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100. 役職段階別加算割合(その4) [13.役職段階別加算]

 教(二)(三)の役職段階別加算割合について、別の角度から再確認してみよう。いわゆる格合わせ方式によって行(一)と比較した場合、どのような姿になるのであろうか。

 <教(二)2級と行(一)の役職段階別加算割合の格合わせ>
   大卒経験   教(二)(間引き前)  加算割合  行(一)   加算割合
   0~11年   2-2~11(2~13)   0%    2級~6級  0~10%
   12~29年   2-12~28(14~31) 5%    7級~8級 10~15%
   30年~    2-29~33(32~36) 10%    8級     15%
 <教(二)3級・4級と行(一)の役職段階別加算割合の格合わせ>
   教(二)   加算割合  行(一)   加算割合
   3級      10%    8級~9級  15%
   4級      15%    10級      20%
   4級(特大) 20%    10級      20%
 <教(三)2級と行(一)の役職段階別加算割合の格合わせ>
   大卒経験   教(三)(間引き前)  加算割合   行(一)    加算割合
   0~11年   2-5~14(2~16)   0%    2級~6級  0~10%
   12~29年   2-15~31(17~34)  5%    7級      10%
   30年~    2-32~36(35~39) 10%    7級     10%
 <教(三)3級・4級と行(一)の役職段階別加算割合の格合わせ>
   教(三)   加算割合  行(一)   加算割合
   3級      10%    6級~9級  10~15%
   4級      15%    9級      15%
   4級(特大) 20%    9級      15%

 こうして見ると、やはりワンランク落ちということが分かる。ただ、俸給表の格合わせでは、行(一)8級以上の俸給水準になると教(二)が教(三)より1級高く設定されているのに対して、役職段階別加算割合では、教(二)と教(三)は経験年数や級が上がっても同じ割合を原則としており、そのため行(一)との関係では微妙な違いが出ているようである。しかし、賞与を「職責の大きさ×勤務実績」を基礎として支給すべきものであると考えるならば、職責の大きさを表すのは期末手当及び勤勉手当の基礎額であるから、教(二)と教(三)の均衡を考慮しようとする場合には、役職段階別加算の割合ではなく、その加算割合が反映した手当基礎額によって行うべきなのであろう。つまり、ここで行った分析は、やはり、額としての水準を比較すべきなのに、率としての水準を単純に対比させたために生じた違いと言えそうである。


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99. 役職段階別加算割合(その3) [13.役職段階別加算]

 この退職手当の調整額で総務省が行(一)との均衡を図るベースとした期末手当及び勤勉手当の役職段階別加算割合についてだが、そもそも、人事院は、教(二)(三)の役職段階別加算割合については、管理職手当(俸給の特別調整額)と同様に、行(一)よりワンランク下位の率にすることで均衡が図れるのだと考えて設定した側面があるのではないか、と思う。教(二)(三)の各職務の級を行(一)の各職務の級と格合わせした場合と比較すると、教(二)(三) の各職務の級の役職段階別加算割合は行(一)の各職務の級のそれよりも明らかに低くなっている。実際、その他の俸給表と対比してみても概ねワンランク下位の率となっていることが分かる。

 期末・勤勉手当は民間でいえば賞与に当たる。賞与が、「職責の大きさ×勤務実績」を基礎として支給すべきものであるとするならば、教(二)(三)については、行(一)の役職段階別加算割合よりもワンランク下位の割合とすることで、期末・勤勉手当基礎額が同程度の水準となり、バランスが保てると考えたのではないか。
 すなわち、教(二)(三)に役職段階別加算を行う場合、教(二)(三)の本俸には時間外勤務手当の代替えとしての側面を有する教職調整額が加算されているから、行(一)があくまで正規の勤務時間に対する報酬をベースに考えているのに比べて、教(二)(三)が有利になりすぎることになるのだ。より正確に言えば、教員の職務の複雑さや責任の度合い、困難性については、本俸に教職調整額を加算して期末・勤勉手当の基礎額に既に反映しているのだ。それに加えて役職段階別の加算を行おうとする場合に教職調整額をその基礎に含めることは、役職加算の趣旨と重複している部分があるのであると考えたのではないだろうか。
 従って、いわば重複評価をしている教職調整額分を役職段階別加算額から控除して役職段階加算割合を逆算して設定する必要がある。簡単に言えば、俸給月額に同格の率を掛けた額を俸給の月額(俸給月額+教職調整額)で割り戻すべきということだ。
  <教(二)(三)の役職段階別加算割合>
   5% + 4%×1.05 = 9.2%→概ね10%相当
  10% + 4%×1.10 = 14.4%→概ね15%相当
 計算結果は、上のとおりである。本来、行(一)みあいで10%相当であるならば、実際の役職段階別加算割合は5%でいいということ。役職段階別加算割合を10%とすれば、行(一)みあいで15%相当の効果を持つということである。
 このように考えることが正しいとするならば、一般の公務員とは大きく異なる給与制度を採用している公立学校教員について、公務貢献の度合いを単純に役職段階別加算の割合で比較をするというのは酷というものだろう。教職調整額が支給される教(二)(三)と行(一)について、その貢献度を比べようとするならば、教職調整額が期末・勤勉手当に及ぼしている働きを考慮し、役職段階別加算の割合によってではなく、本来は本俸の行(一)との均衡を基本とした対比を行うのが筋であろうが、賞与が「職責の大きさ×勤務実績」を基礎として支給すべきものであることを踏まえ、せめて役職段階別加算の額によって比較しようとするのが制度的に公平な在り方なのではないかと思う。(もっとも、教員に対する退職手当の水準は、退職手当の基本額の算定基礎に本俸的給与としての教職調整額を含めることによって既に有利に取り扱っているとの見方もできそうではあるが…。)


