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33.給与水準と加算割合 ブログトップ

265. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その7) [33.給与水準と加算割合]

 前回、平成8年の各教育職俸給表について、調整基本額の基礎となる中位号俸を決定する際に用いた初号の位置がどうなっているのかを考察した。若い号俸のカットは何を意味しているのだろうか。
 この初号の位置については、一部を除いて、行(一)のいずれかの職務の級の初号の俸給制度表における位置と一致している。そこで、各教育職俸給表の職務の級ごとの役職段階別加算割合と、中位号俸を決定する際の初号に係る行(一)の職務の級の役職段階別加算割合を確認してみたいと思う。

<教(二)中位号俸に係る初号の位置と加算割合>
 1級 0~(5%)  行(一)3級初号  0%
 2級 0~10%  行(一)6級初号  10%
 3級 10%    行(一)8級初号  15% ※
 4級 15~20% 行(一)10級3号=11級0号  20%
<教(三)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 0%     行(一)3級初号  0%
 2級 0~10%  行(一)6級初号  10%
 3級 10%    行(一)7級初号  10%
 4級 15~20% 行(一) 10級3号=11級0号  20%
<教(一)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 0~(5%)  行(一)3級初号  0%
 2級 0~5%   行(一)5級初号  5%
 3級 10%    行(一)7級初号  10%
 4級 10~15% 行(一)8級初号  15%
 5級 15~20% 行(一)11級初号  20%
<教(四)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 0~(5%)  行(一)3級初号  0%
 2級 0~5%   行(一)5級初号  5%
 3級 10%    行(一)7級初号  10%
 4級 15~20% 行(一)8級初号  15% ※
 5級 20%    行(一)11級初号  20%
 ( )の割合は、人事院規則9-40別表第一備考に基づき「人事院が特に必要と認めるもの」との位置づけであり、原則的ではない加算割合と理解しておく。

 どうであろうか。※印を付けた一部の職務の級を除くと、各教育職俸給表の職務の級ごとに適用される役職段階別加算割合の一番高い加算割合となっていると理解することができないだろうか。つまり、俸給の調整方法として、調整基本額の基礎となる中位号俸を決定するに当たって、その職務の級に適用される最高の加算割合を睨みつつ、初号の位置を決めたように見えるのである。ただ、それでも分からない部分はある。加算割合の5%は行(一)の4級及び5級であるが、なぜ、5級を採用したのか。加算割合の10%は行(一)の6級及び7級であるが、どうして、この場合に6級とし、別の場合に7級としたのか。同じように加算割合15%、20%の場合は、なぜ、そうなっているのか、と言うことである。ここはもう、バランス感覚としか言いようがないのではないだろうか。おそらく、計算される調整基本額の水準を各俸給表間で比較したとき、そうすることでうまく俸給表間の均衡を図ることができるということだろうと思う。

 平成8年に俸給の調整額制度が改正される前は、定率3%の額に定額を加算して調整基本額を算定したが、その定額を求めるための中位号俸を決定するに際しては、このようなややこしいことは行われなかった。単純に、中位号俸を求めればよかったのである。おそらく人事院は、給与改定により平均昇給率が年々低下していく運命にある中で、従来の調整方法が根拠としてきた昇給率という考え方から、職務・職責をより重視する方向で調整することを求めたのではないだろうか。
 この役職段階別加算措置の導入は、この他にも、退職手当の調整額にも影響を与えることになったが、その状況は以前に考察したとおりである。

 以上の考察も、結局は仮説でしかない。これらを通じて感じることは、従来の俸給表の構造は、職務の級間の重なりも大きく、給与カーブも年功的に上昇していくことになっていたため、職務の級の数が少ない特別俸給表にあっては、ある一つの職務の級の給与水準は、どうしても行(一)の複数の職務の級にブリッジすることとなり、端的に当該職務の級の「格」を考えるときには、その職務の複雑さと責任の度合いに鑑みて中核となる職務を摘出する必要があったのである。人事院としての一つの答えが、役職段階別加算措置の姿だったのであろう。
 しかし、それでもなお、「教(二)(三)の役職段階別加算割合は、行(一)より1ランク低いのではないか」との問題に答えを示すことにはなっていない。教(二)(三)に限っては、給与水準と加算割合との関係が、その他の特別俸給表に比べて特異な姿になっているのである。教(二)が教(三)にひきずられているのは分かるが、やはり、教員の職務の特殊性を踏まえた本俸的給与としての教職調整額が期末手当及び勤勉手当の算定基礎額になっているという特殊事情を考慮したものとしたか考えられない…。

