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217.特2級から3級への昇格(その6) [26.特2級から3級へ]

 これまで、平成20年4月及び平成21年4月に主幹教諭又は指導教諭の職を新たに設置し、旧教育職俸給表(二)又は旧教育職俸給表(三)に相当する給料表に新たな職務の級として特2級を設けたいくつかの県の給与条例や人事委員会規則の規定を取り上げてきた。
 この項の最後に、他の県の人事委員会規則に見られないユニークな規定を設けている京都府の例を取り上げておきたい。
 改正条例の附則については、C県とほぼ同じ内容と考えてよいと思う。ところが、人事委員会規則を確認してみると、昇格等に関して、平成24年度までの間に独自の経過措置を設けているのである。少し長くなるが、引用しておきたい。

(施行期日)
1 この規則は、平成21年4月1日から施行する。
(昇格等に関する平成24年度までの間の経過措置)
2 平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間に職員を教育職給料表(2)又は教育職給料表(3)の特2級に昇格させた場合におけるその者の号給は、第1条の規定による改正後の職員の給与、勤務時間等に関する規則別表第8の3教育職給料表(2)昇格時号給対応表及び別表第8の4教育職給料表(3)昇格時号給対応表(以下「改正後の教育職給料表昇格時号給対応表」という。)の規定にかかわらず、次の表の左欄に掲げる昇格の時期の区分に応じ同表の右欄に掲げる号給とする。
        <左欄>                         <右欄> 
 平成21年4月1日から平成22年3月31日までの間   その者に適用される給料表の別に応じ、かつ、昇格した日の前日に受けていた号給に対応する改正後の教育職給料表昇格時号給対応表の昇格後の号給欄に定める号給(以下「対応号給」という。)の3号給下位の号給
 平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間   対応号給の2号給下位の号給
 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間   対応号給の1号給下位の号給

3 平成21年4月1日、平成22年4月1日、平成23年4月1日又は平成24年4月1日(以下「各調整日」という。)において、当該各調整日の前日から引き続き教育職給料表(2)又は教育職給料表(3)の特2級又は3級に在職する職員(当該各調整日に2級から昇格する職員を除く。)の当該各調整日における号給は、その者が当該各調整日に属する職務の級への2級からの昇格が当該各調整日に行われたものとした場合との均衡上必要と認められる限度において、人事委員会の定めるところにより、必要な調整を行うことができる。

 これらの規定をみると、特2級創設に伴って、一挙に原則的な昇格時号給決定の方式を導入するのではなく、4年間をかけて、段階的に完成型に辿り着こうという発想のようなのである。
 特2級創設の効果を改めて考えると、2級と3級の間に新たな職務の級を割り込ませ、そこに昇格加算額制度を持ち込んだために、従前の2級から3級への昇格対応関係よりも4号俸以上のメリットが生まれたことになっている。
 そう考えると、京都府の方式によるならば、B県のような逆転問題の発生を避けて給与秩序をかろうじて維持しつつ、しかも、財政負担も一挙に発生することなく、新たな級である特2級の導入が実現できることになるのではないだろうか。詳細の考察をする時間はないけれども、きっとそのようなことを考えたのではないかと思うのである。これは、財政事情の厳しい都道府県にとっての現実的な解決策の一つかもしれない…。

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216.特2級から3級への昇格(その5) [26.特2級から3級へ]

 せっかく特2級を創設したのに、3級に昇格すると本俸(本俸的給与)が下がってしまうのでは、給与制度としては問題が多いと思う。しかし、少なくない県でそのような昇格方法を採用しているのは、やはり、財源問題が大きいのであろう。
 特2級を創設すれば、特2級に昇格した者の本俸がアップし、それに財源が必要になるのは、素人でも誰でもわかる。ところが、そのために、既に3級以上に昇格している者の本俸も引き上げることには、抵抗があるのだろう。主幹教諭や指導教諭となれば、それまでの教諭とは職務内容が異なり、責任も重くなるのだから理解できる。しかし、教頭や校長については、主幹教諭や指導教諭を設置したことで職務負担が軽減されることはあっても、それに伴って職責がより重くなるという訳ではないのに、なぜ、本俸を引き上げるような調整を行わなければならないのかと素朴な疑問が湧くのも当然だろうし、在職者調整の必要性を説明するのも困難であったのだろうと想像する。