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98. 役職段階別加算割合(その2) [13.役職段階別加算]

 次に、これに対して、文部科学省の総務省案に対する修正案とはどのようなものか確認しておこう。
 <退職手当の調整額の区分に係る文部科学省修正案 ※一部補記>
調整額の区分 行(一)         教(二)(三)
  4号     11級(役職20%)  4級(特大規模校=役職20%)
  5号     10級(役職20%)  4級(大規模校=役職15%)
  6号     9級(役職15%)   4級(役職15%)・3級(大規模校=役職10%)
  7号     8級(役職15%)   3級(役職10%)・2級(30年=役職10%)
  8号     7級(役職10%)   2級(役職5%)
  9号     6級(役職10%)   2級
  10号    4・5級(役職5%)  1級(役職5%)
  11号    1~3級(役職0%)  1級

 一見して分かるように、総務省案と比べて、教(二)(三)の退職手当の調整額を決定するための貢献度の評価が1~2ランク高くなっている。文部科学省は、従来の行(一)との関係を踏まえた案と説明しているようであるが、なるほど、教(二)(三)の俸給表について考察してきた格合わせ方式で対比しているようである。教(二)(三)をまとめて示しているため、少し違う部分はあるこのの、教(二)2級が行(一)の8級までブリッジしていることや、教(二)1級の考察で見てきたように、それが実質的に行(一)4級まで到達していることを反映したものであることが分かる。「4級(特大規模校)」の部分が格合わせより高くなっているのは、より低い職務の級から順に積み上げた結果、このような修正案になったのではないだろうか。いずれにせよ、当然ではあるが、文部科学省は「格合わせ方式」を理解の上、その方式で貢献度を評価することが妥当であると主張したのであると考えられる。

 各県では国からいわば二つの考え方が示されたのだから混乱するはずである。総務省案でいけば教(二)(三)は行(一)との対比で確実に水準が下がってしまう。一方、義務教育費国庫負担金の対象から外された退職手当の水準に関しては、文部科学省といえども公式には指導助言できないし、何の縛りも掛けられない。おそらく、各県の県庁内部で財政当局と教育行政当局との間で厳しい調整が行われたのではないだろうか。


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97. 役職段階別加算割合(その1) [13.役職段階別加算]

 管理職手当(俸給の特別調整額)の次のテーマは、期末手当及び勤勉手当の役職段階別加算割合だろう。教(二)(三)の管理職手当では、他の職種にはない特殊事情が認められたが、果たして役職段階別加算割合についてはどうだろうか。

 ところで、人事院による給与構造の改革に呼応するように退職手当制度も構造改革の名の下に改正が行われ、新たに退職手当の調整額が設けられた。この退職手当の調整額は、公務への貢献度に応じて定額を定めて、従来の退職手当額に相当する退職手当基本額に加算しようとするもので、これを巡って、総務省案と文部科学省の修正案とが対立した。そのポイントとなったのが、期末手当及び勤勉手当の役職段階別加算割合であったのだが、なぜ、総務省の考え方と文部科学省の見解とが違ったのであろうか。その疑問を出発点にして、役職段階別加算割合について考えてみたい。

 まず、総務省案を確認しよう。行(一)の職務の級は、これまでどおり、便宜上平成18年4月改正前の11級制度のものとする。
 <退職手当の調整額の区分に係る総務省案 ※一部補記>
調整額の区分 行(一)         教(二)(三)
  4号     11級(役職20%)  -
  5号     10級(役職20%)  4級(役職20%)
  6号     9級(役職15%)   4級(役職15%、管理16%14%)
  7号     8級(役職15%)   4級(役職15%)
  8号     7級(役職10%)   3級(役職10%、管理12%)
  9号     6級(役職10%)   3級(役職10%)・2級(役職10%、30年)
  10号    4・5級(役職5%)   2級(役職5%)
  11号    1~3級(役職0%)  1~2級(役職0%)

 教(二)(三)の調整額を決定するための貢献度を行(一)と比較するのに総務省が採用した指標は、役職段階別加算割合と管理職手当であることは一目瞭然である。役職段階別加算割合がぴったり一致しており、なるほど自然な形で、一見バランスがとれていると思ってしまう。しかし、たとえば、教(二)3級である高等学校の教頭は、行(一)8級の事務長より貢献度が低いという位置づけになっている。これでは、教育職員に対する貢献度の位置づけが低いのではないかと疑問が湧く。場合によっては、一般の学校事務職員よりも教頭の方が低くなる場合もでてくるだろうし、学校現場における組織編成を考えると、なかなか説明しにくいのではないだろうか。


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