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264. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その6) [33.給与水準と加算割合]

 手始めに、当時の各教育職俸給表について、調整基本額の基礎となる中位号俸を決定する際に用いた初号の位置、すなわち、行政職俸給表適用職員との均衡を考慮して若い号俸をカットした後の最初の号俸の位置を確認しておきたい。

 平成8年1月1日適用の調整基本額について掲載する。(調整基本額は、中位号俸の俸給月額の3%。100円未満切上げ)
<教(二)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 9,300円(中位:24・25号俸=307,250円) 初号:9号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,600円(中位:24号俸=385,300円) 初号:12号俸(行(一)6級初号)
 3級 12,600円(中位:12・13号俸=417,300円) 初号:1号俸(調整せず)
 4級 14,300円(中位:8号俸=473,600円) 初号:1号俸(調整せず)
<教(三)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 8,400円(中位:21号俸=276,800円) 初号:9号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,500円(中位:27号俸=381,700円) 初号:15号俸(行(一)6級初号)
 3級 12,300円(中位:16号俸=406,800円) 初号:4号俸(行(一)7級初号)
 4級 13,900円(中位:8号俸=460,700円) 初号:1号俸(調整せず)
<教(一)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 9,400円(中位:22・23号俸=311,200円) 初号:7号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,000円(中位:23号俸=366,600円) 初号:10号俸(行(一)5級初号)
 3級 12,600円(中位:19号俸=418,300円) 初号:8号俸(行(一)7級初号)
 4級 13,500円(中位:17・18号俸=449,900円) 初号:7号俸(行(一)8級初号)
 5級 16,500円(中位:17号俸=546,700円) 初号:10号俸(行(一)11級初号)
<教(四)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 9,600円(中位:21・22号俸=317,350円) 初号:7号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,800円(中位:22号俸=392,300円) 初号:9号俸(行(一)5級初号)
 3級 12,900円(中位:19号俸=429,400円) 初号:8号俸(行(一)7級初号)
 4級 14,800円(中位:17・18号俸=492,150円) 初号:8号俸(行(一)8級初号)
 5級 16,400円(中位:9号俸=546,400円) 初号:2号俸(行(一)11級初号)

 次に、平成8年4月に号俸の間引きが行われたことから、年のため、平成8年4月1日適用の調整基本額について掲載する。中位号俸を求めるときには、間引きした号俸が存在しているものと仮定してカウントする。教(二)3級中位号俸の位置が微調整されている。(調整基本額は、中位号俸の俸給月額の3%。端数処理方法が変更になり、100円未満四捨五入)
<教(二)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 9,300円(中位:24・25号俸=311,350円) 初号:9号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,700円(中位:21号俸=390,700円) 初号:11号俸(行(一)6級初号)
 3級 12,800円(中位:12号俸=426,500円) 初号:2号俸(行(一)8級初号)
 4級 14,300円(中位:8号俸=476,900円) 初号:1号俸(調整せず)
<教(三)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 8,400円(中位:21号俸=280,700円) 初号:9号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,600円(中位:24号俸=386,900円) 初号:14号俸(行(一)6級初号)
 3級 12,300円(中位:14号俸=411,400円) 初号:3号俸(行(一)7級初号)
 4級 13,900円(中位:8号俸=464,000円) 初号:1号俸(調整せず)
<教(一)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 9,500円(中位:22・23号俸=315,500円) 初号:7号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,100円(中位:21号俸=371,000円) 初号:9号俸(行(一)5級初号)
 3級 12,700円(中位:16号俸=423,100円) 初号:6号俸(行(一)7級初号)
 4級 13,600円(中位:15・16号俸=454,700円) 初号:6号俸(行(一)8級初号)
 5級 16,500円(中位:16号俸=549,400円) 初号:9号俸(行(一)11級初号)
<教(四)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 9,700円(中位:21・22号俸=322,050円) 初号:7号俸(行(一)3級初号)
 2級 11,900円(中位:22号俸=397,700円) 初号:8号俸(行(一)5級初号)
 3級 13,000円(中位:19号俸=434,700円) 初号:6号俸(行(一)7級初号)
 4級 14,900円(中位:17・18号俸=497,050円) 初号:6号俸(行(一)8級初号)
 5級 16,500円(中位:9号俸=549,100円) 初号:2号俸(行(一)11級初号)

