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438.構造改革後の俸給カーブ(その3) [50.構造改革後の俸給カーブ]

 前回は、行(一)について、給与構造改革後における給与カーブのフラット化の状況などについて考察した。
 今回は、給与カーブの傾き具合を見ておきたい。俸給制度上、制度年齢40歳を超えた辺りからカーブが寝てくるし、平成28年勧告でも制度年齢40歳から一律400円の改訂としているので、とりあえず大卒制度年齢40歳までの傾きとそれを超えた部分の傾きに分けて平均の標準的な年間昇給額(4号俸分)を確認することにする。(実際のカーブの折れ曲がりポイントはもう少し上の年齢で職務の級が上がるほどそのポイントの年齢は上がっていくのだが、便宜上大卒制度年齢40歳で計算する。)
 前回までと同様に、平成18年の俸給表と平成28年勧告の俸給表で比較する。

<1級>
 初号(16歳)1号 134,000円→141,600円(+7,600円)
 最高(39歳)93号 244,100円→246,600円(+2,500円)
 傾き(全号俸40歳未満) 4,786円/年→4,565円/年
<2級>
 初号(24歳)1号 183,800円→191,700円(+7,900円)
   (40歳)65号 284,200円→280,700円(▲3,500円)
 最高(55歳)125号 309,900円→303,400円(▲6,500円)
 傾き(~40歳) 6,275円/年→5,562円/年
 傾き(41歳~) 1,713円/年→1,513円/年
 傾き(全号俸) 4,067円/年→3,603円/年
<3級>
 初号(28歳)1号 221,100円→227,900円(+6,800円)
   (40歳)49号 311,300円→307,300円(▲4,000円)
 最高(56歳)113号 357,200円→349,200円(▲8,000円)
 傾き(~40歳) 7,516円/年→6,616円/年
 傾き(41歳~) 2,868円/年→2,618円/年
 傾き(全号俸) 4,860円/年→4,332円/年
<4級>
 初号(32歳)1号 262,300円→261,100円(▲1,200円)
   (40歳)33号 329,100円→324,700円(▲4,400円)
 最高(55歳)93号 391,200円→380,200(▲11,000円)
 傾き(~40歳) 8,350円/年→7,950円/年
 傾き(41歳~) 4,140円/年→3,700円/年
 傾き(全号俸) 5,604円/年→5,178円/年
<5級>
 初号(34歳)1号 289,700円→287,100円(▲2,600円)
   (40歳)25号 342,300円→337,700円(▲4,600円)
 最高(55歳)85号 403,700円→390,200円(▲13,500円)
 増設(57歳)93号 (403,700円)→392,200円(▲11,500円)…8号増設
 傾き(~40歳) 8,766円/年→8,433円/年
 傾き(41歳~) 4,093円/年→3,205円/年
 傾き(全号俸) 5,428円/年→4,569円/年 *4級と逆転
<6級>
 初号(36歳)1号 321,100円→317,700円(▲3,400円)
   (40歳)17号 356,300円→351,400円(▲4,900円)
 最高(55歳)77号 425,900円→407,400円(▲18,500円)
 増設(57歳)85号 (425,900円)→409,400円(▲16,500円)…8号増設
 傾き(~40歳) 8,800円/年→8,425円/年 *5級と少し逆転
 傾き(41歳~) 4,640円/年→3,411円/年
 傾き(全号俸) 5,515円/年→4,366円/年 *4・5級と逆転
<7級>
 初号(39歳)1号 367,200円→361,800円(▲5,400円)
   (40歳)5号 377,600円→371,500円(▲6,100円)
 最高(54歳)61号 460,300円→444,100円(▲16,200円)
 傾き(~40歳) 10,400円/年→9,700円/年
 傾き(41歳~) 5,907円/年→5,185円/年
 傾き(全号俸) 6,206円/年→5,486円/年
<8級>
 初号(42歳)8級1号 414,800円→407,300円(▲7,500円)
 最高(53歳)8級45号 482,600円→467,800円(▲14,800円)
 傾き(全号俸40歳超) 6,163円/年→5,500円/年
<9級>
 初号 9級1号 468,700円→457,600円(▲11,100円)
 最高 9級41号 542,600円→526,700円(▲15,900円)
 傾き(全号俸40歳超) 7,390円/年→6,910円/年
<10級>
 初号 10級1号 534,200円→520,900円(▲13,300円)
 最高 10級21号 575,300円→558,700円(▲16,600円)
 傾き(全号俸40歳超) 8,220円/年→7,560円/年

