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77. 3級加算額(その6) [9.3級加算額]

 ところで、教職調整額の見直しの議論が中教審で行われている訳だが、その内容如何によっては、制度的に3級加算額も影響を受けることとなろう。その際、本俸的性格を付与された教職調整額を、例えば時間外勤務手当に変更されるとなると、3級加算額を支給する沿革的な根拠が消滅してしまうことになる。その際、単純に3級加算額を廃止すべきこととなるのかどうか。
 沿革的理由は理由としても、長年にわたり3級加算額を加算した俸給月額というものが、3級の本俸水準として受け止められているのではないかという気がしないでもないが…。それに加えて、校長に適用される4級についても、沿革的には教職調整額の支給を考慮して一定額が俸給月額に加算されていることになっている。その水準は明瞭ではないが、少なくとも、3級加算額の平均水準が約2%であるから、概ね2%以内の水準であろうことは想像に難くない。
 念のために補足しておけば、教職調整額が支給される教諭の給与水準との逆転防止措置として3級加算額が設けられたものではあるが、3級加算額はあくまで本俸の一部であって、時間外勤務手当を支給しない代わりという理由で支給されている訳ではない。つまり、正規の勤務時間に対する報酬としての俸給月額を構成する額なのであって、少なくとも規定上は、教職調整額のように本俸相当の給与であると同時に超過勤務に対する給与上の措置という二重の性格が付与されているものではない。

 とはいうものの、時間外勤務手当を支給しない代わりとしての教職調整額との関係で設けられた加算額であるのだから、一方で、時間外勤務手当と沿革的にも関わりのある管理職手当(俸給の特別調整額)に影響する可能性もあるのではないかとの疑問が生じてくる。  
 3級加算額については、この辺りで一応終わりにしたい。


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76. 3級加算額(その5) [9.3級加算額]

 次に、教(二)(三)3級の俸給水準とその他の俸給水準との均衡を保つ必要があることから、前回考察した差額に3級俸給月額の平均改定率を乗じて得た額を従前の3級俸給月額と対応する2級俸給月額に1.04を乗じて得た額との差額とみなす必要がある。
 教(二) の3級昇格時の差額は、最高△8,136円であった。教(三)については、異常に大きな改定率の格差が生じた部分は除外して考えてみると、最高△7,436円となる。しかし、△7,436円は、教(二)との関係では水準が下がりすぎてしまう。そこで、除外する号俸を対行(一)旧6級相当のみとし、旧7級相当は考慮することとするとその差額は△8,684円となる。
 では、これに、3級俸給月額の平均改定率を掛けてみよう。
 <給与構造改革後の3級加算額の算定仮説>
  教(二)   △8,136円×-5.8%=△7,664円 → △7,700円
  教(三) 平均△8,060円×-5.5%=△7,616円 → △7,600円≒△7,500円
 微妙なところはあるが、給与構造改革による俸給水準引き下げの趣旨を踏まえ他の俸給表との均衡を確保しつつ、併せて教(二)と教(三)との間で保ってきた水準差を踏まえてバランスを取ったのであろう。
 参考に平成17年ベースの3級加算額についても確認しておく。
 <参考 平成17年ベースの3級加算額の算定>
  教(二) △8,176円 → △8,200円
  教(三) △7,928円 → △8,000円
 こうやって計算してみると、教(二)3級加算額の7,700円、教(三)3級加算額の7,500円は、従来の水準との均衡や給与制度改革の趣旨を踏まえた額として概ね妥当なものと考え邸いいのではないかと思う。(実際の計算方法と合っているかどうかは分からないが…)
 それにしても、1号上位昇格制度から一定額加算方式の昇格制度に改められ、具体的には昇格時号俸対応表により昇格後の号俸が決定されるのであれば、3級加算額を解消して俸給月額に織り込めるのもあと一歩という感じがするのだが…。まあ、教職調整額制度が続けられる限り、この点は解消せずに残しておいた方が技術的にも分かりやすいのだろう。


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75. 3級加算額(その4) [9.3級加算額]

