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158.特2級創設=全人連モデル(その7) [19.特2級モデル]

 前回までの考察で、教(二)(三)に新たに特2級を設けるにあたっての外枠が確認できたと考えてよいだろう。次に、特2級を設ける場合の俸給制度表を再確認しておく。(いずれも、一定額加算昇格制度を考慮した方式で作成)
 <教(二)俸給制度表>大卒制度年齢(大卒後経験年数)
           2級       特2級      3級
  初号     22歳(0年)  28歳(6年)  34歳(12年)
  最高号俸  56歳(34年) 55歳(33年) 53歳(31年)
 <教(三)俸給制度表>大卒制度年齢(大卒後経験年数)
           2級       特2級      3級
  初号     22歳(0年)  28歳(6年)  30歳(8年)
  最高号俸  56歳(34年) 55歳(33年) 53歳(31年)

 これにより特2級に号俸を割り振るとなると、初号から最高号俸までの年数が28年であるから、1号俸+4号俸×(28年-1年)=109号俸が最高号俸となる。

 特2級の水準をどの程度とするかについては、これは、文部科学省がどれだけ予算を確保したのかによると思うが、全人連モデルを確認すると、「2級と3級の中間水準」を基本として作成したようである。
 具体的に考察してみると、基本は、義務教育諸学校の教育職員に適用される教(三)を基本にしているようである。先ほど記した(三)の俸給制度表に基づき、3級初号とこれに対応する同年次の2級の号俸である45号俸の中間水準を特2級における同年次の9号俸の額としているようである。
  3-1    286,300円
  特2-9  276,100円(3-1との差10,200円)
  2-45   265,900円(特2-9との差10,200円)
 次に、原則として、4年ごとに同様の手法で特2級の号俸の額を確定する。中間水準の額の端数は100円単位となるように調整している。その際、号俸間差額が100円単位となるようにし、かつ、基幹号俸間差額で見ると、ちょうどその4倍になるように設定することを基本としているようである。
 ただし、原則どおりに単純に号俸の額を設定していくと、特2級最高号俸に教職調整額を加算した額が3級最高号俸に3級加算額を加算した額を超えてしまうことになる。
  3-93  438,100円
  2―137 409,900円(3-93との差28,200円)
 単純に中間とすると、特2-101は424,000円となるが、特2-9の額276,100円との差額は147,900円となって、4で割ると100円単位とならない。基幹号俸で「4で割ると100円単位」となるように設定するとなると、特2-101は424,100円とするか423,700円のいずれかの額とすべきことになる。
 ところで、2級最高号俸付近の基幹号俸間差額は、2,200円となって、しかも、号俸延長を行った結果と思われるが、133号俸以上の基幹号俸間差額は同額となっている。
 途中の詳細は省略するが、特2級のこのあたりの基幹号俸間差額を考えると、特2-101を424,100円とすると2,400円となり、423,700円とすると2,000円となる。ここで、基幹号俸間差額を2,000円とすれば、2級の昇給カーブよりもゆるいカーブとなるため、採用できない。また、基幹号俸間差額を2,400円で置いて単純計算すると、最高号俸は428,900円、教職調整額を含むと446,056円となって、3級最高号俸に3級加算額を加算した額445,600円を超える額となってしまうのである。
 この点に配慮して、全人連モデルでは、特2級の最高号俸の水準を若干押さえ、2級の昇給カーブとの均衡にも配慮して、基幹号俸間差額を2,200円となるように設定したように思うのである。
 教(二)の特2級については、教(三)に準じて作成すればよい。


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157.特2級創設=全人連モデル(その6) [19.特2級モデル]

 特2級の最高号俸の制度年齢の設定を考えるに当たり、もう一つ考えておかなければならないことがある。それは、3級及び4級の最高号俸の制度年齢が、元々、2級の56歳よりも2年分上位の58歳となっている理由は何かということだ。それを踏まえないと、特2級の最高号俸の位置を、2級に合わせるべきなのか、それとも、3級に合わせるべきなのかが分からなくなる。

