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495. 神戸・給与差し止め条例施行 [8.トピック]

 神戸市立東須磨小学校の教員4人が若手教員に暴行や暴言、セクハラを繰り返し行っていた問題を受けて、職員を分限休職処分にした上で給与を差し止められる改正条例が成立し、施行されるとの報道があった。

○神戸新聞NEXT
給与差し止め条例改正案が可決、成立 神戸・教員間暴行問題
2019/10/29 12:03

 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題を受け、職員を「分限休職処分」にした上で給与を差し止められる条例改正案が29日、市会本会議で起立多数で可決、成立した。市は30日にも改正条例を公布、施行する方針。施行を受け、市教育委員会が加害教員4人の分限休職処分の手続きを進める。
 条例改正では、職員が重大な「非違(非法・違法)行為」を犯し、起訴される恐れがあり、職務を続けさせると公務に大きな支障が生じるようなケースを、新たに分限休職処分の対象に加える。
 今回の問題で「自宅謹慎」の代わりに有給休暇を取らせている加害教員4人を念頭に、市が28日、条例改正案を提案。審議付託された同日の総務財政常任委員会では、「恣意的な運用につながる恐れがある」などと懸念する声が議員から相次いだが、4時間余りの議論の結果、賛成多数で原案通り可決された。
 29日の本会議でも、同委員会の報告に対し、一部会派の議員が「恣意的な運用を防ぐ担保の根拠がない。恒久的な条例としては問題が多すぎる」などとして反対意見を表明したが、賛成多数で可決・成立した。
 本会議では、職員の処分の際、弁護士らによる分限懲戒審査会への諮問や、弁明の機会を確保するなどの公務員の身分保障を担保する規則や規定を求める付帯決議案が公明会派から提出され、賛成多数で可決された。(石沢菜々子)
【東須磨小教員間暴行・暴言問題】神戸市立東須磨小の30~40代の教員4人が、20代の若手教員4人に暴行や暴言、セクハラを繰り返していたことが神戸新聞の報道で発覚。被害教員の一人は療養を余儀なくされ、須磨署に被害届を出した。市教育委員会は10月1日から加害教員4人を有給休暇扱いで業務から外し、代わりの教員を配置。弁護士3人による調査委員会の結果が年内にもまとまる見通しだが、市教委は事実認定をした範囲で処分の前倒しも検討している。


 成立した条例改正案の議案を確認しておく。

第95号議案
職員の分限及び懲戒に関する条例等の一部を改正する条例の件
 職員の分限及び懲戒に関する条例等の一部を改正する条例を次のように制定する。
 令和元年10月28日提出  神戸市長 久元喜造
職員の分限及び懲戒に関する条例等の一部を改正する条例
(職員の分限及び懲戒に関する条例の一部改正)
第1条 職員の分限及び懲戒に関する条例(昭和27年2月条例第8号)の一部を次のように改正する。
  第2条に次の1号を加える。
   (3) 重大な非違行為があり,起訴されるおそれがあると認められる職員であつて,当該職員が引き続き職務に従事することにより,公務の円滑な遂行に重大な支障が生じるおそれがある場合
  第4条第2項中「第5項」を「第6項」に改め,同条中第7項を第8項とし,第6項を第7項とし,同条第5項中「第2項」の次に「,第4項」を加え,同項を同条第6項とし,同条第4項の次に次の1項を加える。
 5 第2条第3号の規定に該当する場合における休職の期間は,同号の事由が消滅するまでの間とする。
 附則第5項中「第4条第5項」を「第4条第6項」に,「「第5項」とあるのは「 第5項又は兵庫県分限条例」」を「「第6項」とあるのは「第6項又は兵庫県分限条例」」に改める 。
 (職員の給与に関する条例の一部改正)
第2条 神戸市職員の給与に関する条例(昭和26年3月条例第8号)の一部を次のように改正する。
  第21条第4項中「法第28条第2項第2号」の次に「又は職員の分限及び懲戒に関する条例(昭和27年2月条例第8号)第2条第3号」を加え,「支給することができる。」を「支給し,又は支給しないことができる。」に改め,同条第5項中「(昭和27年2月条例第8号)第2条各号」を「第2条第1号又は第2号」に改める。
 (職員退職手当金条例の一部改正)
第3条 神戸市職員退職手当金条例(昭和24年9月条例第147号)の一部を次のように改正する。
  第7条第4項第1号中「第2条に規定する休職」を「第2条第1号又は第2号の規定に該当する場合における休職」に改め,同項第2号中「その他これに準ずる事由」の次に「又は職員の分限及び懲戒に関する条例第2条第3号の規定に該当する場合における休職」を加える。
  附 則
 (施行期日)
 1 この条例は,公布の日から施行する。
 (略)

    理 由
 重大な非違行為があり,起訴されるおそれがあると認められる職員であって,当該職員が引き続き職務に従事することにより,公務の円滑な遂行に重大な支障が生じるおそれがある場合に分限休職処分する等に当たり,条例を改正する必要があるため。


 地方公務員法の関係規定を確認しておく。

(分限及び懲戒の基準)
第二十七条 すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない。
2 職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、若しくは免職されず、この法律又は条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して、休職されず、又、条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して降給されることがない。
3 職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない。
(降任、免職、休職等)
第二十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
 一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
 二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
 三 前二号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合
 四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
2 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。
 一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
 二 刑事事件に関し起訴された場合
3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。
4 職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う。
(懲戒)
第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
 一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
 二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
 三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
2~3 (略)
4 職員の懲戒の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。


 自宅謹慎を命じただけでは、民間企業の場合と同様、給与を支払わなければ労基法に違反する。懲戒するにも分限するにも、必要な手続きを踏み、事実を認定した上で、処分の量定を判断することとなり、免職ともなれば極めて慎重に行わなければならない。粗っぽくやれば、裁判で負けるかもしれない。そこで、地公法28条2項2号の「刑事事件に関し起訴された場合」に準ずるものとして、「重大な非違行為があり,起訴されるおそれがあると認められる職員であつて,当該職員が引き続き職務に従事することにより,公務の円滑な遂行に重大な支障が生じるおそれがある場合」を休職事由として条例で定めたということか。なある…。


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