 前回示した方法で、実際に平成18年4月改正後の3級加算額を計算してみると、どうなるのであろうか。
 まず、3級昇格時の差額は、教(二)は最高△8,136円、教(三)は最高△11,236円となる。教(二)は構造改革前とほぼ同水準だが、教(三)については3,000円以上跳ね上がっている。よく見ると、教(三)3級の初号から4分割前の3号俸相当が異常に高い水準となっており、給与構造改革前後で全く違う様相となっている。
 これは、これらの号俸の引き下げ率が3.5~4.0%となっているのに対して、昇格前の2級の号俸では、その引き下げ率が1.9~3.5%となっていることによるものである。言い換えれば、教(三)3級の初号から4分割前の3号俸相当分の改定率と対応する2級の号俸の改定率との差が最大1.6%であるのに対して、3号俸相当を超える号俸では、最大でも0.2%に止まっているからなのである。どうしてこうなったのかは、それこそ(財)日本人事行政研究所に聞いてみないと本当のところは分からない。
 ただ言えることは、俸給制度表で見ると、教(三)3級のこの辺り(大卒後制度年数で10~12年)の号俸は、大卒後制度年数14年からスタートする教(二)3級には存在しない号俸であって、1.0%の格差を超える号俸は、格合わせにより対比する行(一)では旧6級に該当している。もちろん、行(一)の旧6級=4級のこの辺りの改定率は4.8%となっているから、それが反映した訳でないことは確かである。
 すると、改定率に格差が生じた主な理由は、この辺りの教(三)2級の号俸改定率が相対的に低くなっていることによるものである。考えられる原因は、教(三)2級が行(一)の旧2級から旧7級までブリッジしていることから生じたもので、より具体的に言えば、この辺りの号俸は、10年間で行(一)旧3級初号付近の0.0%から行(一)旧7級の4.0%以上まで、一気に改定率を高くしないといけない部分に当たっているからであろう。そのため、結果として、対応する3級の号俸の改定率との格差が生じたものと思われる。以上から、全人連モデルの3級加算額では、異常に大きな改定率の格差が生じた部分はイレギュラーとして除外して算定したのではないかと思う。


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74. 3級加算額(その3) [9.3級加算額]

 3級加算額は、創設後、11級制への移行、1号上位昇格制度の導入により影響を受けるが、基本的には創設時の考え方を踏襲し、若干の修正を施しただけとなっていると考えてよいと思う。
例えば、個々の号俸について計算してみると3級加算額として定められた額より突出した差額がでてくる年もあるが、実際にはその額は採用せず、その年の俸給の改定率や教(二)・教(三)のバランスを考慮して3級加算額を決定したのではないかと想像する。双子関係についても、双子の上位等から昇給した場合により大きな差額が生じるが、1号上位昇格制度の効果により3級昇格に伴う逆転を生じることがなくなったため、創設時のような細かな配慮はしていないのだと考えられる。
 では、今回の18年4月改正ではどうだったのか。
 細かい数値は掲載しないが、従来どおりの算定方法で計算すると、3級加算額を変更する必要はないように思われる。しかしながら、全人連のモデルでは500円引き下げられている。おそらく、50年振りといわれる給与構造の改革が影響しているのだろうし、それ以外に理由が見あたらない。
具体的にどうのように計算するかは分からない。たぶん、抜本的改革の一環として俸給表の水準を全体として平均4.8%引き下げられたことを考慮する必要があるのではないかと思う。あくまで仮説の域を出ないが、次に算定手順を示してみよう。
 <18年4月改定における3級加算額の算定>
 ① 3級俸給月額と対応する2級俸給月額に1.04を乗じて得た額との差額を計算する。この場合、平成4年の昇格改善前の昇格時の号俸決定方式により対応号俸を求める。つまり、直近上位の号俸(特定号俸以上は1号上位の号俸)で差額を確認することになる。
 ② 次に、教(二)(三)3級の俸給水準とその他の俸給水準との均衡を保つ必要がある。そのためには、①による差額に3級俸給月額の平均改定率を乗じて得た額を従前の3級俸給月額と対応する2級俸給月額に1.04を乗じて得た額との差額とみなす必要があるのではないか。そして、そのうち一番大きくなる差額(双子等の関係を除く)の百円未満を切り上げて3級加算額を算定する。
 ③ 教(二)3級と教(三)3級との従前のバランスを考慮する。


