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28. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その12) [2.特2級創設と給料表一本化]

 神奈川モデルの二つめの工夫は、号俸延長である。
 <神奈川モデルの号俸延長効果 教職調整額・3級加算額を含むベース>
  全人連モデルの最高到達水準     神奈川県モデルの最高到達水準
  教(二)1 348,504円          →1-165(+12)351,936円
  教(三)2 433,160円(+84,656円)→2-185(+36)454,168円(+102,232円)
  教(二)2 445,224円(+12,064円)→3-137(+24)463,840円(+ 9,672円)
  教(三)3 445,600円(+   376円)→4-121(+12)463,800円(-   40円)
  教(三)4 463,000円(+17,700円)→5- 57(+12)481,000円(+ 17,200円)
 どうしたことか。最高到達水準における級間格差は縮まっているではないか。しかも、逆転している。従前から採用していた号給延長を引きずった結果なのであろうか…。これでは、せっかく昇格メリットを大きくし、級間のスキマを広げた効果が大幅に減殺されることにはならないのだろうか。制度的に確かめるためには、延長後の制度年数が何年になるのか、それが昇給半減でどうなるか、更に運用実態はどうなるのかなどの観点から検証してみないと単純にそうだとは言えないであろうが…。ただ、逆転防止措置だけは講じているようである。すなわち、一本化後の教育職給料表の備考に次のように規定している。
 「この表の適用を受ける職員のうち、その職務の級が4級である職員の給料月額は、この表の額に7,500円(人事委員会規則で定める職員にあつては、この表の4級の給料月額とこれに対応する3級の給料月額に100分の104を乗じて得た額との差額を基準として人事委員会規則で定める額)をそれぞれ加算した額とする。」

 公務員の給与は、官職(職)の職務と責任に応じたものでなければならなかった(国公法第62条第1項、地公法第24条第1項)。また、本来、俸給表は、等級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならないものであった(国公法第64条第2項、地公法第25条第5項)。ここから導き出される典型的な俸給表は、一定の俸給額の幅を有する各等級の俸給水準について重なりが少なく、かつ、下位の等級から上位の等級までバランスよく並んでいる姿であろう。神奈川県モデルの最高到達水準を見る限り、職務給とも呼ばれる典型的な俸給表の姿からはほど遠いと言わなければならない。


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27. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その11) [2.特2級創設と給料表一本化]

 この課題を神奈川モデルはどのようにして解決しようとしたのだろうか。
 この点の一つは既に言及しているように、3級=新2級昇格時から1号上位昇格制度の効果を盛り込んだ一定額加算昇格制度としたことであろう。具体的には、4級=旧3級1号給への昇格ポイントは、これに対応する全人連モデル教(三)3級1号俸の昇格ポイントより4号俸(旧1号俸)分早くなっている。これを金額ベースで概観すると次のようになる。
 <神奈川モデルの昇格メリット>
  全人連モデル教(三)
   昇格前2-49 275,200円(286,208円)
   昇格後3-1  286,100円(293,600円) 昇格メリット 10,900円(7,392円)
  神奈川モデル
   昇格前2-49 275,200円(286,208円)
   昇格後3-13 285,900円(297,336円)
   昇格後4-5  298,400円(305,900円) 昇格メリット 23,200円(19,692円)
  ※( )は教職調整額・3級加算額を含むベース
 2級=教(三)2級と4級=教(三)3級の間に、3級=新2級として教(二)2級を割り込ませるために、一定額加算昇格制度を活用して級間のスキマを広げたのである。実質、4級=教(三)3級の水準を1号俸分引き上げた結果となっている。昇格メリットとしては、この程度のメリットが確保できれば、まあ遜色ないものとなっているのではないかと思う。


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26. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その10) [2.特2級創設と給料表一本化]

 特2級などの新たな級を設けたいのならば、同時に3級・4級の給料水準を引き上げるか、2級の給料水準を引き下げなければ、給料構造上の問題を残すことを指摘した。ただ、教育職員の場合には、義務教育等教員特別手当の支給があるため、沿革的な事情からすればこの手当を加算した水準で検証すべきなのかもしれない。国モデルの最高到達号俸で比較すれば、2級は17,600円、3級は19,100円であり、その差は1,500円あるから、考慮すべきかもしれないが、ここでは問題を単純にするため、一応省略しておきたい。

