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274.へき地手当(その1) [35.へき地手当]

 今回からは、「へき地手当」をテーマに取り上げたいと思う。へき地手当については、公立学校教職員を支給対象とする特地勤務手当に類似した手当という印象を受ける。両者の違いは、へき地手当がへき地教育振興法という特別の法律に基づく手当であるというだけではなく、「へき地学校の指定地域は国の特地官署の指定地域よりも広い」と考えられることにある。その理由はどこにあるのか、なぜ、そのようになっているのか、との問題意識の下に、これから考察してみたい。

 まず、例のごとく、地方公務員給与制度研究会編著『地方公務員給与制度詳解』(学陽書房)からこの手当の性格を説明する記述を引用する。

 「へき地手当は、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地や、離島等に所在する公立の小・中学校等に勤務する教員及び職員に対して支給される手当である。この手当は、支給対象となる職員の範囲において違いはあるが、手当の性格及び内容については特地勤務手当とほぼ同一のものである。」

 この記述からは、「へき地手当は、公立小中学校教職員を対象とした特地勤務手当である」との印象を受けるだけである。確かに、手当基礎額に級地区分に応じた支給割合を乗じて得た額を手当額とする形をみれば、何の違和感もなくこの考えを受け入れられる。しかし、一方で、このような理解は、「へき地手当の実態を誤って認識させることになるのではないか」と多くの方が感じるのではないだろうか。なぜなら、国の特地官署よりも広い範囲にへき地学校が所在していることについては、公務員給与や教員給与にかかわっている者にとっては、自明のように思われるからである。

 次に、学校財務研究会編著『学校財務実務提要』(第一法規)のへき地手当に関する記述を引用してみる。

 「へき地手当及びへき地手当に準ずる手当は、特地勤務手当及び特地勤務手当に準ずる手当の性格に加え、教育の機会均等を実現するための優秀な人材確保を目指す手当で、公立小・中学校等に勤務する教職員を対象としてへき地教育振興法に基づいて支給される地域給的な手当である。」

 文部科学省の官僚による記述と思われるだけに、第1条に「教育の機会均等」を目的に掲げるへき地教育振興法に基づく手当であることを意識したものとなっている。
この法律のだ5条の2の規定により、都道府県はへき地手当を支給しなければならないのだが、条文自体には「優秀な人材確保を目指す」という文言は明記されてはいない。

 両者の性格の違いを明らかにするため、もう少し詳しくへき地教育振興法制定の経緯やへき地手当創設の経緯に分け入ってみようと思う。

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