 さて、ここから何が読み取れるのだろうか。

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263. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その5) [33.給与水準と加算割合]

 前回まで、役職段階別加算措置について考察してきたが、ここで、俸給の調整額を取り上げたいと思う。以前、俸給の調整額を取り上げた際に、教(二)(三)については若い号俸をカットしない調整基本額と基礎となる中位号俸が求められないことを指摘した。若い号俸のカットは、中位号俸の位置を高くすることから、調整基本額の水準を高める効果をもっている。そのことは理解できたが、どのような考え方でもって、そのようにしたのかについては、十分な考察ができてはいなかった。

 俸給の調整額については、「俸給構造と整合性のとれた調整方法に改めることとする」との平成7年の人事院勧告に基づき、平成8年1月1日に改定され、その後、この時に決定された中位号俸の位置を基本的に継承している。
 人事院月報’95年9月掲載の「人事院勧告のポイント(Q&A)」では、次のように説明されている。基本部分なので、長くなるが引用する。

「A 俸給の調整顎は、職務内容や勤労条件が他の官職に比べて著しく特殊な官職を占める職員の俸給月額を調整するもので、「俸給」として位置づけられていることから、その調整 内容は、昇給率等の俸給表構造と整合性のとれたものであることが必要です。
 ところが、現在の調整内容は、俸給表の平均昇給率等を考慮すれば調整水準がかなり高めとなっていること、前半号俸が高く後半号俸が低いという昇給率に対し、調整方法が定率に近いため、前半号俸者に比べて後半号俸者が有利すぎることなど、俸給表構造と整合性がとれていない面がみられるため、調整方法を改めることにしました。その概要は次のとおりです。
 ① 調整の基本となる調整数一の「調整基本額」を、各俸給表の職務の扱ごとに「中位号俸」の俸給月額の三%に相当する額(一○○円単位)とし、その額が適用俸給月額の四 ・五%に相当する額を超える号俸については、当該四・五%に相当する額とする。
 ② 俸給月額の改定が行われる場合に、「調整基本額」の改定が必要であるときは、改定  を行う。
 ③ 「中位号俸」については、職務段階が少ない特別俸給表の職務の級の場合など、行政職俸給表適用職員との均衡を考慮し、必要に応じて調整を行う。
 ④ 新調整方式の導入に当たっては、給与の激変を避けるため、所要の経過措置を講じる。」

 教(二)(三)の調整基本額がどのように設定されたのかを考察するには、③で「行政職俸給表適用職員との均衡を考慮し、必要に応じて調整を行う」と述べるところの「調整」の内容を探ることに他ならない。

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262. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その4) [33.給与水準と加算割合]

 さて、俸給制度表により格合わせをしつつ役職段階別加算割合の措置状況を比較してみる。医療職については、医療(一)と医療(二)(三)で職務の級の構造が大きく異なる。医療(一)については、教育や研究に比較的近い構造となっている。
 医療(二)(三)の加算割合を確認すると、以前も言及したが、若干優遇されている。それに引き換え、教育の場合は、教(二)(三)とそれ以外とでは様相が異なるのだが、行(一)と比較すると、職務の級によっては、その給料水準に対して役職段階別加算割合の措置状況が明らかに低くなっている。
 その理由を人事院は説明していない。しかたがないので、すべての俸給表を比較していく。すると、「原則として行政職俸給表(一)の四級に相当する職務の級以上の職務の級に在職する職員が対象」と人事院が説明するとおり、職務の級の構造が同じかよく似通っている俸給表は原則どおりとなっており、職務の級の構造が異なる俸給表は例外と考えた方がよさそうである。
 それは、係長級相当以上の役付者であるのかどうかを基本にして判断しつつ、3級以下であっても部下を有する役付者に当たれば適用することとし、部下を有する役付者には当たらない医療・教育・研究の専門職については、4級のラインで一律適用するのではなく、若干送らせることでバランスがとれると考えたのだろう。そのラインは、前回確認したように基本は5級のラインであるが、教(二)(三)2級については、何らかの理由により5級のラインを7級のラインまで5年分送らせたように思うのである。この5年遅れの理由を人事院は説明していないが、以前、この学習ノートでは、「4%の教職調整額を考慮したのではないか」との仮説を示しておいた。