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73. 3級加算額(その2) [9.3級加算額]

 では、3級加算額の具体的な算定方法を確認していこう。
<制度創設時の加算額の算定方法>
 ① まず、一等級俸給月額と対応する二等級俸給月額に1.04を乗じて得た額との差額のうち一番大きくなる差額(双子等の関係による場合を除く。)を3級加算額(100円未満切り上げ)とする(これが基本となる)
 ② 教(二)3級と教(三)3級との水準差のバランスに配慮する
 ③ 双子等の関係については、双子の上位等から昇格した場合により大きな差額が生じるため、個別に号俸を指定して、当該差額(100円未満切り上げ)を3級加算額とする
 現在、個別に号俸を指定して差額を計算するような細かな措置は講じていない。これは、1号上位昇格制度の導入によって、3級加算額を加えなくても逆転を生じることがなくなったため、微調整を考える必要がなくなったからであろう。(しかし、改めて3級加算額創設時の逆転防止措置を確認してみると、こんな細かいことまで人事院は気を配っていたのか…と感心してしまう。)
 ここで、2級から3級への昇格に際して逆転が生じなくなったのなら、3級加算額は不要なのではないかとの疑問がわく。どうして3級加算額は残ったのか。少なくとも3級の水準維持という趣旨はあるだろう。それは分かるが、ならば俸給月額に織り込んでもよかったのではないか、と次の疑問が生じる。しかし、俸給月額に3級加算額を織り込めば確かに3級の水準は維持できることになるが、2級からの3級への昇格や3級から4級への昇格に影響を与えることになると想像できる。教職調整額が存在するため、3級加算額を本俸に含めて単純に原則どおり昇格後の号俸を決定すると、昇格対応号俸がずれてしまうこととなり、俸給制度上問題が生じるのであろう。この点、検証はしていないが、現在も3級加算額が残されているのは事実である。


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72. 3級加算額(その1) [9.3級加算額]

 教職調整額については、中教審においてこれまで以上に深い議論や別の論点が出てくれば更に考察を進めることにし、次は、いわゆる「3級加算額」について考えてみたい。
 この加算額は、俸給表に記載されている俸給月額に加算するもので、俸給表記載額と一体となって本俸となる一種の調整額である。これは、教職調整額の創設と深くかかわる給与であって、他の俸給表にはみられない教(二)(三)独自のものであるり、現行では教(二)(三)の俸給表の備考に書かれているのだが、このノートでは、その沿革なり、意義なりというものを記載しても意味がない。むしろ、どうやってその額を算定するのかといった問題意識を出発点にして、いろいろと考えてみたい。

 18年4月改正により、この3級加算額についても全人連モデルが示され、教(二)は8,200円から7,700円に、教(二)は8,000円から7,500円にそれぞれ改定されたのだが、これはどのようにして算定されたのであろうか。昇格時の号俸決定が一定額加算方式に変更されたが、3級加算額の意味はどうなったのか、従来の水準は保たれているのであろうか。この辺りの事情から検証してみたい。

 まず、3級加算額の沿革からか確認しておくと、そもそも、教諭に支給される教職調整額が3級に昇格すると支給されなくなって本俸的給与が逆転してしまう、その逆転防止措置として加算額が設けられたものであった。
 その加算額は、創設時は人事院規則で定められることとされ、いわゆる給特法第5条第2項に次のように定められていた。
 「2 前項の人事院規則で定める額は、その属する職務の等級が同項に規定する俸給表の二等級である者がこれらの俸給表の一等級である者となった場合に受ける俸給月額がそのなった前に受けていた俸給月額(教職調整額を含む。)を下ることがないようにするため、これらの俸給表の一等級の俸給月額とこれに対応する二等級の俸給月額に百分の百四を乗じて得た額との差額を基準として定めるものとする。」
 この規定は、現行法では削除されてしまったが、制定当初はここにハッキリと逆転防止が明記されていたのだ。当時の人事院規則を見ると、定額だけでは足りず、双子の上位等から昇格した場合により大きな差額が生じるため、これを埋めるための加算額が号俸ごとに定められていたのである。


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