 その辺りについて、平成20年2月の全人連モデルでの説明では、どのようになっていたのであろうか、引用しておく。
 「(2) 昇格加算額を9,000円とすることにより3級以上の職(校長、教頭等)で、実質的な処遇が若干上がる(4~14号俸)こととなる。
 既存の級と級の間に新級が挿入され、昇格というステップを踏むことになれば、それに応じて上位の級の対応関係が有利に働くことは制度的にも不可避のところであると考える。また、今回の学校教育法の改正では教頭よりも格の高い副校長及び初任の役職である主幹教諭の設置が規定されており、校長、教頭等の職務・職責の高まりを考慮すれば特段の問題は生じないものと考える。
なお、これに伴い、現に3級に在職する者について、一部在職者調整を要する場合が生じる可能性がある。」
 かみ砕いて説明すれば、「校長、教頭等の職務・職責については、主幹教諭の設置が法制化されるほど既に高まっているのだから、在職者調整は当然である」との認識だと受け止めてよいだろう。

 もちろん、昇格時号俸決定について、原則どおりの方法を採用している県もある。条例や人事委員会規則を点検してみて、余計な内容が書かれていなければ、たぶん、原則どおりの運用と見てよいだろう。
 C県の条例を取り上げる。特2級を創設した条例の附則は次のようになっている。

1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。
2 この条例の施行の日前に○○県公立学校職員の給与に関する条例別表第1および別表第2の給料表の適用を受ける職員のうち同日前に職務の級を異にして異動した職員および人事委員会の定めるこれに準ずる職員の新号給については、その者が同日において職務の級を異にする異動等をしたものとした場合との権衡上必要と認められる限度において、人事委員会の定めるところにより、必要な調整を行うことができる。

 そして、C県の人事委員会規則を点検すると、A県やB県のような規定は見あたらないので、原則どおりの昇格運用と考えられる。更に、附則第2項は、いわゆる在職者調整の根拠規定と考えられるので、この県では、特2級創設に伴って、3級以上に在級している者に対する調整措置を講じたのであろうと思われるのである。

 いずれにしても、行政職給料表適用職員の在職者調整については、調整の際には財源が必要になると思われても、結局は民間給与実態調査に基づく公民比較の中で解消されるとも考えられるのだが、教育職については、民間比較対象外職種であるがために、別途財源を確保しなければならないのである。

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215.特2級から3級への昇格(その4) [26.特2級から3級へ]

 特2級から3級への昇格に伴う対応号給の決定に当たって、原則的な運用をせず、2級に在級していたものとみなして再計算した号給を基礎に改定前の昇格時号給対応表により3級昇格時の号給を決定すると、特2級在級時よりも本俸(本俸的給与)が下がってしまう逆転現象が生じることについては、前回のノートで指摘した。

 具体例を取り上げて考察しておこう。(モデルなので昇給抑制措置は考慮しない。)

○教(二)の例
       昇給の経過                   再計算の過程
 20.1.1 2級100号俸 401,500円(417,560円) →2級100号俸
 20.4.1 特2級76号俸 415,900円(432,536円)      -
 21.1.1 特2級80号俸 421,500円(438,360円)   2級104号俸
 21.4.1 3級50号俸  426,800円(434,500円) ←3級50号俸
        ※昇格差額 5,300円(▲3,860円)
(参考)原則的運用の場合 3級56号俸 436,500円(444,200円)
                   ※昇格差額 15,000円(5,840円)

○教(三)の例
       昇給の経過                   再計算の過程
 20.1.1 2級110号俸 389,400円(404,976円) →2級110号俸
 20.4.1 特2級74号俸 402,400円(418,496円)      -
 21.1.1 特2級78号俸 406,700円(422,968円)   2級114号俸
 21.4.1 3級63号俸  411,500円(419,000円) ←3級63号俸
        ※昇格差額 4,800円(▲3,968円)
(参考)原則的運用の場合 3級70号俸 420,000円(427,500円)
                   ※昇格差額 13,300円(4,532円)

