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521. 中学校非常勤講師に未払い残業代を支払い [8.トピック]

 中日新聞が11月4日に、次のように報じた。

中学校非常勤講師に未払い支給へ 名古屋市教委、申告5講師の残業代
2020年11月14日 05時00分 (11月14日 05時01分更新)

名古屋市立中学校の非常勤講師四人が市教委に残業代の支払いを求めて労働基準監督署に申告し、市教委と各勤務校が是正勧告を受けた問題で、市教委は、中学校長に勤務時間を申告した別の非常勤講師一人を加えた計五人に対し、計約百三十万円の未払い賃金があると認め、支払うと決めた。小中学校の非常勤講師に未払い賃金が支払われるのは全国的にも珍しい。 (福沢英里)
 同市の小、中、特別支援学校で働く非常勤講師は約千四百人。同様に未払い賃金があれば影響は大きいとみられるが、今回の五人以外への対応について市教委は「申し出がないため、調査はしない」としている。
 五人の未払い賃金の対象は昨年四月〜今年三月。各校の校長が十月までに本人に聞き取りをし、勤務記録などを調査。市教委は授業準備やテストの作問、提出物の点検などを「業務命令による勤務」と認め「各校で適切な勤務時間管理ができていなかった」とした。二カ月以内に支払う予定。
 四人は「規定の授業以外の授業準備など業務分の給与が支払われていない」と主張し、昨年十一月、名古屋南、東、西の各労基署に申告。労基署は今年二〜三月、市教委と各校に是正勧告書と指導票を交付した。仕事の...
https://www.chunichi.co.jp/article/153998

 続いて、東海テレビのネット記事

正規の教員には支給なく異例の決定…非常勤講師5人に未払いの残業代計130万円支払いへ 名古屋市教委
2020年11月14日 土曜 午後1:26

名古屋市教育員会は、市立中学校の非常勤講師5人に対し、未払いだった残業代合わせておよそ130万円の支払いを決めました。
 市教委によりますと、名古屋市立中学校の非常勤講師4人は去年11月、所定の勤務時間を超えて授業準備などをした分の給与の支払いを求めて労働基準監督署に申告し、市教委と各学校が是正勧告を受けていました。
 市教委は、校長に勤務時間の申告をした別の非常勤講師1人も加えて聞き取り調査などを行い、昨年度の残業代合わせておよそ130万円の支払いを決め、11月12日に労基署に報告しました。
 正規の教員は特別措置法で残業代が支給されず、同様に教壇に立つ非常勤講師に残業代を支払うのは異例だということです。
 市教委は5人の非常勤講師に対し、できるだけ速やかに支給するほか、他の非常勤講師からも申告があれば調査するとしています。
 また労基署からの指導を受け、各学校では現在勤務時間の実態を把握するための確認簿を作成しています。
https://www.fnn.jp/articles/-/107642

 この問題はこれからも起こりうるように思う。しかし、取り上げた記事の残業代は、会計年度任用職員制度が導入される以前のものであり、令和2年4月以降は非常勤講師は一般職の位置づけとなって労働基準監督署の守備範囲ではなくなる。さて、各県の人事委員会は厳しく対応するのだろうか。



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520. 教員新型コロナ業務手当 [8.トピック]

 「教員 コロナ 手当」で年と検索をすると、京都市教育委員会が教員に対してこんな手当を支給する方針を明らかにしたことを報じる京都新聞のネット記事に出くわした。

コロナ感染者が出て長時間勤務…教員に手当を支給 京都市教委、制度創設後初めて適用
2020年11月11日 19:55

 京都市教育委員会は11日、市立学校・幼稚園で新型コロナウイルス感染者が出て保護者対応などで長時間勤務が生じた教員に、手当を支給する方針を明らかにした。市内では児童生徒や教員の感染が相次いでおり、校長会が要望していた。
 市教委によると、手当の対象となる業務は保護者への連絡や疫学調査への協力など。管理職を含む教員が所定の勤務時間に加え4時間程度以上業務に当たった場合、1日当たり3750円が支給される。休日出勤など8時間程度以上の場合は同7500円。
 来週中にも方針について全校・園に通知する予定。その後、対象者には6月以降の業務にさかのぼって支給する。
 教員は教職員給与特別措置法(給特法)に基づき本給の4%に相当する教職員調整額が一律で支給されているため、時間外手当はない。そのため今回のコロナ禍の対応業務は「特に疲労度や困難度の加わる勤務、その他特異な勤務」に支給される「特異性手当」として、制度の創設後初めて適用することを決めた。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/410583

 教職調整額が支給される教員にもに支給される教員特殊業務手当で柔軟に対応しようという話かと思ったが、記事を読んでいくと最後の方に「今回のコロナ禍の対応業務は「特に疲労度や困難度の加わる勤務、その他特異な勤務」に支給される「特異性手当」として、制度の創設後初めて適用する」とある。うん?「特異性手当」とは、いったいどんな手当なのか…。京都市の例規集で確認してみた。

○京都市教職員の給与,勤務時間等に関する条例(平成28年条例第37号)
(特殊勤務手当)
第16条 特殊勤務手当の種類及び額は,別表第5のとおりとする。
2 特殊勤務手当は,月1回又は3月に1回,別に定める日に支給するものとする。
3 前2項に定めるもののほか,特殊勤務手当について必要な事項は,別に定める。
別表第5(第16条関係)
特殊勤務手当の種類及び額
 (表は省略)

 この別表第5(特殊勤務手当の種類及び額)の1番目の項目に「特異性手当」が掲げられ、教員特殊業務手当は2番目の項目として掲げられている。「特異性手当」の支給要件及び額については次のとおり書かれている。

「特に疲労度又は困難度の加わる勤務その他特異な勤務に従事した教職員に対して,給料月額の100分の20以内において支給することができる。」

 う~む。何だこの手当は?支給対象者も業務の特殊性を示す具体的な業務内容も明示されず、余りに漠然としており、支給額も「給料月額の100分の20以内」となっている。まるで給料の調整額にかかわる規定を見るようである。
 この規定を根拠にして、教員特殊業務手当のような手当を支給しようと考えているらしい。しかし、ということは、今回のコロナ禍で長時間にわたる時間外勤務や休日勤務をせざるを得ないときには、教員特殊業務手当では対応できないと京都市教委は判断したということなのだろう。新聞記事によれば、京都市教委が想定している対象業務は「保護者への連絡や疫学調査への協力など」とされているから、教員特殊業務手当の対象業務である「児童生徒の保護業務」や「児童生徒の救急業務」などではなかなか読み難いということなのだろうか。(阪神淡路大震災の際に柔軟に解釈した例もあるが…)
 それに、教員特殊業務手当は日中8時間程度であり、4時間程度でも支給する点も考慮したということだろうか。
 経験したことのない精神的にも負担を強いられる状況下で業務に従事しなければならない教員にとっては朗報ではないかと思うが、いずれにしても、おそらく全国に例のないような文字通り「特異」な手当の感じではある。



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