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489. 高学歴教育職員の俸給の調整=人事院月報第75号 [49.「人事院月報」拾い読み]

 今回も「人事院月報第75号」(昭和32年5月1日発行)から取り上げたい。

 高学歴教育職員の俸給の調整
 -指令9-7とその運用方針-

 人事院は、昨年末施行された「一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(昭和31年法律第176号)の実施について、3月28日指令指令9-7を発し、4月5日その運用方針を通知した。
 その内容は、高等学校、中学校、小学校、幼稚園、盲学校またはろう学校の教育職員のうち、旧高等教員免許状を有する者、旧制大学を卒業した者または大学院を修了した者の俸給月額を2号俸の範囲内で調整することとし、旧中等教員もしくは実業教員免許状を有する者、これらの免許状を無試験検定により授与し得る学校もしくはこれに相当する学校を卒業した者または新制大学を卒業した者の俸給月額を1号俸の範囲内で調整することとしたものである。
 この指令の調整は、短大卒の初任給(現行19号俸)を基礎として一般的に修学年数1年を給与上1.5年差と評価するよう新大卒および旧大卒の初任給を改訂することとし、現に在職する職員についてもこの改訂された初任給格差に相当する給与格差が維持されうるよう考えられたもので具体的には次のように措置することとした。
1.旧大卒者(旧高免所有者を含む。)のうち36号俸以下(6月昇給期間)の者は2号俸、37号俸以上61号俸以下(9月昇給期間)の者は1号俸と3月の昇給期間の短縮、62号俸以上(12月昇給期間)の者は1号俸の調整を行うこととした。
2.新大卒者(旧中免所有者を含む。)のうち37号俸以下(6月昇給期間)の者は1号俸の調整を、38号俸以上(9月または12月昇給期間)の者は6月の昇給期間の短縮を行うこととした。
3.初任給を新大卒については1号俸、旧大卒については2号俸引き上げ、職員の経験年数に応じて昇給昇格を行つた場合に求められる俸給月額を、施行日の前日に於けるその職員の俸給月額が、すでにこえているときは調整の際に考えられた所要の格差があるので調整はできないものとした。
(以下に掲載の人事院指令9-7及び運用方針の全文は省略)

 この高学歴教育職員の俸給の調整に関して、佐藤三樹太郎『教職員の給与』(学陽書房、昭和52年9月1日新版第2刷発行)は次のように記述している。

 六 高学歴者の給与是正
 昭和三一年末に給与法が改正され、同三二年三月三一日付をもって施行された。これがいわゆる高学歴者の給与是正法と呼ばれる法改正であり、教職員だけを対象として実施されたものである。
 この高学歴是正というのは、学歴における修学年数一年の差を教員経歴一年半の差とみて、これまでの一対一を一対一・五に改めることにより、短大卒を基準とした場合、新大卒については一号俸、旧大卒については二号俸高くするというものであった。
 このため、新卒者の給与についても、新たに初任給を引き上げることとされたが、これは次に述べる新給与制度において考慮されることとなった。
 これによって当時、高等学校職員、中・小学校職員を通じて、旧制専門学校、旧制大学、新制大学の卒業者のほぼ全員にわたって一号俸ないし二号俸の昇給が行われることとなった。
 この措置は単に高等学校以下の教職員にとどまらず、大学の教職員をはじめ全公務員についても及ぼされるべきはずのものであったが、財政上の都合その他の理由により、結局高等学校以下の教職員だけについて行われたものであり、このことにより高等学校以下の教職員の給与がさらに有利になったことは事実である。(29頁)

 具体的にいかなる範囲の職員に対して、どのような方法によって実施されたのかについては、「給与の高学歴是正はどのように行われたか」との項を設定し、38頁から42頁にわたって詳しく解説している。

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