 さて、ここで、くどいようだが、新2級創設に際して、神奈川県で教育職給料表を一本化するに当たって工夫された点についてもう少し考察しておきたい。
 全人連が作成した旧教育職俸給表参考モデルをそのまま使って、神奈川方式により教(二)と教(三)を統合するとなると、どうなるであろうか。
 <全人連モデルを使った統合案>
  職務の級  最高到達号俸 俸給月額  教職調整額・3級加算額を含む額
    1級   教(二)1-153 335,100円   348,504円
    2級   教(三)2-149 416,500円   433,160円(1級+84,656円)
    3級   教(二)2-137 428,100円   445,224円(2級+12,064円)
    4級   教(三)3- 93  438,100円   445,600円(3級+ 376円)
    5級   教(三)4- 37  463,000円   463,000円(4級+17,700円)
 誰が見ても分かるように、問題となるのは、3級=教(二)2級と4級=教(三)3級の俸給水準であろう。これでは、昇格してもメリットがないのも同然である。詳細に見ていけば逆転もする。昇格時の加算額を高くすることで教(二)2級の俸給曲線と教(三)3級の俸給曲線の間を広げたとしても、本俸的給与の最高到達水準が同じであれば、給与制度上メリハリをつけたことにはならないとの疑問がでてもおかしくないのではないかと思うのだが…。


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25. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その9) [2.特2級創設と給料表一本化]

 1号上位昇格制度を加味した昇格メリットを見ても、東京都が特2級を導入した時点の俸給表ベースで、教(二)は平均で20,586円、教(三)は平均で18,196円となっているが、教職調整額と3級加算額をそれぞれ加算した本俸ベースで見ると、教(二)は平均で13,129円、教(三)は平均で11,344円に縮小されてしまう。東京都の特2級を見たときにも指摘したが、行(一)の昇格メリットについては、5級が平均10,600円、6級が平均17,300円、7級が平均12,000円、8級が平均15,000円であることに照らすと、人事院は、昇格メリットにおける職種間の部内均衡についても、教職調整額と3級加算額を加算したベースを本俸水準と考えて設計したのではないかと考えるのである(職務の級をベースに均衡を図った結果としてそうなったのかもしれないが…)。とするならば、そのメリットを更に分割するというのは、せっかく確保した昇格時のメリットを減殺することにつながる。どう考えても、新たな給料曲線を無理矢理つっこんだ感は否めない。
 ここで、教員に給与の特別改善が実施された際に、教頭職の法制化を受けて行われた特1等級の創設のいきさつを思い起こしてほしい。教諭に適用される2等級の俸給水準を飛躍的に改善した後では、1等級と2等級の間に新たに俸給曲線を引くことはなかった、むしろ、できなかった。そこで、教頭には原則1等級を適用することとし、校長には新たに特1等級を創設して原則としてこれを適用することとされたのである。つまり、新たな職に対応する職務の級を設けるために、それよりも上位の職の給与水準を引き上げ、そのための俸給曲線を創設したのであった。
 主幹や総括教諭といった新たな職に対応すべく、新たな給料曲線を引きたいのならば、同時に教頭や校長の給料水準を引き上げるか、あるいは逆に、このような選択はしたくないが、一般の教諭に適用される給料水準を若干でも引き下げなければ、教職調整額が支給される教育職員に適用する給料表としては、職務の級間で逆転を生じず、整合性を保った給料構造を有するものは作成できないのであろう。


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24. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その8) [2.特2級創設と給料表一本化]

