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95. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その12) [12.管理職手当]

 ところで、「行(一)において用いる号俸に相当する号俸」を求めるのに給与構造改革後の俸給表で俸給制度表を作成し、格合わせを行ったのだが、「教育職俸給表では一致する」との限定で書かざるを得ないところに技術的難問がある。その他の俸給表で同じように単純に平成18年4月改正後の俸給表に基づいて俸給制度表を作成して対比すると、一致しない俸給表もけっこう出てくる。何故かというと、おそらく、明らかに同格の職務の級なのに、昇格対応ポイントが改正前とが変わったために対行(一)との制度的な対比関係がずれてしまうからであろう。対応関係のずれてしまう俸給表について平成18年4月改正前で対比するとどうなるかというと、一致するものが断然多くなる。専門職や公安職などは一致する。しかし、逆に、教育職をはじめズレが生じる俸給表が出てくるのである。

 しかし、このような現象が生じるということは、今まで提案してきた格合わせの手法について修正すべき点があることを示唆している。おそらく、対行(一)との制度的な対比関係というものを考える場合に、昇格対応関係は直接関係ないということだろう。つまり、特別俸給表について作成した俸給制度表の全体を一度に行(一)に対応させるのではなく、ある特別俸給表のある職務の級は行(一)の何級から何級に対応するのか。いいかえれば、行(一)適用官職以外のある特定の官職は、行(一)の職務の級を適応するとしたならば、いったい何級に当たるのかと考えるべきなのだろう。従って、職務の級ごとに行(一)の職務の級との格合わせを行うべきなのだ。そうすれば、平成18年4月改正後での昇格対応ポイントの変更を考慮する必要はなくなるのである。職務給の原則という基本の考え方からすれば、職務の評価を見直さない限り、従前の対応関係が保たれるはずなのである。
 同じことの言い換えにすぎないかもしれないが、今回の給与構造改革に伴い行(一)4級以上に相当する職務の級の各初号付近の号俸がカットされたが、切替後の新たな俸給表に変わっても、俸給制度としては実はカットされた号俸がカットされずに残されていると考えられるのではないだろうか。昇格時の対応号俸をどのように決定するかというのは運用の話なのであって、従前の双子・三つ子関係の存在を無視して単純に号俸カットを行えば、当然従前の制度的対応関係がずれてくる。従って、制度的には、級別資格基準を基本に各職務の級の初号の位置=○級官に採用する場合の初任給基準号俸(号俸カット前)を確定したと考えるべき、だろう。
 戦後の給与制度はいくたびかの変遷を経て現在に至ってはいるが、各職務の級の行(一)の職務の級との対応関係というものは、その職務の再評価がない限り、均衡を保ってきたのではないかと想像するのである。これらの丁寧な分析を行うにはもう少し時間外必要であるし、教(二)(三)の考察には当面必要ないため、今後の宿題としておきたい。
 ただ、このように見てくると、11級制で完成された俸給制度の美しさは、給与構造改革によってその一部が崩されてしまったことだけは確かなようである。

 管理職手当(俸給の特別調整額)の考察の本筋からかなり外れてきた。次回からは、新しいテーマを考えていきたい。


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94. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その11) [12.管理職手当]

 それから、特に旧教(二)(三)の4級の中位号俸については、各県における在職実態とはかけ離れているのではないだろうかと推測する。旧教(二)(三)の在職実態からすれば、もっと高い号俸となるのではないか。何故なら、教諭として採用され、長年にわたって勤続して教頭に昇任し、最終的に校長に昇りつめた者たちが在職していると考えると、4級の最高号俸付近に多数の者が在職していることは容易に推測できる。一方、行(一)はというと、6級から7級に上がると在職実態が3~4歳若返ってしまう。これはもう採用時から幹部候補生として選抜され、若くして本府省の室長・課長として昇任していくキャリアの存在を抜きにしては考えられない現象である。従って、中位号俸を算定すればそこに大きなズレが生じるのは当たり前である。
 もう一度、行(一)の各級の中位号俸からこれに対応する旧教(二)(三)の各級の中位号俸を確認しておきたい。
 <旧教(二)(三)の各級の中位号俸>
 行(一)   大卒経験  年齢    旧教(二)   旧教(三)
 8-29  27年0月  49歳   4-17
 7-38  26年3月  48歳   3-54    4-14
 6-61  29年0月  51歳   2-117   3-81
 5-74  30年3月  52歳            2-134
 ここで注目すべきは、管理職手当の基礎となるべき中位号俸の俸給月額について旧教(三)の3級と4級との逆転が生じる結果となったその原因が現れている部分である。すなわち、3級の中位号俸が制度年齢で51歳であるのに対して、4級の中位号俸が48歳となっている部分である。先ほど、行(一)の6級から7級に上がると3~4歳若返ってしまうという部分だ。教諭から教頭の職位を経て校長に昇任するという実際の教員のキャリアを考えると、ありえない姿ではないだろうか。まあ、基礎額は逆転するが、それに支給割合を乗じたら、手当額としては逆転しないのだけれど…


