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126. 義務教育等教員特別手当(その9) [16.教員特別手当]

 ところで、教(三)が適用される義務教育諸学校の教員に支給される義務教育等教員特別手当を中心に考察を続けてきたが、この手当の性格というものをよく知るために、これら以外の者に支給される手当水準を最後にざっと確認しておきたい。
 以前、本項の(その4)で昭和53年当時の教(三)2級の俸給月額との関係を確認したが、これに対応する形で教(二)2級について、見てみよう。
 <教(二)2級に適用される義務特>
 大卒制度年数  教(二)  俸給月額  義務特  割合
    0      2-3   106,000    6,300  6.0
    5      2-8   133,000    7,900  6.0
    10     2-13  162,300    9,700  6.0
    15     2-18  196,100  11,700  6.0
    20     2-23  230,500  13,700  5.9
    25     2-28  262,600  15,400  5.9
    30     2-33  289,000  16,800  5.8
    34     2-37  304,300  17,600  5.8

 当然であるが、号俸が高くなるにつれて、本俸に対するこの手当の支給割合が6%から徐々に下がっていく。制度完成時の義務教育諸学校の教員に支給される手当水準というものは確かに6%なのであるが、高等学校の教員に対する手当水準は、これらの教諭との均衡を保つため、校種間の給与水準の金額差をそのまま維持した形を採用し、最低限の水準に止めたのである。なるほどそういう趣旨ならば、産業教育手当や定時制通信教育手当のような支給率でもって支給方法を規定するような制度化は採り得ないことになる。

 次回からは、産業教育手当について考えてみたい。


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125. 義務教育等教員特別手当(その8) [16.教員特別手当]

 前回に引き続き、義務教育等教員特別手当の上限額と号俸延長との関係について、考えてみたい。
 次は、特2級を創設し、5級制の給料表を採用した大阪府の例である。
 <大阪府 義務特手当の給別最高額>
  1-125       12,100円
  2-149~161   17,900円(+12号給)
  特2-109~113  18,500円(4号給分が同額)
  3-93~113    19,100円(+20号給)
  4-37~53     20,200円(+16号給)
 見てのとおりであるが、大阪府の場合は、1級を除き、各職務の級で12~20号給(切替え前で3~5号給)の号俸延長をしている。しかし、どの職務の級においても、義務教育等教員特別手当の最高額は、全人連モデルと同一になっており、その結果、号俸延長分の号給はすべて同じ額となっている。
 次に、兵庫県を見ておこう。
 <兵庫県 義務特手当の給別最高額>
  1-113   11,700円
  2-173   18,500円
  3-125   19,000円(特2級に相当)
  4-113   19,600円(+20号給)
  5-37~40 20,200円
  5-41~44 20,300円
  5-45~48 20,400円
  5-49~52 20,500円
  5-53~56 20,600円
  5-57 20,700円(+20号給)
 東京都や神奈川県でも3級・4級の号俸延長はしつつも、上限は20,200円のままとしているのに対して、兵庫県では、上限である20,200円を超える額を支給している。仮に、上限額を引き上げないなら、義務教育等教員特別手当の3級・4級の最高額の差は、1,100円から600円(△500円)と約半分に縮まってしまうことになる。ちなみに、東京都では、その差は200円まで縮まっている。

 以上、いくつかの県を取り上げて、号俸延長と義務教育等教員特別手当の上限額である20,200円との関係を見てきた。大半の県は全人連モデルであると思うが、教育職員の給料表の作成に当たって独自の要素を取り入れている県を一つづつ見ていくと、細部はバラエティーに富んでいるようである。


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124. 義務教育等教員特別手当(その7) [16.教員特別手当]