 ここで、視点を変えて考察をしてみたい。役職段階別加算措置を5%、10%、15%、20%の4段階としたことによる制約についてである。
 行(一)については、4級以上の職務の級が8段階あることから、ちょうど2つの職務の級ごとにまとめたことになる。しかし、それは必ずしも職制の段階と一致していない。本省庁、管区機関、府県単位機関、地方出先機関で職制と職務の級の関係は異なっている。詳細は省くが、この中では、管区機関の職制がこの4段階にピッタリ一致している。すなわち、管区機関における係長は5%、課長補佐は10%、課長は15%、機関の長又は部長は20%である。
 職制の段階が少なく、職務の級も4~5の教育や研究の場合には、相当する行(一)の職務の級は参考にはしているものの、まずは、職制の段階に応じて、基本となる加算割合を割り振っている。
 単純化すると、まずは次のように加算割合を配分する。

<教育・研究の加算割合の基本区分>
 教(一) 教授(5級)=15%、助教授(4級)・講師(3級)=10%、助手(2級)=5%
 教(二) 校長(4級)=15%、教頭(3級)=10%、教諭(2級)=5%
 教(三) 校長(4級)=15%、教頭(3級)=10%、教諭(2級)=5%
 教(四) 校長(5級)=20%、教授(4級)=15%、助教授(3級)=10%、講師(2級)=5%
 研究  極高研究員(5級)=15%、特高・高度研究員(4級・3級)=10%、相高研究員(2級)=5%

 その後に、「また、大学の学部長等、小・中・高校の校長のうち学校規模等からみて著しく職責が高い者、研究機関の部長級以上の者、病院、療養所等の部長級以上の者等その職責が高いと評価される者については、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員との均衡等を考慮して、その者の属する職務の級について定められている加算割合の一段階上位の加算割合とする」こととしたのである。
 しかし、「一段階上位の加算割合」とすることで、行(一)と比較して遜色のない加算割合になっているのかどうかは、受け取る者によって違うだろうが、4段階の区分という制約からは逃れることはできないものとなっている。結局、この加算割合の4段階の区分に制約された結果として、給料水準における行(一)とのバランスが崩れることとなったと理解できる。(くどいようだが、教(二)(三)の5年遅れ問題は、他の特別俸給表を見ても理由が見いだし得ないので、やはり別の観点から均衡を図ったとしか考えられない。)

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261. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その3) [33.給与水準と加算割合]

 前回、「大学・高専の助手、小・中・高校の教諭、研究員、医師等で高度な専門的知識経験を必要とする業務を独立して行う職務等については、行政職俸給表(一)の職務の級四級以上に格付けられている係長相当の専門職との均衡を考慮して、一定の経験年数を有するものについては加算対象」とされたことに触れた。
 そこで、適用対象となる「一定の経験年数」に着目してみたい。給実甲二二○の第14項に経験年数の表が定められている。

<教育、研究、医療の適用対象者>
 教(一)2級  5年(修士課程修了)
 教(二)2級  12年(大学4卒)
 教(三)2級  12年(大学4卒)
 教(四)2級  5年(修士課程修了)
 研究2級   5年(修士課程修了)
 医療(一)1級 5年(大学6卒)
 医療(二)2級 15年(短大卒3年)
 医療(三)2級 15年(短大卒3年)