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93. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その10) [12.管理職手当]

 前回、俸給の特別調整額の算定基礎とすべき中位号俸の見つけ方を確認した。同様の手法を使えば、各県で作成している教育職給料表のモデルとなる旧教(二)(三)が適用される職員に支給される管理職手当の算定基礎とすべき中位号俸を割り出し、手当額を算定することができそうである。実際には、全人連が(財)日本人事行政研究所に委託して作成済みだが、ここで算定基礎となる中位号俸を確認しておこう。
 行(一)の各級の中位号俸からこれに対応する旧教(二)(三)の各級の中位号俸を求める。
 <旧教(二)(三)の各級の中位号俸>
  行(一)   大卒経験  年齢    旧教(二)   旧教(三)
  8-29  27年0月  49歳   4-17
  7-38  26年3月  48歳   3-54    4-14
  6-61  29年0月  51歳   2-117   3-81
  5-74  30年3月  52歳            2-134
 <旧教(二)(三)の各級の中位号俸の俸給月額>
      旧教(二)           旧教(三)
    4-17  455,000円   4-14  434,300円
    3-54  433,300円   3-81  429,900円
    2-117 417,300円   2-134 408,300円
 旧教(二)(三)の3級は、3級加算額を加算した額が俸給月額となるが、当然、この3級加算額を加算した額が管理職手当(俸給の特別調整額)の基礎になる。そういう目で算出してみた中位号俸の額を注意深く見ると、この段階でおかしなことになっていることに気づく。旧教(三)の3級と4級が逆転してしまうのである。
 <旧教(三)の中位号俸の逆転>
   4-14  434,300円
   3-81  429,900円+7,500円=437,400円
 全人連のモデルはどうであろうか。結論を急げば、管理職手当の基礎となるべき中位号俸は、前記のとおりである。では、旧教(三)の3級と4級の逆転についてはどうかというと、何故か3級加算額を含めない額で定額化後の手当額を算定している。確かにこうすれば基礎額の逆転は生じないのだが、3級加算額を含めないこととする理由については沈黙している。人事院のやり方を単純に適用し、「行(一)において用いる号俸に相当する号俸」を取り出せばこうなるよと示しただけで、積極的に3級加算額により生じる問題を解決しようする意志までは感じられない。何をどう考えているのか、問題だと考えているのか、いないのかさえ分からない。どうも他人事のような取り扱いをしている気がしてならない。


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92. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その9) [12.管理職手当]

 前回、俸給の特別調整額の算定基礎号俸である中位号俸について、行(一)の各級の中位号俸と教(一)(二)の各級の中位号俸を確認した。行(一)と教(一)(二)とを突き合わせる方法はどうするか。「行(一)において用いる号俸に相当する号俸」というのだから、たぶん、格合わせを行って、相当する号俸を割り出すのであろう。ただし、給与構造改革により俸給表の級構成や号俸などの構造が変わっているため、とりあえず、平成18年4月改正後の俸給表で俸給制度表を作成し、以前行った手法でもって対比を試みよう。
 俸給制度表の作成方法を簡単におさらいしておく。まず、縦軸に制度年齢22歳~59歳、大卒経験年数0~37年を上から下へ並べる。行(一)Ⅱ種大学卒の初任給を基準に1年4号俸の基幹号俸ごとに単純に並べる。初任の職務の級以外は、昇格対応号俸表により初号に昇格するポイントの号俸に併せて、1年4号俸の基幹号俸ごとに単純に並べ、以下、峰渡りの横領で単純に格号俸を配列する。同様にして、教(一)(二)の俸給制度表を作成し、対比をすればよい。(平成18年4月改正後の俸給表で俸給制度表を作成すると、改正前と異なり、1号上位昇格制度の趣旨を引き継いだ一定額加算昇格制度が織り込まれた対応号俸関係により作成されることになる。)
 <行(一)の各級の中位号俸と教(一)(二)の各級の中位号俸の対比>
 行(一)    教(一)  教(二)   大卒後経験  制度年齢
 10-9   5-9         31年0月    53歳
 9-21   4-57        29年0月    51歳
 8-29                27年0月    49歳
 7-38        3-86   26年3月    48歳
 6-61        2-117  29年0月    51歳
 5-74                30年3月    52歳
 4-60                24年9月    46歳

