになるのだが、しかし、これによって、今後は、一般の公務員が週38時間45分勤務であるとすると、勤務時間が週29時間3分45秒未満の非常勤職員については、継続して1年以上使用されることが見込まれることなど5要件を満たさない場合、一律資格取得できないことになる。

 「被保険者資格の取得基準が法律上明確化された」とのことなので、法律を引用しておく。

○公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律

第三条 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項の次に次の一号を加える。
五 事業所に使用される者であつて、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二条に規定する通常の労働者(以下この号において「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である同条に規定する短時間労働者(以下この号において「短時間労働者」という。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
 イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
 ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
 ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
 ニ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。

第二十五条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項の次に次の一号を加える。
九 事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二条に規定する通常の労働者(以下この号において「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である同条に規定する短時間労働者(以下この号において「短時間労働者」という。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
 イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
 ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
 ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第四十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
 ニ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。


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