 前回、号俸延長された部分に着目してみたのだが、たままた号俸延長した職務の級が2級だけであったことから、義務教育等教員特別手当の上限である20,200円との関係は、全人連モデルでは問題とならなかった。
 しかしながら、各県で実際に作成された給料表の中には、全人連モデルで用意された号俸を更に延長しているものある。この場合に、それぞれの県では、上限額との関係をどのように解決したのであろうか。
 まず、全人連モデルにおける各職務の級ごとの最高額を確認しておこう。
 <全人連モデル 義務特手当の給別最高額>
  1-125 12,100円
  2-149 17,900円
  3-93  19,100円
  4-37  20,200円
 教育職給料表を全人連モデルと全くの同一とした県では、義務教育等教員特別手当についても、全人連モデルを採用しているであろう。例えば、岩手県の例を挙げる。(なお、今後引用する各県の例は、小中学校に勤務する教員に適用される給料表の職務の級及び号給をベースに表示する。)
 <岩手県 義務特手当の給別最高額>
  1-125 12,100円
  2-149 17,900円
  3-93  19,100円
  4-37  20,200円
 当たり前であるが、全人連モデルと全く同じである。それでは、全人連モデルを更に号俸延長している県ではどうか。例えば、福岡県の例を確認してみよう。
 <福岡県 義務特手当の給別最高額>
  1-137 12,500円(+12号給)
  2-161 18,500円(+12号給)
  3-101 19,400円(+8号給)
  4-37~45 20,200円(+8号給)
 職務の級が3級までの場合は、号俸延長に伴って、義務教育等教員特別手当も引き上げていることが分かる。ところが、4級になると、号給は8号給分(切替え前の2号給分)延長しているにもかかわらず、義務教育等教員特別手当の方は、上限額である20,200円で頭打ちとなっている。その結果、3級と4級の最高号給に対する義務教育等教員特別手当の差は、1,100円から800円(△300円)に縮まっている。しかし、基本給である給料月額の差は、17,400円から19,400円(+2,000円)に広がっているから、気にする必要はないのかもしれない。


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123. 義務教育等教員特別手当(その6) [16.教員特別手当]

 次に、号俸延長された部分に着目してみたい。
全人連モデルでは、号俸延長した部分の義務教育等教育特別手当の俸給月額に対する割合については、改定前の最高号俸である2-39に対応する2-137の割合である4.3%を維持したものとなっている。これは、どういう考えによるのだろうか。モデルでこのような形を採用した理由は説明されていない。
 そこで、昭和53年に今回の号俸延長に相当する号俸が存在していたとしたならば、義務教育等教員特別手当はいくらになっていたであろうか、ここで考えてみたい。号俸延長の手法は、単純に枠外号俸の考え方に従って2,600円づつ増やしていくこととする。そして、当時の義務教育等教員特別手当の俸給月額に対する割合は6.0%であるから、これを号俸延長後の俸給月額に乗じ、100円未満を切り捨てすればよい。
<昭和53年に号俸延長したと仮定した場合の義務教育等教員特別手当>
 大卒制度年数  教(三)   俸給月額  義務特  割合
    30      2-35  280,600  16,800  6.0
    34      2-39  294,000  17,600  6.0
    35(延長)  2-40  296,600  17,700  6.0
    36(延長)  2-41  299,200  17,900  6.0
    37(延長)  2-42  301,800  18,100  6.0
 これを、前回確認した実際の全人連モデルと比較すると、大卒制度年数で36年、37年については、こちらの方が100~200円高くなっている。 
 <全人連モデルの号俸延長部分>
大卒制度年数 新教(三)  俸給月額 モデル義務特 割合 昭53義務特 割合
    35    2-141  412,100   17,700  4.3   17,700  4.3
    36    2-145  414,300   17,800  4.3   17,900  4.3
    37    2-149  416,500   17,900  4.3   18,100  4.3

 昭和53年の俸給表の号俸延長を単純に枠外号俸で考えたことがいけないのであろうか。しかし、例えば、教(二)は教(三)とのバランス上、教(二)の号俸に制度的に対応する教(三)の号俸に係る義務教育等教員特別手当としている訳だが、教(二)1級は教(三)1級と比べて号俸数が多く、高位号俸になると制度的に対応する号俸がないために、教(三)1級の枠外号俸を想定して6.0%を乗じて算出しているようなのである。従って、今回、考えてみるに当たって、義務教育等教育特別手当の沿革的な経緯を踏まえ、教(三)2級の枠外号俸を想定して手当額を算出しても、あながち間違いとはいえないと思うのだが…。


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122. 義務教育等教員特別手当(その5) [16.教員特別手当]