 教(一)(二)の各職務の級が行(一)のどの職務の級に相当するかについては、「国家公務員等の旅費に関する法律の運用方針について」(昭27蔵計922大蔵省主計局長通牒)別表第一「行政職俸給表(一)の各級に相当する職務の級」も参考にしながら対比を行ってみると、それぞれの中位号俸の位置する大卒後経験年数及び制度年齢が完全に一致することが確認できた。


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91. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その8) [12.管理職手当]

 前々回、行(一)の俸給の特別調整額を掲載したが、これを支給率で割り戻してその算定基礎となった号俸を逆算してみる。その上で、給別、号俸別人員分布から導き出された中位に相当する号俸と突き合わせてみる。すると、次のようになった。
 <行(一)の俸給の特別調整額の算定基礎号俸=中位号俸>
  10級 10-9 557,000円
  9級  9-21 521,200円
  8級  8-29 469,800円
  7級  7-38 442,500円
  6級  6-61 415,500円
  5級  5-74 396,600円
  4級  4-60 370,200円

 次に、行(一)以外の俸給表適用職員に対する手当額を算定するために、行(一)との均衡を考慮しなければならない。この点について、給与勧告では、「行政職俸給表(一)において用いる号俸に相当する号俸の俸給月額を基礎として算定する」と述べている。
 どうやって行(一)において用いる号俸に相当する号俸を見つけ出すべきか。行(一)以外についても、行(一)と同様の手法により基礎号俸を確認するしか手がない。
 そして、確認できた俸給表ごとの基礎号俸を突き合わせて、行(一)との均衡を考慮する手法を見つけ出すしかないだろう。
 国に教(二)(三)が現在も存在するなら、教(二)(三)で突き合わせするのだが、しかたがないので、とりあえず同種の教育職俸給表である教(一)と旧教(四)=新教(二)で試してみよう。
 <教(一)(二)の俸給の特別調整額>
  教(一) 5級 一種 142,600円
       4級 二種 106,900円、三種 93,500円、四種 80,200円
  教(二) 3級 四種 66,300円
       2級 四種 64,100円
 <教(一)(二)の俸給の特別調整額の算定基礎号俸=中位号俸>
  教(一) 5級 5-9   570,200円
       4級 4-57  534,400円
  教(二) 3級 3-86  442,000円
       2級 2-116 427,100円


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89. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その7) [12.管理職手当]

 前回、管理職手当の定額化によって、給与制度を考える上で人事院が何を考えているかを知る手がかりが二つ示されたことを述べた。ここでは、俸給の特別調整額の手当額を定額制にするに当たって、行(一)を基本として、これ以外の特別俸給表適用職員は行(一)との均衡を考慮したとする人事院による「行(一)との均衡の取り方」に注目して、確認してみたい。

 その具体的な手法は、平成18年の給与勧告において、次のように記述されている。
 「行政職俸給表(一)が適用される職員の手当額については、各職務の級の平成18年4月1日現在の人員分布の中位に当たる号俸の俸給月額に俸給の特別調整額の区分ごとの支給割合と同率の算定割合を乗じて得た額とする。(中略)行政職俸給表(一)以外の俸給表が適用される職員の手当額については、行政職俸給表(一)との均衡を考慮し、同俸給表において用いる号俸に相当する号俸の俸給月額を基礎として算定する。」

 まず、行(一)について確認することとしよう。
 平成18年給与勧告の公務員給与関係資料の中に「第12表 公務員の適用俸給表別、給別、号俸別人員」がある。この資料の行(一)の人員分布表を利用して、給別に中位に当たる号俸におおよその見当を付けてみる、その際、人員分布の中位は、若い号俸から数えても高い号俸から数えてもちょうど中間になると考えればよいだろう。
 次に、平成19年4月1日施行予定の人事院規則9-17(俸給の特別調整額)の一部改正について(平成18年12月15日人事院規則9-17-109)によって、定額化後の俸給の特別調整額の手当額を確認する。
 <行(一)の俸給の特別調整額>
  10級 一種 139,300円
  9級  一種 130,300円、二種 104,200
  8級  一種 117,500円、二種 94,000円、三種 82,200円
  7級  二種 88,500円、三種 77,400円、四種 66,400円
  6級  三種 72,700円、四種 62,300円、五種 51,900円
  5級  四種 59,500円、五種 49,600円
  4級  四種 46,300円、五種 46,300円