 この表を俸給制度に基づく格合わせによって、ベースを大学4卒に換算・統一して比較を試みたいと思う。

<教育、研究、医療の適用対象者(比較)>
 教(一)2級(行(一)2級~5級) 大卒経験7年(行(一)5級初号位置)
 教(二)2級(行(一)2級~8級) 大卒経験12年(行(一)7級初号位置)
 教(三)2級(行(一)2級~7級) 大卒経験12年(行(一)7級初号位置)
 教(四)2級(行(一)2級~8級) 大卒経験7年(行(一)5級初号位置)
 研究2級(行(一)2級~5級)  大卒経験7年(行(一)5級初号位置)
 医療(一)1級(行(一)3級~6級) 大卒経験7年(行(一)5級初号位置)
 医療(二)2級(行(一)2級~3級) 大卒経験14年(行(一)8初号位置)
 医療(三)2級(行(一)2級~3級) 大卒経験14年(行(一)8初号位置)

 このうち、医療(二)2級と医療(三)2級は、教(二)2級・教(三)2級よりも加算措置が適用されるに必要な経験年数が長くなっているが、そもそも、行(一)3級以下の水準であることを踏まえれば、むしろ、教(二)・教(三)よりも優遇しているとも言えそうである。そうすると、教(二)2級・教(三)2級は、教(一)2級・教(四)2級・研究2級より5年長い経験年数を必要とすることから、やはり、役職段階別加算割合の適用関係が低くなっていることが分かるだろう。
 そして、この5年遅れの考え方は、教(二)(三)の2級だけではない。教(一)1級に格付けされる教務補助については、大卒経験20年で加算措置の対象とされるのに対して、教(二)1級に格付けされる実習助手等については、大卒経験25年で加算措置の対象となっている。ここには、敢えて措置対象とすべき経験年数の基準を引き上げたある共通する意図を感じる。

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260. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その2) [33.給与水準と加算割合]

 それでは、役職段階別加算措置の実際はどうなっているのであろうか。
 まず、加算を受けることとなる職員の範囲について、「基本となる行政職俸給表(一)にあっては、係長以上の役付者が標準的に格付けされている四級以上の職務の級に在職する職員が対象とされ、また、行政職俸給表(一)以外の俸給表の適用を受ける職員にあっては、職務の複雑、困難及び責任の度を考慮して、原則として行政職俸給表(一)の四級に相当する職務の級以上の職務の級に在職する職員が対象とされて」いるので、それを確認していこう。
 級別標準職務表によって、係長相当職以上の役付者となっているのかどうかを見てみると、行(一)はもちろん係長以上の役付者となっている。行(二)及び海事(二)は、係長相当職と思われる職名が掲げられているそれぞれの4級以上が加算対象となっている。行(二)4級及び海事(二)4級については、給料の水準としては行(一)3級相当と考えられるにもかかわらず、役付者であることを重視して役職段階別加算を措置していると思われる。税務及び公安(二)については、行(一)と職務の級の構造が同じであることから、4級以上の職務の級に在職する者であれば対象になる。公安(一)は、行(一)と職務の級の構造が4級以上は同じであるが、3級以下が異なっていることから、若干、加算対象者が異なる。基本は、係長に適用される4級以上が対象なのだが、3級のうち、一定の経験年数以上である者にも適用されることになっている。専門については、行(一)と職務の級の構造が異なるものの、4級相当以上の職務の級に在職する者であれば対象になっている。
 教育、研究、医療については、特別な取扱いとなっている。すなわち、「大学・高専の助手、小・中・高校の教諭、研究員、医師等で高度な専門的知識経験を必要とする業務を独立して行う職務等については、行政職俸給表(一)の職務の級四級以上に格付けられている係長相当の専門職との均衡を考慮して、一定の経験年数を有するものについては加算対象」とされたのである。
 行(一)4級の給料水準であるそれぞれの職務の級に着目すると、3級と4級のラインをはさんで、上下にブリッジしていることが確認できる。
 教(一) 助手に適用される2級(行(一)2級~5級)
 教(二) 教諭に適用される2級(行(一)2級~8級)
 教(三) 教諭に適用される2級(行(一)2級~7級)
 教(四) 講師に適用される2級(行(一)2級~8級)
 研究  相高研究員に適用される2級(行(一)2級~5級)
 医療(一) 1級(行(一)3級~6級)
 ただし、これらの職務の級が適用される者については、「一定の経験年数を有するもの」のみが加算対象となっている。(その他、給料水準としては行(一)3級以下であるが、医療(二)の2級以上及び医療(三)の2級以上が対象となっている。なお、人事院規則9-40別表第一備考に該当する職員も対象にはなるが、ここでは省略する。)
 問題は、その際の経験年数によるバランスの取り方である。人事院月報の説明では、「行政職俸給表(一)の職務の級四級以上に格付けられている係長相当の専門職との均衡を考慮して、一定の経験年数を有するものについては加算対象」としたと簡単に述べているが、どうも、教(二)(三)のみ低くなっているようなのである。