 それでは、現在の義務教育等教育特別手当の俸給月額に対する割合はどうなっているのであろうか。全人連モデルにより確認しておこう。
 <平成18年全人連モデルの義務教育等教員特別手当>
 大卒制度年数  旧教(三) 新教(三)  俸給月額 義務特 割合
    0      2-5    2-13   190,500  6,300 3.3
    5      2-10   2-33   230,500  7,900 3.4
    10     2-15   2-49   275,200  9,700 3.5
    15     2-20   間引き
    20     2-25   2-81   350,800 13,700 3.9
    25     2-30   2-101  380,200 15,400 4.1
    30     2-35   2-121  399,100 16,800 4.2
    34     2-39   2-137  409,900 17,600 4.3

 号俸延長が行われた部分は、次のようになっている。
 大卒制度年数  旧教(三) 新教(三)  俸給月額 義務特 割合
    35     -      2-141  412,100 17,700 4.3
    36     -      2-145  414,300 17,800 4.3
    37     -      2-149  416,500 17,900 4.3

 昭和53年完成時の義務教育等教育特別手当の俸給月額に対する割合と比較して見ると、平成18年4月の給与構造改革後のそれは、若い号俸では3.3%となっているが、最高号俸付近では4.3%と一律ではないことがまず目に付く。これは、この間の給与改定が俸給表の各号俸に対して均一に実施されたのではないことの証左であり、特に給与構造改革により、俸給表のカーブがフラット化されたことにより生じたものと考えてよいであろう。


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121. 義務教育等教員特別手当(その4) [16.教員特別手当]

 ところで、この義務教育等教育特別手当については、人材確保法による第二次改善で俸給月額の4%相当額の手当として新設され、第三次改善で俸給月額の6%相当額に増額され、昭和53年に額が引き上げられ(上限、月額20,200円)、現在に至っている。
その後、給与改定が実施されても、この手当の改定は行われなかったため、6%相当額が目減りし、現在は実質3.8%程度と言われている。
 まず、昭和53年当時の教(三)2級の俸給月額との関係を見ておこう。
 <完成時の義務教育等教員特別手当>
 大卒制度年数  教(三)  俸給月額  義務特  割合
    0      2-5   106,000   6,300  6.0
    5      2-10  133,000   7,900  6.0
    10     2-15  162,300   9,700  6.0
    15     2-20  196,100  11,700  6.0
    20     2-25  228,700  13,700  6.0
    25     2-30  256,900  15,400  6.0
    30     2-35  280,600  16,800  6.0
    34     2-39  294,000  17,600  6.0
  当然ながら、1級も3級も4級もすべての号俸に対する割合が6.0%なのであった。


120. 義務教育等教員特別手当(その3) [16.教員特別手当]

 この義務教育等教育特別手当については、以前から教員優遇措置の一つとして財務省がやり玉に上げている。

  例えば、平成18年10月20日に開催された財政制度等審議会の財政制度分科会の歳出合理化部会及び財政構造改革部会合同部会において、財務省の中川主計官(文部科学担当)が次のような発言をしている。

 「なお、人確法に基づく教員の優遇が教員給与のどこに隠れているのかということも、きちんと見ておこうということになってございまして、その部分が斜線でかけた部分になっています。つまり教員の本給が一般行政職の本給を上回っている分、括弧して1万6,096円とある部分及び義務教育等教員特別手当という部分、これは、もともと本給に入っていたものが切り出されてつくられた特別の手当でございまして、いわば本給だけで見て、余りにも教員が高くなり過ぎるのを、いわばカムフラージュしてきた手当でございます。」 

 この発言は、平成18年6月21日に自民党歳出改革PTに提出した財務省・文部科学省連名の資料を説明した下りである。「括弧して1万6,096円とある部分」というのは、職務給の原則により給料月額が一般行政職より高くなっている部分で、義務教育等教員特別手当については、13,692円となっている。別の資料では、この義務教育等教員特別手当と給料に準ずる手当と説明しており、それをいわば「カムフラージュ手当」と説明しているのである。

 まあなんというか、うまく表現したものだなあと感心する一方、やはり、何か意図のある発言ではある。それに加えて、人材確保法については、田中角栄内閣時代に成立した「議員立法」と説明している。西岡武雄や森喜朗などの文教族議員によるところが大きいとはいえ、歴とした閣法であるにもかかわらず、当時の大蔵省は賛成していなかったとでも言いたいのか、議員立法と誤った説明をするとは、あきれかえる。


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119. 義務教育等教員特別手当(その2) [16.教員特別手当]