 教(二)(三)の初任給基準表を見ると、教諭の学歴免許等は、短大卒から博士課程修了までとなっている。
 <教(二)(三)初任給基準表=給与構造改革前>
  学歴免許等    教(二)   教(三)
  博士課程修了  2-9   2-12
  修士課程終了  2-5   2-8
  大 学 卒     2-2   2-5
  短 大 卒     1-4   2-2
 ここで注目したいのは、大学卒の初任給基準と博士課程修了の初任給基準との号俸差である。これまで、俸給制度を考える場合には、大学卒を基本にして考察してきたのだが、そもそも、学歴の違いで、教(二)(三)の初任給基準という、いわば出発点に修学年数差以上の号俸差があるのだ。大学卒と博士課程修了では、修学年数差5年に対して、号俸差は7年となっているのである。
 これを踏まえて、教(二)(三)の3級及び4級の俸給制度表を2年分前倒しすると、その最高号俸の制度年齢は56歳となり、大学卒ベースで作成した2級の俸給制度表における最高号俸の制度年齢とちょうど一致することになるのである。
 このような高学歴者の優遇は、教育職俸給表を基本に設けられている制度である。

 ところで、新しく設けられた主幹教諭及び指導教諭に必要となる教育職員免許状の種類はというと、教諭と同じものでよいことになっている。原則は、学士を要件とする一種免許状ということになる。これに対して、教頭については、近年、免許状がなくても任命することが可能になったが、原則としては、修士相当の専修免許状を必要とする。

 こういったことをつらつら考えていくと、主幹教諭及び指導教諭については、基礎資格としては、教諭と同じであることから、それらの職務に適用される特2級に必要になる号俸数は、2級と同じだけの数を用意すればよいことになる。
 すなわち、特2級の最高号俸の位置は、2級のそれと同じく、大卒制度年齢で56歳とすればよいことになるのであるが、ここで注意しなければならないのは、平成2年度に確立した制度で見て、56歳の位置ということである。
 従って、これを、給与構造改革後の一定額加算昇格制度を踏まえた俸給制度表で見ると、1年前倒しとなり、55歳ということになってくるのである。これで、特2級の最高号俸の位置は決まった。


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156.特2級創設=全人連モデル(その5) [19.特2級モデル]

 特2級の創設を含む教(二)(三)に相当する給料表について、この間、いくつかの県人事委員会が勧告や報告をしている。確認できた県を挙げると、本日現在で、徳島県のほかに、愛知県、愛媛県、佐賀県、奈良県、福岡県となっている。これは多いのか、少ないのか分からないが、いずれも全人連モデルを採用しているようである。

 さて、前回、特2級の最高号俸の位置を考えてみたが、そもそも、現行の2級のそれが制度年齢56歳、3級及び4級のそれが54歳となっているのは、どのような沿革的な事情によるのであろうか。これは、これまでの給与改定を遡る作業を行わなければならない。

 関係する沿革的経緯の主な事項を挙げてみる。
 まず、8等級制から11級制への移行にあたり、採用から退職までの公務員生活を想定して、必要となる号俸数が用意されたのだが、その際、56歳昇給延伸制度を前提として、制度年齢57歳までの号俸が設けられた。
 続いて、平成2年に初任給基準が1号俸改善されたため、最高号俸の位置が57歳から56歳になった。これが、基本的には給与構造改革まで続くことになる。
 その後、平成4年から漸進的に導入された1号俸上位昇格制度に対応して、平成8年に教育職俸給表等においては号俸の間引きが実施された。教(二)(三)については、2級で3号俸、3級では1号俸又は2号俸の間引きが行われ、その結果、2級の最高号俸は、制度年齢56歳から53歳に変わり、3級の最高号俸は、それまでの58歳から55歳に前倒しになったのである。ただし、それは完成時における最高号俸の制度年齢であって、間引きされた号俸より上位の号俸に在職していた者については、号俸間引きの効果を受けないため、間引き前の制度年齢まで昇給できるのではあるが。
 こうして、平成18年の給与構造改革に伴う給料表の切替えを迎えることになる。その際、在職者が9割以上の枠外号俸について3号俸を限度に号俸の延長が行われることとなったが、教(二)(三)の全人連モデルでは、2級では3号俸が延長され、3級及び4級については延長されなかったところである。
 その結果、給与構造改革により1号俸上位昇格制度に代えて導入された一定額加算昇格制度を前提に俸給制度表を作ると、先に述べたように、2級の最高号俸の制度年齢は56歳となり、3級及び4級のそれは54歳となるのである。

 さあ、これで、特2級の最高号俸の制度年齢ついての沿革的経緯を踏まえた検討を行うための準備がほぼ整った。


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155.特2級創設=全人連モデル(その4) [19.特2級モデル]