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88. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その6) [12.管理職手当]

 ところで、給与構造改革に伴って、国の俸給の特別調整額が定額かされることとなった。人事院は、この点について平成17年の給与勧告で次のように報告している。
<俸給の特別調整額の定額化>
 「俸給の特別調整額について、年功的な給与処遇を改め、管理職員の職務・職責を端的に反映できるよう、民間企業において役付手当が定額化されている実態も踏まえ、定率制から定額制に移行する。
ア 手当額
 俸給の特別調整額の手当額は、俸給表別・職務の級別・支給区分別の定額制とする。行政職俸給表(一)が適用される職員の手当額については、定額化実施の際の各職務の級の人員分布の中位に当たる号俸の俸給月額に支給区分別の支給率を乗じて得た額とする。また、行政職俸給表(一)以外の俸給表が適用される職員の手当額については、行政職俸給表(一)との均衡を考慮して算定する。
イ 改善措置
 地方機関の管理職に適用される三種から五種までの手当額については、超過勤務手当が支給される管理職昇任前の職員との関係、地方機関の超過勤務手当の支給実績を考慮した改善を行った上で定額化する(三種17.5%(現行16%)、四種15%(現行12%)、五種12.5%(現行10%))」

 ここには、給与制度を考える上で人事院が何を考えているかを知る手がかりがいくつかある。
 一つは、俸給の特別調整額の手当額を定額制にするに当たって、行(一)を基本とし、これ以外の特別俸給表適用職員については、行(一)との均衡を考慮して算定することとしていることから、実際に定額制に移行した後の手当額から、行(一)との均衡の取り方が確認で来る可能性があることである。
 二つめは、三種から五種までの手当額の改善とかかわって、俸給の特別調整額は沿革的には超過勤務手当の振り替えたという話を裏付けるような措置が執られたことである。


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87. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その5) [12.管理職手当]

 前回までの考察では、教(二)及び教(三)の適用される校長、教頭等の教育職員に支給される管理職手当の支給率は、教員に支給される教職調整額の影響を制度的に受け、結果として行(一)の適用される官職に支給される俸給の特別調整額の支給率のワンランク落ちとなっているのではないかとの仮説を提示した。
 管理職手当(俸給の特別調整額)は、「実際上の問題としてみれば超過勤務手当等の代替的な機能を担っている」(『公務員給与法精義』)と理解されているのだが、今述べた「支給率ワンラクク落ち」の観点から、改めて校長、教頭等の教育職員に支給される管理職手当(俸給の特別調整額)創設時の沿革を探ってみると、興味深いエピソードが残されていた。

 高校、中学校、小学校の校長に対して昭和33年から管理職手当を支給することを巡って国会で審議された経過の中にそのエピソードはある。国会会議録から引用してみよう。
<昭和33年6月24日開催の衆議院文教委員会>
「○内藤政府委員 御指摘のように管理職手当につきましては、経過的、沿革的には確かに御説のように超勤手当の振りかえによった分がございます。この点は国家公務員についてもあるいは地方公務員につきましても同様でございます。しかし管理職手当は、イコール超勤の振りかえではございません。すでに国立の大学の学長、学部長、病院長、研究所長等には管理職手当が支給せられておるわけであります。御指摘のように超過勤務手当が調整号俸で解決された上に、さらに学長、学部長、病院長、研究所長には管理職手当が支給されているわけでありますが、今回は高等学校以下の校長に管理職手当を支給するわけであります。そこでお尋ねの管理職手当の関係は、そういう調整号俸があるために、学長、学部長、病院長等の管理職手当の率は、普通ですと一八%あるいは二五%が適当でありますけれども、その調整号俸が考慮されましたので、率が一二%になっておるのでございます。高等学校以下につきましてはさらに七%、こういう状況でございます。」