 人材確保法に基づく特別改善により確立した教(二)(三)の給与上の評価=格付けは、昭和60年の11級制への移行に際してもそのまま引き継がれた。ただ、行(一)に新たな職務の級が創設され、級構成が細分化されたことにより、教(二)と教(三)との格の違いが職務の級レベレで鮮明になった。
 <11級制移行後の教(二)(三)の格付け>
  行(一)      教(二)               教(三)
  10級(新2G) 4級(校長)            -
  9級(2G)   3級(教頭)            4級(校長)、3級(教頭)
  8級(3G)   3級(教頭)、2級(教諭)    3級(教頭)
  7級(新4G) 2級(教諭)            3級(教頭)、2級(教諭)
  6級(4G)   2級(教諭)            3級(教頭)、2級(教諭)
  5級(新5G) 2級(教諭)            2級(教諭)
  4級(5G)   2級(教諭)            2級(教諭)
  3級(6G)   2級(教諭)、1級(助教諭)  2級(教諭)、1級(講師)
  2級(7G)   2級(教諭)、1級(助教諭)  2級(教諭)、1級(講師)
  1級(8G)   1級(助教諭)          1級(講師)

 東京都の特2級や神奈川県の新2級の給料曲線は、本来割り込めないスキマに無理矢理割り込んで引いたのではないかとの問題意識からすれば、この11級制移行後の教(二)(三)の格付けの状況から何を読むべきであろうか。
 荒っぽい見方をすれば、特2級の場合は、上位号俸レベルでは行(一)の8級と9級の間にあるいは7級と9級の間に新たに級を設けて給料曲線を引こうとするようなものであろう。同じく新2級については、見方が難しいが、行(一)の7級と9級前半水準との間に新たに給料曲線を引こうとするようなものといえよう。行(一)の級別資格基準の在級年数で考えれば、8級は2年であり、9級は人事院規則に定めがないため俸給制度表の9級初号と8級初号との年数差でみれば3年であるから、新7級を創設するとすれば、新7級と8級の在級年数はいずれも1年になり、新8級を創設すれば、新8級と9級の在級年数は平均1.5年ということとなって、給与制度として設定するには短いのではないかとの疑問がわくのである。


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23. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その7) [2.特2級創設と給料表一本化]

 15級制及び教員給与三本建ての時代の格付けについては、持ち合わせの資料で見ると、教諭は行政職4級から12級まで、校長は7級から原則として12級までわたっている。教諭と校長とで職務の級の重なりが極めて大きく、現在以上に年功的な俸給表構造であったと考えられる。
 昭和32年に8等級制に移行し、より職務給の原則が明確化された。
 <8等級制移行時の教(二)(三)の格付け>
  行(一)   教(二)・教(三)
  2等級  1等級(校長)
  3等級  -
  4等級  1等級(校長)、2等級(教諭)
  5等級  2等級(教諭)
  6等級  2等級(教諭)、3等級(助教諭)
  7等級  2等級(教諭)、3等級(助教諭)
  8等級  3等級(助教諭)
 教(二)と教(三)では、俸給水準には差があるものの、格付けという点ではまあ同じであったと考えてよいようである。ただ、ここで注目しておきたいのは、教(二)(三)には行(一)の3等級に相当する職務の級がないということである。
 昭和32年にいったん確定された教(二)(三)の格付けは、いわゆる人材確保法に基づく教員給与の特別改善により大きく変わることになる。
 <人材確保法による改善後の教(二)(三)の格付け>
  行(一)   教(二)                 教(三)
  2等級  特1等級(校長)、1等級(教頭)  特1等級(校長)、1等級(教頭)
  3等級  1等級(教頭)、2等級(教諭)   1等級(教頭)
  4等級  2等級(教諭)             1等級(教頭)、2等級(教諭)
  5等級  2等級(教諭)             2等級(教諭)
  6等級  2等級(教諭)、3等級(助教諭)  2等級(教諭)、3等級(講師)
  7等級  2等級(教諭)、3等級(助教諭)  2等級(教諭)、3等級(講師)
  8等級  3等級(助教諭)            3等級(講師)


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22. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その6) [2.特2級創設と給料表一本化]

 東京モデルの特2級にせよ、神奈川モデルの新2級にせよ、それぞれ主幹や総括教諭という新たな職、教諭と教頭との間に位置付けられる職を創設し、これに対応して、給与上の処遇を行うために何とか工夫して作成した給料表であることは理解できる。しかしながら、前回までに見てきたように、どこか無理をしているような感じを受ける。もともと、割り込めないスキマに無理矢理割り込んで、給料曲線を引くことになってはいのだろうか。
 この点を考えてみるに当たって、遠回りかもしれないが、俸給の格(=給与上の評価)の観点から、特2級や新2級がどのような格になるのかを考察してみたい。