 前回で、特2級の初号の位置を決めたので、最高号俸の位置を決める必要がある。当然、2級や3級との均衡を確保しなければならないのだが、そもそも最高号俸とは何なのかを踏まえなければならない。

<国家公務員法第64条第2項>
 俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、且つ、等級又は職級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。

 ここで注意すべきことは、「等級又は職級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。」という部分である。職務給の原則に基づくレンジレートの考え方を示しているのであるが、最高号俸は、明確に幅をもって定められた俸給額の最高額であるということである。言い換えれば、考え方としては、先に初号の位置と額を決め、次に最高号俸の位置と額を決めた後、各号俸の額を割り振っていくという手順になるということだ。これまでの給与改定では、実際には、在級実態を踏まえて、号俸の延長が行われてきたことからすれば、奇異な感じがしないでもないが、それは、これまでの俸給制度運用が、多分に日本的な運用を行わざるを得なかったものによるものと考えていいだろう。しかし、本来的な職務給の考え方に立てば、今説明したように考えることになるものと思う。

 さて、それでは実際に、特2級の最高号俸の位置をどう設定すべきなのであろうか。そのためには、まず、現行の2級及び3級の最高号俸の位置を理解しておく必要がある。
 平成18年4月切替え後の俸給表モデルにより俸給制度表を作って確認してみる。2級大卒初任給を制度年齢22歳と置き、3級の初号は昇格対応関係で置くと、教(三)は31歳、教(二)は35歳となる。この場合の教(二)(三)2級~4級の最高号俸の俸給制度表上の位置は次のようになる。
 <教(二)(三)2~4級の最高号俸の位置>
  2級 56歳
  3級 54歳
  4級 54歳

 特2級の最高号俸の制度年齢は、2級と3級の真ん中の55歳とすればいいのだろうか。ちょっとそれは短絡的だろう。もう少し考えてみたい。


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154.特2級創設=全人連モデル(その3) [19.特2級モデル]

 前回、特2級の給与処遇上の「格」として、とりあえず、「行(一)旧7級(新5級)を基本、旧4級(新3級)~旧8級(新6級)」と想定して、考察を進めることとしたが、これを行(一)の級別標準職務表で確認しておく。
 <行(一)の級別標準職務表>
  旧4級(新3級) 本省の係長
  旧5級(新3級) 本省の相困係長
  旧6級(新4級) 本省の困難係長
  旧7級(新5級) 本省の課長補佐
  旧8級(新6級) 本省の困難課長補佐

 ところで、俸給表の設計に大きく影響する級別資格基準はどうなっているのであろうか。
まず、教頭の級別資格基準であるが、教(三)3級の必要経験年数は、大学卒11年、教(二)3級のそれは、大学卒16年とされている(昭和39年給実乙第74号)。これは、それぞれ、行(一)Ⅱ種(大学卒)の旧6級の級別資格基準である必要経験年数11年、旧8級の級別資格基準である必要経験年数15年と概ね一致する。
 そうすると、主幹教諭や指導教諭の職務・職責を考えてみると、その級別資格基準については、行(一)Ⅱ種(大学卒)の旧4級に相当するものと考え、必要経験年数7年とすべきであろう。この点については、教(三)3級が行(一)新4級(旧6級)であることから、給与構造改革に伴う級構成の再編により旧4級と旧5級が統合されたことを考慮し、その級別資格基準は、新4級の一段階手前になる統合後の新3級に相当すべきものと考えるのが妥当だろうと思う。

 これで特2級の初号の位置を決めることができることになり、行(一)Ⅱ種(大学卒)の新3級の初号の位置と同じ位置とすればよいことになる。
 では、全人連モデルではどうか。これまで、このノートでくどくど述べてきたことについて、結論だけを数行程度でさらっと述べている。たぶん、ここで考察してきた考え方は、概ね間違ってはいないだろうと思う。


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153.特2級創設=全人連モデル(その2) [19.特2級モデル]

 主幹教諭等に適用しようとする教(二)(三)特2級を創設するとすれば、まず、教育職員内部での給与処遇上の「格」を決めるとともに、それが行(一)のどの職務の級に相当するのか検討する必要がある。