 具体的に考えていくと、更に心配になってくる。この方式で昇格時の号給を決定すると、特2級在級期間が長ければ長いほど、逆転が広がると思われるからである。
 前記の例で更に考えてみる。

○教(二)の例
       昇給の経過                   再計算の過程
 20.1.1 2級100号俸 401,500円(417,560円) →2級100号俸
 20.4.1 特2級76号俸 415,900円(432,536円)     -
 21.1.1 特2級80号俸 421,500円(438,360円)   2級104号俸
 22.1.1 特2級84号俸                   2級108号俸
 23.1.1 特2級88号俸                   2級112号俸
 24.1.1 特2級92号俸                   2級116号俸
 25.1.1 特2級96号俸 440,600円(458,224円)   2級120号俸
 25.4.1 3級58号俸  439,800円(447,500円) ←3級58号俸
        ※昇格差額 ▲800円(▲10,724円)

 この例では、特2級に昇格後5年間勤務した後、3級に昇格すると本俸(給料月額)自体が下がってしまうのである。これでは、いくらなんでも、誰が考えてもおかしいと思うだろう。
 このような現象が生じることは、双子や三つ子の関係による昇格運用上の効果を考えれば、容易に想像がつくはずなのだが…。

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214.特2級から3級への昇格(その3) [26.特2級から3級へ]

 前回、特2級から3級への昇格に伴う対応号給の決定に当たって、全人連が示したモデルどおりに運用せず、2級に在級していたものとみなして再計算した号給を基礎に改定前の昇格時号給対応表により3級昇格時の号給を決定している県がいくつかあることを紹介した。
 今回は、このような取扱いによって、給与制度上何か問題がないのか考えてみたい。

 その点について点検してみると、給料月額ベースでは、3級昇格時の給料月額が直前に受けていた特2級在級時の給料月額よりも低くなるような逆転現象は起きない。しかしながら、特2級適用者には教職調整額が支給されるのだから、これを含めて検討しなければならない。いわゆる3級加算額が設けられた沿革的経緯を踏まえると、特2級の給料月額に本俸的給与である教職調整額を加えた額よりも、昇格後の3級の給料月額が下回るようなことになっては、諸手当に跳ね返ることを踏まえると、やはり給与秩序を乱すことになると考えるべきではないのだろうか。そういった観点から、B県の方式を点検してみると、3級に昇格すると特2級在級時よりも本俸(本俸的給与)が下がってしまう逆転現象が生じてしまうことになっている。

 B県だけに限らず、このような例外的な昇格運用を採用した県では、このあたりの議論はなかったのだろうか。3級に昇格したとたんに、つまり、主幹教諭や指導教諭から教頭に昇任したとたんに本俸(本俸的給与)がダウンすれば、教頭に昇任した者は怒らないのだろうか。地域手当に跳ね返るが、管理職手当が新たに支給されるから、それでカバーできると言うのだろうか。しかし、期末手当や勤勉手当について考えてみると、モデルでは役職段階別加算割合が同じく10%なのだから、本俸(本俸的給与)がダウンした分、確実にダウンする。なぜなのか、よく理解できない。

 もちろん、中には全人連モデルどおりの原則的な昇格運用を採用している県もあるようであるが…。

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213.特2級から3級への昇格(その2) [26.特2級から3級へ]

 前回、特2級の新設に伴う昇格対応の運用について考察したが、その際、実際に特2級を新設した県では、原則的な「9,000円-10,0000円モデル」はほとんど採用せず、大多数が「5,000円-5,000円モデル」を採用していることに触れた。
 しかし、ここからがややこしいのだ。何故かというと、「5,000円-5,000円モデル」を採用しているには違いないのであるが、その場合でも、2級から特2級への昇格に限っての採用している県が多いようなのである。もう少し詳しく言えば、それぞれの県によって細部は違うようであるが、多くの県において、2級から特2級への昇格の際には、5,000円モデルの昇格時号俸対応表どおりとしているのだが、特2級から3級への昇格の際には、5,000円モデルどおりとはしていないようなのだ。その具体的な取扱いを確認することは容易ではない。正に運用の域に入っていくため、人事委員会規則を見ても分からないケースもあるからだ。