 義務教育等教員特別手当は、人材確保法に基づく教員給与の第二次改善措置の一環として、昭和50年1月に設けられた手当である。人事院勧告の説明によれば、義務教育諸学校の教育職員に優秀な人材を確保するために、人材確保法に基づき当該職員の給与の水準を特別に引き上げることとするものの、俸給表の改善により措置することは他との均衡上おのずからの限度があり、その限度を超える部分についてはこの特別手当により措置することとするのが適当であると説明している。
 この手当の月額は、他の手当と比べて、特異な定め方をしている。旧人事院規則九-六八(義務教育等教員特別手当)の別表を見れば分かるが、その形は俸給表と全く同じなのである。先の人事院の説明を深読みすれば、教(二)(三)以外の俸給表への影響を考慮しないでよいなら、本来この手当は、俸給月額そのものを特別に引き上げるためのものであるということだ。従って、手当月額の規定の仕方は、「俸給月額×支給割合」ではなく、俸給表とまったく同じ形(百円単位で定めることも含めて)を採用したのだと考えられる。
 しかし、産業教育手当や定時制通信教育手当と同じように「俸給月額×支給割合」でもよいではないか。そうすれば、給与改定に伴い、自動的に手当額は増減されることになり、教員給与の第三次改善で確保された俸給月額の6%相当の水準が低下することなく、現在に至っても保持されたはずである。しかし、人事院はそうしなかった。
 どうもそれは財政上の理由からであるらしい。当時確保された教員給与特別改善の予算の範囲内で改善を行ったらしいのだ。従って、改善措置が終了すれば、これ以上は増額できないという理屈なのだろう。だが、何故、こんな形を採用したのかを説明する制度的理由にはならないと思う。本来的には義務教育諸学校の教育職員の給与水準、すなわち公務部内における給与上の評価を表示する俸給月額と一体となるべき職務給的な給与という性格を付与したかったのだろうが、その限度を超えてしまったがために、仕方なく下駄を履かせるだけの手当に止めざるを得なかったというところか…


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118. 義務教育等教員特別手当(その1) [16.教員特別手当]

 さて、次に何をテーマにするかだが、行(一)の俸給水準との比較という観点からすれば、まず、義務教育等教員特別手当を考察しなければならないだろう。
 中央教育審議会の答申「今後の教員給与の在り方について」でも、給料、教職調整額の次には「諸手当等の見直し」として、真っ先に取り上げてたのが、この手当である。その部分を答申から引用してみよう。

○ 義務教育等教員特別手当
 メリハリを付けた諸手当の充実を図る観点から、人材確保法に基づく第二次給与改善に際して教員給与の優遇措置として導入され、小・中・高等学校等の教員に一律に支給されている義務教育等教員特別手当について廃止を含めて縮減を検討し、その財源をメリハリある給料や諸手当の充実のために活用することを検討する必要がある。

 その他の教員に特有の手当等が一つ一つ取り上げられ、検討が加えられているのだが、この手当ほど、骨太の方針2006に掲げられた方針を示しているものはない。確認の意味で、骨太2006から引用してみる。

○各分野における歳出改革の具体的内容
 文教
 義務教育費国庫負担金について以下の見直しを行う。
 ・人材確保法に基づく優遇措置を縮減するとともに、メリハリをつけた教員給与体系を検討する。その結果を退職手当等にも反映させる。

 「骨太の方針2006」を言い換えただけと言っていいほどだ。しかしながら、ここには大きな飛躍がある。骨太方針は、歳出改革の具体的内容のメニューとして、「義務教育費国庫負担金の見直し」方針を示しているのに対して、中教審答申では、手当の見直しの観点から論じているのである。その点については、もちろん中教審の答申でも十分に認識していて、「これを踏まえ、それぞれの諸手当等について、必要に応じて、義務教育費国庫負担金の算定根拠を見直すことが適当である」とちゃっかり書き加えている。
 給与の財源である負担金の見直しの話と給与制度としての手当の見直しとでは、次元が全く違うはずである。人材確保法に基づく給与改善の一環として教員給与の優遇措置として導入されたのであるならば、そこには当然、何に対して優遇し、その水準はどの程度とすべきなのかの検討があったはずである。従って、それを見直そうとするのなら、これまで維持されてきた公務部内における水準の均衡を変更することにつながる側面があるのであり、制度的には単に財源が削減されたからというのでは理由にならないのではないだろうかと思うのだが…。


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