 校長に対する管理職手当の支給は、当時の政治状況から色々と国会で問題にされたようだが、教員給与制度を考える観点からいえば、当時の文部省初等中等教育局長答弁が正しいのならば、前回までのこのノートの問題意識に通じるものがあると言えるのではないだろうか。
 すなわち、校長、教頭に対する管理職手当(俸給の特別調整額)の支給率は、創設当初は、調整号俸を支給しているが故に行(一)の適用される官職の支給率より低く抑えている。更に給特法制定後においても、教員給与の特別改善により若干の引き上げはあったものの、沿革的経緯を引き継ぎ、教職調整額の制度的な影響を考慮して、やはり行(一)の適用される官職の支給率より低く抑えたままとしているのではないかと思うのである。


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86. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その4) [12.管理職手当]

 ちょっとここで立ち止まり、校長、教頭等の教育職員に支給される管理職手当の沿革を概観しておきたい。
 <教育職員に支給される俸給の特別調整額の沿革>
  昭33.4  附属の高・中・小学校の校長に支給  丁7%
    35.4  附属学校の教頭に支給 丁7%
    36.4  校長の支給割合を改定 丁8%
    37.   支給区分を1種、2種、3種、4種(旧丁)に改称
    40.1  1種25%、2種20%、3種16%、4種12%、5種10%に改正
         校長 5種10%、教頭 5種8%
    42.6  校長 4種12%、教頭 5種10%に改善
    47.1  いわゆる給特法の施行(1級・2級の教育職員に教職調整額を支給)
         教職調整額の支給される教頭は5種8%に改正
    54.1  教員給与の特別改善の一環として管理職手当の引き上げ
         大規模校の校長 4種14%、大規模校の教頭 4種12%
   平 8.4  特大規模校の校長 3種16%
 ここでは、昭和47年1月の改正、教職調整額の支給される教頭には本来の10%ではなく、減額された8%の管理職手当が支給されることとされた事情に注目したい。これは、当時の教頭は教諭と同じ2級適用が原則であり、技術的に教頭のみを区別するわけにいかず、教頭にも教職調整額を支給せざるをえないため、管理職手当の一部を振り替えた結果といわれている。
 沿革を概観するだけでは必ずしも前回指摘したような事情は十分には読み取れないが、理念的には教職調整額が支給される教頭に加えられた調整と同趣旨の調整が事実上加えられていると考えてもよいのではないだろうか。
3級加算額の3級の俸給月額に対する割合である概ね2%を教職調整額が間接的に3級及び4級に跳ね返っている水準として一応計算しておく。
 <校長・教頭に支給される管理職手当の支給割合(試算)>
   4種14% + 2%×1.14 = 16.28% … 3種16%相当
   4種12% + 2%×1.12 = 14.24  … 4種14%相当
   5種10% + 2%×1.10 = 12.20  … 4種12%相当
   5種 8% + 2%×1.08 = 10.16  … 5種10%相当


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85. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その3) [12.管理職手当]

 前回、校長及び教頭の管理職手当の支給割合は、行(一)適用官職と比べて少なくともワンランク落ちではないかと指摘した。それは何故なのか。
 前回も記したが、管理職手当の意義については次のように言われている。
 「管理職手当は、管理・監督の地位にある職員の特殊性として職務の困難性や高度の責任のほかに、実際上は超過勤務手当等の代替的な機能を担っているとされている。」
 ワンランク落ちとなっている理由は、管理職手当のこの超過勤務手当代替機能がかかわっている面もあるのではないかと思う。教(二)(三)2級が適用される一般の教員に対しては、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して俸給相当の性格を有する給与として教職調整額が支給され、これとの逆転を防止する観点から、3級には加算額が定められ、4級には一定額が織り込まれている。ということは、行(一)適用官職に支給される管理職手当は純粋に正規の勤務時間に対する報酬である本俸をベースとしているのに対して、教(二)(三)が適用される校長及び教頭の場合には、教職調整額が支給される教諭の給与水準との逆転を防止する給与水準に設定した本俸をベースとすることを媒介として、教諭に支給される教職調整額の水準が4%のすべてではないにせよ間接的に管理職手当の水準に跳ね返っているとも言えそうである。教職調整額が、時間外勤務手当の代替的機能を有しているとするならば、単純に教(二)(三)の本俸をベースに管理職手当を算定することは、重複計算となってしまう。
 このように考えることが正しいなら、教(二)(三)の4級及び3級の水準から教職調整額が支給されるために本来の本俸水準に加算されている水準を差し引いた上で、管理職手当の本来的な支給割合を乗じて管理職手当の水準を算定し、そこから逆算して、実際に適用すべき支給割合を決定すべきとは言えないだろうか。


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