 いくつか例を拾ってみたい。
 例えば、A県の人事委員会規則を見ると、昇格時号給対応表はモデルどおりなのに、改正規則の附則に次のような規定がある。
 「教育職給料表(二)の職務の級特2級から3級に職員を昇格させた場合におけるその者の号給は、当分の間、改正後の給料に関する規則第○条第○項の規定にかかわらず、あらかじめ人事委員会の承認を得て定める基準に従い、決定することができる。」
 これでは、情報公開請求でもしない限り分からない。

 もちろん、人事委員会規則において、昇格対応の運用を明らかにしている団体もいくつかある。例えば、B県の場合、昇格時号給対応表の備考に次のような規定を設けている。
 「特2級である職員を3級に昇格させた場合における本表の適用に当たっては、「昇格した日の前日に受けていた号給」とあるのは「特2級に昇格した日の前日に受けていた職務の級の号給に、その者が特2級に昇格した日以後に受けた号給数に相当する数を加えて得た号給」と読み替えるものとする。」
 どうもこの規定によれば、特2級に一旦昇格した者であっても、特2級への昇格がなかったものとみなし、2級に在級していたものとみなして再計算した号給を基礎にして、特2級が新設される前の旧昇格時号俸対応表によって3級昇格時の号給を決定しているようなのである。
 確かにこの方法によれば、3級在級者の在職者調整を行う必要はないことになる。しかしながら、言い方は悪いが、せっかく特2級に昇格させた者を2級に引きずり下ろした上で、昇格メリットの少ない昔の昇格対応関係でもって3級昇格時の号俸を決定すると言うのである。昇格運用の原則的なルールから外れるような取扱いをして、何も問題は生じていないのだろうか。

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212.特2級から3級への昇格(その1) [26.特2級から3級へ]

 学校教育法の一部改正により主幹教諭及び指導教諭を置くことができることとなり、平成21年4月までに、多くの都道府県が主管教諭等の職務に適用する新たな職務の級の創設を含む給料表の改定を行っている。先行して独自の給料表を作成した東京都や神奈川県、大阪府などは別だが、ほとんどの県は全人連が作成したモデル給料表によっていることと思われる。そこで、今回は、教(二)(三)の特2級から3級に昇格した時の昇格後の号給の決定方法について考察していきたい。

 教(二)(三)の2級から特2級への昇格対応については、平成20年2月に全国人事委員会連合会から各人事委員会に示された『「特2級」新設に係る教員給与に関する「参考モデル給料表(案)』に添付されている資料、すなわち、平成20年1月に財団法人日本人事行政研究所が作成した『旧教育職俸給表(二)及び旧教育職俸給表(三)の「特2級」の新設について』に考え方が示されている。
 それによれば、「現行の昇格制度(新昇格制度)の基本的考え方に基づき、2級から特2級への昇格加算額を9,000円とすることが適当と考える。なお、特2級から3級への昇格加算額については、現行の2級から3級への昇格加算額と同額の10,000円とする」とされている。ただ同時に、「各自治体が実際の運用に当たって、昇格加算額をどう設定し、昇格時号俸対応表を作成するかについて、各自治体で判断することを否定するものではない」とも述べている。
 そのようなこともあってか、全人連は「モデル昇格時号俸対応表」を2種類示しているのである。一方は、前記の「特2級昇格時9,000円-3級昇格時10,0000円」のモデルであり、他方は、現行の2級から3級への昇格加算額10,000円を半分に分割した「特2級昇格時5,000円-3級昇格時5,000円」のモデルである。

 実際に特2級を新設した各県の人事委員会規則を見てみると、原則的な「9,000円-10,0000円モデル」はほとんど採用されず、大多数の県が「5,000円-5,000円モデル」を採用しているようである。
 その理由を推測すると、日本人事行政研究所作成のペーパーでも指摘していることだが、原則的な昇格対応による運用を行えば、3級以上に在職する校長や教頭について、在職者調整を行う必要が生じるからであろうと思う。もちろん、「5,000円-5,000円モデル」でも一部在職者調整が必要になるのだが、原則的な方法によれば、その影響度合いははるかに大きく、その分より多くの財源を必要とすることは説明するまでもないだろう。

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