 俸給表は、行政職俸給表(一)を基本として、職種間の均衡を考慮してその他の特別俸給表が作成されることになっている。従って、それぞれの職種における俸給の格というものは、行(一)との対比において決定されることになるよいってよいと思う。とすれば、特2級や新2級がどのような格になるのかという場合も、行(一)の職務の級に照らして何級相当であるのかを考えることになろう。
 そこで、まず、教(二)(三)の格付けの変遷を概観することから始めたい。対行(一)格付けについては、以前にも触れたが、「国家公務員等の旅費に関する法律の運用方針について」(昭27蔵計922大蔵省主計局長通牒)別表第一「行政職俸給表(一)の各級に相当する職務の級」が人事院の考える職種間均衡と同様の考え方により作成されたものと想定できるため、その変遷を次回から見ていくことにしたい。


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21. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その5) [2.特2級創設と給料表一本化]

 しかし、神奈川県が現実に選択した教育職給料表の統一後の水準は、教(二)ベースではなくて教(三)ベースであった。高等学校等の関係者はどう受け止められているのかと思う。特に、高等学校等の校長や教頭は水準が大幅に下がったのではないのかと心配する。
 ここで、各級の最高到達号給の水準を確認しておこう。勧告が平成17年であるから、給与構造改革後の平成18年4月1日適用の給料表ということになり、全人連モデルと比較しておきたい。ただし、勧告では新2級と言っていたが、学校職員の給与等に関する条例に定める教育職給料表では、実際には新2級が3級、3級が4級、4級が5級となっている。

 <神奈川県の教育職給料表の最高到達号給>
  職務の級 号給  給料月額   教(三)モデル      教(二)モデル
   1級  165  338,400  1級 125 311,300  1級 153 335,100
   2級  185  436,700  2級 149 416,500  2級 137 428,100
   3級  137  446,000  2級 149 416,500  2級 137 428,100
   4級  121  456,300  3級  93 438,100  3級  77 467,700
   5級   57  481,000  4級  37 463,000  4級  37 487,800
 神奈川県の給料表は、全人連モデルをベースにしており、1級1号給=教(二)1級1号給、2級=教(三)2級1号給、新2級すなわち、3級1号給=教(二)2級25号給、4級1号給=教(三)3級1号給、5級1号給=教(三)4級1号給となっている。それぞれ号給の延長をしており、1級で教(二)1級相当+12号俸相当、2級で教(三)2級相当=36号俸相当、新2級すなわち、3級で教(二)2級相当24号俸相当、4級で教(三)3級相当28号俸相当、5級で教(三)4級相当20号俸となっている。
 こう見ると、最高号給の号給延長(継ぎ足し)効果で、1~3級については全人連モデル教(二)の最高到達号俸の水準を超えており、それなりにカバーしているのかなと思う。しかし、4・5級については号給延長をしても全人連モデル教(二)の最高到達号俸の水準に達しない状況になっている。高等学校等の校長・教頭という職務の市場価格は、とうとう引き下げられてしまったのか。小中学校とは比較にならないほど多数の教職員を部下とし、日頃から社会的に重い責任を課せられ、しかも教育改革という激しく厳しい嵐に晒されている最前線の指揮官の職務の評価として、本当にそうなのか、それで良いのか、という感想を持ってしまう。
 なお、念のために昇格対応号給表で昇格時期を確認したところ、例えば4級1号給への昇格ポイントは、これに対応する全人連モデル教(三)3級1号俸の昇格ポイントより4号俸(旧1号俸)分早くなっている。つまり、3級=新2級以上に1号上位昇格制度を導入したような効果が出ていると考えていいのではないかと思う。昇格メリットの点では、全人連モデルより有利となってはいるようである。しかし、それでもやはり、高等学校等の校長・教頭の給料月額の水準は下がってしまう。


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20. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その4) [2.特2級創設と給料表一本化]

