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488. 連邦公務員制度=人事院月報第75号 [49.「人事院月報」拾い読み]

 佐藤達夫の「憲法回想」を掲載する「人事院月報第75号」は、次に「米国における連邦公務員制度」の報告を掲載している。筆者は、宮崎隆夫・管理局法制課。

  まえがき
連邦公務員制度は、当初、スポイルズシステム-公務への情実任用に対するアンチテーゼとして発足した。
 官職を猟官者の独占から防衛し、公正な手続きにより選択される適格者を以て公務を遂行せしめんとの意図により連邦公務にいわゆる成績制度が採用されたのは1883年である。この年、現行の公務員法が制定され、その結果、政府全官職の約1割、すなわち約14,000の官職については試験によつて在職者を決定するという措置がとられたのである。同法は同時に人事委員会を設置し、この試験任用に関する業務を担当せしめたのである。
 この試験任用を行う官職の範囲は当初は単純な書記的事務に従事するものだけに限られていたのであるが、公務の複雑化技術化という事態に応え、或いは公務の政治的中立性を確保するために相次いで拡大され、今日では、全連邦政府官職の約85%、すなわち約200万の官職が競争試験合格すること等の就任についての一定の資格を要する官職とされるにいたつている。他の残余の官職は政治的に自由任用を行う次官補程度以上の高級の官職、或いは法令により任用、給与等について人事委員会の所管外に置かれているものである。前者を競争官職といい、後者を除外官職といつている。
 扨て、競争官職に属する連邦公務員のうち、約半数約100万のいわゆるwhiteカラー職員のための任用制度は、今日においては、官職分類制度(職階制)を基礎として運用されているということができる。この分類制度は、当初、任用制度とは別個の、「同等の職務には同等の給与を」という理念よりして官職を分類することに発したものであり、いわば、給与政策上の措置として生じたものである。而して、この職務の同等性ということは、職務内容、責任の度合、必要な最低資格等がその主たる要素になるのであり、これらの要素はとりもなおさず個々の官職の就任希望者に対する的確性を判定するに際しての主要な要素にもなる訳であるからしてこれはやがて職員の採用、昇任、降任、転任、配置換等、個々の官職のために職員を任用するに際しての重要な基礎を提供するものであると考えられるにいたつたのである。
 すなわち、連邦公務員制度は、官職分類制度を基礎とする任用制度を軸として、展開していると見るのが便利であろう。なぜならば給与制度、能率制度或いは退職年金制度等はいずれも畢竟するに個々の官職にすぐれた職員を発見し、これにキャリーヤの権利を保障することを目的としているのもであつて、任用制度の十全の運用を助ける重要な支柱となつているからである。
 本稿は、主として、これら諸制度の統一的運用を行うに当つて責を負う合衆国人事委員会の組織、権限、分類、任用、給与、等の人事行政上の基本的な諸制度につきその実際の概要を紹介するものである。

 (中略)

  給与制度
 連邦政府職員のための給与制度はその対象となる職員が1949年分類法(職階制)の適用を受けるホワイトカラー職員であるか、その給与額を各省庁に設置されている賃金委員会が市場賃率に従つて決定するいわゆるブルーカラー職員、(1955年現在約73万人)であるか、その給与額が郵政職員給与法によつて定められている郵政現業職員(1955年現在約43万人)であるか、そのいずれであるかによつてその形式、内容を異にするが、職階制の適用を受ける一般事務職員ための給与制度についてのみここでは触れることにする。
1.基本俸給額
 一般職の基本俸給額は附表2に示す通りである。
(イ) 初任給-中学卒業程度の者の初任給は1級1号、高校1年修了程度の者の初任給は2級1号、2年修了程度の者は3級1号、高校卒業程度の者は4級1号、大学卒程度の者の初任給は5級1号と定められている。但し近時技術官職等充足の困難な官職にあつては、初任給についての特例を設けている。
(ロ) 昇給-昇給は、10級までの官職にある者にあつては勤務期間52週を経れば1号俸直近上位の号俸に、11級以上の官職に在る者にあつては、勤務期間78週を経れば1号俸直近上位の号俸に昇給することができるのであるが、その都度勤務評定の結果が良好でなければならぬこと勿論である。
(ハ) 枠外昇給-この国においても枠外昇給の制度が設けられている。枠外昇給を行いうる条件は、当該職員の在職期間が10年以上であること、勤務期間3年につき当該等級における1号俸相当額を昇給すること、当該等級における通算4回以上の枠外昇給は認めないこと、勤務成績が良好であること等が定められている。但し16級以上の官職に在職する者については枠外昇給は認められていない。
2.手当 
 手当には夜間勤務手当、休日勤務手当、准州勤務手当、生計費手当(我国のへき地手当に類する)等の諸制度が存在するが我国の扶養手当制度に類する制度は存在しない。
 なお、勤務時間は1週40時間、1週5日間が勤務を要する日と定められ一般には土曜日は休日となっている。

 (後略)

 給与制度についての記述のある頁の前の頁に附表2が掲載されている。タイトルは「一般職員基本俸給額(1956年7月の改正を含む)」である。
 縦軸は俸給年額で、2,000ドルから1,000ドル刻みで16,000ドルまで示されている。横軸は号俸で、ⅠからⅦまでと、括弧付きでⅧからⅩまで書かれている。このグラフに、GS-1からGS-18までの俸給額が示され、GS-17までは実線の直線で描かれ、枠外昇給は点線で描かれている。
 GS-1は、中学卒業程度の初任給であるⅠ号俸2,690ドル~Ⅶ号俸3,200ドル。GS-5から傾斜が少しきつくなり、大学卒程度の初任給であるⅠ号俸3,670ドル~Ⅶ号俸4,480ドル。GS-11からさらに傾斜がつき、Ⅰ号俸6,390ドル~Ⅵ号俸7,465ドル。GS-18は、シングルレートの16,000円。
 分類制度についての説明を読むと、例えば人事管理職種では、人事補佐官は7~10級、人事専門官は11~12級、管理官は13から15級、心理学研究官は11から15級となっている。また、専門職能を助ける書記職員は1~4級、初給管理補佐官などは5~6級で大学職員程度の職員が就く。人事委員会事務局長は、18級とのこと。

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