 改正学校教育法によれば、新しく設置される職を含め、学校に置く主要な職を校長から順に教諭まで並べると、次のようになる。
①校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
②副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
③教頭は、校長及び副校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。
④主幹教諭は、校長、副校長及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育をつかさどる。
⑤指導教諭は、児童の教育をつかさどり、並びに教諭その他の職員に対して、教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う。
⑥教諭は、児童の教育をつかさどる。
 法令上の位置づけとしては、主幹教諭や指導教諭の職責は、明らかに教諭や教頭と一線を画している。文部科学省もその前提で立法作業を行ったのであろうし、平成20年度予算上においても、2級と3級の間に新たに職務の級を創設することを考えている。
 この点を確認的に記載すると、次のようになる。
   4級  校長
   3級  副校長、教頭
   特2級 主幹教諭、指導教諭
   2級  教諭、養護教諭、栄養教諭
   1級  助教諭、養護助教諭、講師等

 さて、問題は、特2級が行(一)の職務の級でいえばどの級に相当するのかである。行(一)との「格合わせ」を考える必要がある。そうでなければ、初号の位置も決まらないし、昇格メリットや役職段階別加算など、給料月額以外の給与上の処遇を検討できないであろう。
 それでは、教(二)(三)の2級と3級は、行(一)のどの職務の級に相当するのであったかを思い出してみたい。ちょっと粗っぽいが、概ね、次のようになったはずである。
 <教(二)>
   3級  行(一)旧9級(新7級)を基本、旧8級(新6級)~旧9級(新7級)
   2級  行(一)旧6級(新4級)を基本、旧2級(新1級)~旧8級(新6級)
 <教(三)>
   3級  行(一)旧8級(新6級)を基本、旧6級(新4級)~旧8級(新6級)
       ※旧9級(新7級)相当とすべき側面もあるが、給料水準としては、旧8級(新6級)を若干超える程度であることを考慮し、このようにしておく。
   2級  行(一)旧6級(新4級)を基本、旧2級(新1級)~旧7級(新5級)

 特2級は、2級と3級の間の水準であることからすれば、概ね次のように想定すべきではないだろうか。
 <教(二)・教(三)>
  特2級  行(一)旧7級(新5級)を基本、旧4級(新3級)~旧8級(新6級)
 全人連モデルでは、どのように考えているのか分からない。教(二)と教(三)では、違っていいのかもしれない。特2級をどのような給与処遇上の「格」とするかは、考え方の問題であるから、この段階であれこれ詮索しても始まらない。とりあえず、想定として、この程度のものと仮定し、先に進んでいきたい。


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152.特2級創設=全人連モデル(その1) [19.特2級モデル]

 仕事が忙しくて、学習ノートの考察をさぼっていたが、今日(2月5日)、ちょっとした記事が出たので、これをネタにノートを再開したい。

 時事通信出版局のサイトに、「教育関連ニュース」として、徳島県人事委員会が主幹教諭等の設置に伴う5級制の給料表を勧告したとの記事が掲載された。

「2008年02月05日16時25分
●主幹教諭設置で給料表改定へ-徳島県人事委
 徳島県人事委員会は5日、学校教育法の改正に伴い2008年度から設置できる副校長と主幹教諭、指導教諭の給与のあり方について、現行の給料表を4級制から5級制に改定することなどを知事と県議会議長に勧告した。
 勧告では、全国人事委員会連合会の研究の成果を踏まえ、給料表の級構成を現行の4級制に特2級を加えた5級制に改め、副校長を教頭と同じ3級、主幹教諭、指導教諭を特2級とする。また諸手当のうち一般職員の超過勤務手当に当たる教職調整額は、主幹教諭、指導教諭も一般教諭と同様、支給対象(給与月額の4%)とすることなどを求めている。
 県は勧告に基づき、2月県議会に条例改正案を提出し、可決されれば08年4月から施行する方針。(了)」

 早速、徳島県人事委員会のHPでその勧告された教育職給料表を確認してみると、それは、どうも全人連モデルによる20年4月改正の給料表をそのまま使用したもののようであった。
 この学習ノートでは、これまで「格合わせ」をキーワードに考察を行ってきた。今回、特2級創設を含む旧教育職俸給表(二)及び旧教育職俸給表(三)のモデル給料表が示されたわけであるが、これから、これまでの考察を通じて得られた考え方を駆使して、モデル給料表を「分解」し、「どのような考え方でもって、その給料表を作ろうとしたのか」、これから探っていきたい。


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