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498. 俸給の調整額を改正=人事院月報第79号 [49.「人事院月報」拾い読み]

 人事院月報第79号(昭和32年9月1日発行)は、石炭手当の増額などを取り上げた記事の次に、俸給の調整額の改正について解説している。

  俸給の調整額を改正
  その要旨と規則・指令・通達

 今回の給与法改正にともなう制度改正の一環として、去る8月1日俸給の調整額に関する規則9-6が全部改正され4月1日から適用されることになった。この改正は原則として従来の調整額の水準を維持することを目途としているが、なお改正の主要点はつぎの4点である。
 1 新俸給表における間差額が昇給期間の延伸等にともなつて増額したため、従来の号俸制による差額方式では実情に即さない点があるので、従来の調整額の俸給月額に対する割合を考慮し、現に受ける俸給月額に調整基本額の4%を乗じ、これに調整額表の調整数を乗じて得た額を調整額とするいわゆる定率制に改められたこと。
 2 俸給表の改正にともない水準差のある俸給表から水準差のない俸給表へ適用替えとなる職員、規則9-8(初任給、昇格、昇給等の基準)の改正にともない従来認められていた資格基準等の有利性を失うこととなる職員等について新たに調整額表を適用し、もしくは調整する割合を改め、または適用しないこととされたこと。
 3 制度の改正にともない例外的に従来の調整額を下回ることとなる職員が生ずるので、これについては、給与法改正の際の国会における附帯決議もあり、人事管理上も適当でないので、調整額の中において現給を保障する措置を講じたこと。
 4 改正前の9-8第27条により調整号俸を適用されていた特殊職員については、なお当分の間、従来の利益を存続することを適当と認め、32年指令9-144(特殊職員の俸給の調整額について)により給与法第10条の規定に基づく調整額の一種とされたこと。 
 なお、第2に挙げた調整額表の適用範囲関係について、若干の説明をすれば、以下のとおりである。
 (略)
 (4) 盲学校およびろう学校の教員は、改正前の細則9-8-2(初任給、昇格、昇給等の実施細則)の規定によつて必要経験年数を一年ずつ短縮されていたが、同規定が俸給表の改正に伴い廃止されたので、旧1号俸に相当するものを新たに調整額に加算することとされた。
 (略)


 このときの事情について、『公務員給与法精義』(全訂版。昭和62年)は次のとおり解説する。

 しかして、このようにして発足した俸給の調整額の制度であるが、昭和三十二年の給与制度の改正(八等級制への改正)は、二つの点で、この制度にも大きな変更をもたらすところとなつた。一つは調整方法の変更であり、一つは適用範囲の変更である。このうちの前者は、当該改正によって俸給表の構成が基本的に改められ、従来のいわゆる通し号俸制が廃止されたことに伴うもので、このことによって従来の号俸の上積み方式の調整が事実上困難となり、調整の方法としては俸給月額の四%を単位とする方式が採用された。なおこの方式は、俸給月額の四%がほぼ従来の一号俸に相当し、従来とられていた号俸を単位とする調整方式との均衡上も、このような調整が適当とされたものである…(以下、略)


 なお、盲学校およびろう学校の教員について説明にある「旧1号俸」については、宮地茂監修・教員給与研究会編著『教育職員の給与特別措置法解説』の第一部「序論」の第一章「昭和23年の給与切替から昭和39年の人事院報告に至るまで」の記述が参考になる。



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