 次に、神奈川県が行った教育職給料表の一本化について考えてみたい。
 神奈川県では、主任に代わる職として総括教諭を設置したが、この総括教諭という新たな職について職務・職責に応じた給与上の格付けを行うため、新2級を創設したようである。その際、いきさつは分からないが、同時に高等学校等教育職給料表と小学校等教育職給料表の統合・一本化が行われている。
 一本化後の給料水準がどのようになったか、平成17年の同県人事委員会勧告から概観しておきたい。基本は、全人連モデルを参考にしてということであるらしい。
  職務の級   標準職務        給料表水準
   1級     助教諭          教(二)1級
   2級     教諭(総括教諭を除く) 教(三)2級
   新2級    総括教諭         教(二)2級
   3級     教頭            教(三)3級
   4級     校長            教(三)4級
 これはどうしたかことか。新2級といいつつ、これでは東京都の特2級とは全く別物であって、小中学校の総括教諭については確かに格(水準)は上がるが、高等学校等の総括教諭の場合にはこれまの教諭の級と同格(同水準)となっている。それどころか、高等学校等教育職給料表は全体として給料上の水準を引き下げる結果となっているのではないか。(新2級は教(二)2級の水準となってはいるが、実際の給料表では98号給以上から若干水準を高く設定している。)
 給料水準の決定要素の一つとして、学歴免許等の取得条件などが重視され、教(二)と教(三)の給料水準についても、教育職員免許状の取得条件の違いや在職者における大学卒と短大卒の実態が考慮され、また、高等学校等と小中学校等との管理職登用割合の違いも踏まえて、これまでから一定の水準差が設けられてきたはずである。
 確かに、小中学校教諭の大学卒資格者の割合は上がってきており、その点での高等学校等との差異は狭まってきている。現行の教(二)の水準が確立した頃の高等学校等教諭の大学卒資格者の割合以上となっているはずである。であるならば、教育職給料表を一本化するのならば、純粋に技術的に考えれば、教(三)ベースに統一するのではなくて教(二)ベースに統一すべきではないのだろうかとの疑問もわくのだが…。


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19. 特2級の創設と教育職給料表の一本化(その3) [2.特2級創設と給料表一本化]

 前回、東京都の特2級を見たところ、3級の俸給水準と特2級の教職調整額を含む俸給水準とが逆転することを確認した。これは、人事院があれほどまでに年次主義に立って部内均衡や給与秩序に配慮して作り上げてきた制度からすれば、許されない事態なのではないだろうか。3級に昇格するということは、同時に教頭に昇任して管理職手当が支給されることになるのだから、管理職手当を含めて考えれば給与水準はアップし、逆転は生じない。しかし、給与の基本中の基本である本俸の水準が逆転するのはどうなのであろうか。何か、昇格時に特別に1号給昇給させるといった手法でもって措置しているのであろうか。この辺りは聞いてみないことには規則レベルでは分からない。念のため給与構造改革後の平成18年4月適用の給料表でも確認したが、それ以前と基本的な昇格構造に変わりはないといってよく、やはり3級昇格時に逆転が生じている。
 このような逆転現象が生じてもおかしくないとしてこの特2級の給料表を作成したということは、「教職調整額は一括支給された時間外勤務手当であって本俸ではない」、と考えているということの証左だろう。教職調整額をどのように見るかは、教員給与を考える上での重要なポイントであり、改めて考察はしたいが、現行制度上、教職調整額には本俸的性格が付与され、勤勉手当をはじめ諸手当に跳ね返り、退職手当にさえ跳ね返るという給与である以上は、給与水準としてどう考えるのかという議論は別として、特2級と3級とで本俸的水準に逆転を生じさせるのはいかがなものかと思う。管理職手当が支給されることによって年収では逆転しない、勤勉手当は役職段階別加算額で考慮しているからかまわない、ということなのだろうか。
 もちろん、既に3級昇格時以上に1号上位昇格制度を導入してきた県が新たに東京都並の特2級を導入した場合には東京都のような逆転現象はほぼ生じない。その際、教(二)(三)の特2級の水準は、どうみても行(一)4級以上であるのだから、更に特2級昇格時にも1号上位昇格制度(現行では、その趣旨を踏まえた一定額加算昇格制度)を導入するのが当然であるとは思うが、実際に採用するかどうかは、一つの重要な検討課題となろう。


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