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259. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その1) [33.給与水準と加算割合]

 以前、期末手当及び勤勉手当の役職段階別加算割合を考察した際に、「教(二)(三)は、行(一)よりも1ランク低いのではないか」との仮説を述べた。俸給表を改定する際に水準を比較するために行われると考えられる格合わせ方式によって比較すると、どう考えても、教(二)(三)の役職段階別加算割合は低いのだ。これは、教(二)(三)だけなのか、本当に教職調整額の支給が影響しているのかどうか、ずっと気になっているのだが、しっかりと確かめることができずにいる。
 そこで、今回から、原点に立ち返って、この役職段階別加算割合が創設された頃の姿から考察してみたいと思う。

 人事院月報’61年1月号に「給与法の改正について」と題した記事が掲載されている。これは、平成2年8月の人事院勧告に基づく給与法の改正事項のうち主なものを説明したものである。
 そこでは、「新たに係長級以上の職員の期末手当及び勤勉手当についてその手当額算定の基礎額を職務段階等に応じ、現行の基礎額に俸給の月額及びこれに対する調整手当の月額の合計額の二○%以内の額を加算した額とするための措置(以下「役職段階別加算措置」という)が導入されました。」として、その説明をしている。
 民間賞与の役職段階別の配分状況を反映させる趣旨や導入の経緯が述べられているか、このノートが注目するのは、制度の基本構造や加算措置を受ける職員の範囲、加算の区分の在り方を述べた部分である。長くなるが、これからの考察にとって大事な部分なので、注目箇所を前文引用しておく。

「① 制度の基本的構造
 民間賞与の役職段階別配分傾向を公務に置き直すに当たっては、原則として係長級以上の職員を対象として公務部内の各職務段階を俸給表ごとに職務の級を基準として、四つの段階に区分し、それぞれの区分ごとに一定の加算割合を定め、現行の期末・勤勉手当の算定基礎額に俸給及びこれに対する調整手当の合計額に加算割合を乗じた額を加算することを基本としています。
② 加算を受けることとなる職員の範囲
 本加算措置は基本的には係長級以上の役付者を対象とするものであることから、基本となる行政職俸給表(一)にあっては、係長以上の役付者が標準的に格付けされている四級以上の職務の級に在職する職員が対象とされ、また、行政職俸給表(一)以外の俸給表の適用を受ける職員にあっては、職務の複雑、困難及び責任の度を考慮して、原則として行政職俸給表(一)の四級に相当する職務の級以上の職務の級に在職する職員が対象とされており、具体的には人事院規則九-四〇第四条で定められています。
 なお、大学・高専の助手、小・中・高校の教諭、研究員、医師等で高度な専門的知識経験を必要とする業務を独立して行う職務等については、行政職俸給表(一)の職務の級四級以上に格付けられている係長相当の専門職との均衡を考慮して、一定の経験年数を有するものについては加算対象とされました(規則九-四〇別表第一及び給実甲第二二〇号(期末手当および勤勉手当の支給について)第六項)。
③・加算の区分及び割合
 加算の区分については、行政職俸給表(一)の四級以上の職務の級に在職する職員及びこれらに相当する職員を、官職の職制上の段階、職務の級等を考慮して四つの段階に区分されるとともに、加算割合については、民間における役職段階別の配分傾向、公務部内の各職務段階のバランス等を考慮して、最高二〇%の範囲内で、上位の段階から五%きざみで、それぞれ二〇%、一五%、一〇%、五%とされています(規則九-四〇別表第一)。
 また、大学の学部長等、小・中・高校の校長のうち学校規模等からみて著しく職責が高い者、研究機関の部長級以上の者、病院、療養所等の部長級以上の者等その職責が高いと評価される者については、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員との均衡等を考慮して、その者の属する職務の級について定められている加算割合の一段階上位の加算割合とすることとしています(規則九-四〇別表第一及び給実甲第二二〇号第七項)。」


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