 こうやって傾きを確かめてみても、給与カーブが一層フラット化している状況が確認できることとなった。
 ところで、やはり5級・6級辺りが窮屈になっているとの印象である。5級と6級のカーブは、40歳前後を通して、ほぼ同じようなものとなっている様子が見えるが、敢えて言えば、6級後半のカーブは5級後半のカーブより緩い。全号俸通してみると5級・6級は4級よりも若干傾きが緩く、昇給額が悪くなっている。
 グラフ化して見てみるとよく理解できるのだが、とにかく、4級・5級・6級の関係が極めて窮屈になっている。


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437.構造改革後の俸給カーブ(その2) [50.構造改革後の俸給カーブ]

 前回、行(一)の初号の水準及び最高号俸の水準について、平成18年から平成28年の変化を確認した。概略、一般職(大卒)の初任給が延べ+8,000円なのに対して、5級最高号俸(号俸増設後)では延べ▲11,500円、6級では延べ▲16,500円となっているものであった。
見方を変えて、行(一)について、各職務の級ごとに、初号に対する最高号俸の比率の変化を見ておく。(平18→平28(※) ※:号俸増設前)
 1級 1.82→1.74
 2級 1.69→1.58
 3級 1.62→1.53
 4級 1.49→1.46
 5級 1.39→1.37(1.36)
 6級 1.33→1.29(1.28)
 7級 1.25→1.23
 8級 1.16→1.15
 9級 1.16→1.15
 10級 1.08→1.07

 いずれの級も上下の幅が更に狭くなったということが言える。

 次に、職務の級ごとの俸給月額の幅(初号と最高号俸との差額)と級間の重なりの変化を確認しておきたい。
<1級>
 幅 110,100円→105,000円(0.95)
 重なり 60,300円(54.8%)→54,900円(52.3%)
<2級>
 幅 126,100円→111,700円(0.89)
 重なり 88,800円(70.4%)→75,500円(67.6%)
<3級>
 幅 136,100円→121,300円(0.89)
 重なり 94,900円(69.7%)→88,100円(72.6%) *重なり率UP
<4級>
 幅 128,900円→119,100円(0.92)
 重なり 101,500円(78.7%)→93,100円(78.2%)
<5級>
 幅 114,000円→105,100円(0.92)
 重なり 82,600円(72.5%)→74,500円(70.9%)
<6級>
 幅 104,800円→91,700円(0.88)
 重なり 58,700円(56.0%)→47,600円(51.9%)
<7級>
 幅 93,100円→82,300円(0.92)
 重なり 45,500円(48.9%)→36,800円(44.7%)
<8級>
 幅 67,800円→60,500円(0.89)
 重なり 13,900円(20.5%)→10,200円(16.9%)
<9級>
 幅 73,900円→69,100円(0.92)
 重なり 8,400円(11.4%)→6,100円(8.8%)
<10級>
 幅 41,100円→37,800円(0.92)

 こうやって眺めてみると、職務の級ごとの俸給月額の幅は、給与構造改革後10%前後(1級は5%)短くなり、級間の重なりも3級を除いて少なくなっている。つまり、給与カーブがよりフラット化し、一応、職務給の原則が一層強化されたということになろうか…。

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436.構造改革後の俸給カーブ(その1) [50.構造改革後の俸給カーブ]

 人事院は、平成28年の勧告で、行(一)を平均0.2%引き上げることとした。
 具体的には、総合職試験、一般職試験(大卒程度)及び一般職試験(高卒者)採用職員の初任給について1,500円引き上げることとし、若年層についても同程度の改定、その他については400円引き上げることを基本とすることとした。(「職員の給与に関する報告」12頁)
 例年どおり、俸給制度表を作成し、改定内容を概観しておく。

(行(一)の改定概要)
 大卒制度年齢29歳までの号俸 すべて1,500円引上げ
 制度年齢の上昇に従って改定額400円に向けて収斂
 大卒制度年齢39歳の号俸 500円引上げ
 大卒制度年齢40歳以上の号俸 すべて400円引上げ

 行(一)以外の俸給表についても、行(一)との均衡を基本に改定することとしている。例を取り上げる。

(税務・公安一・公安二の改定概要)
 大卒制度年齢29歳までの号俸 基本1,500円引上げ(一部に1,600円又は1,800円あり)
 制度年齢の上昇に従って改定額400円に向けて収斂
 大卒制度年齢39歳の号俸 500円引上げ
 大卒制度年齢40歳以上の号俸 すべて400円引上げ

(海事一の改定概要)
 大卒制度年齢29歳までの号俸 1,700円~1,900円引上げ
 制度年齢の上昇に従って改定額400円に向けて収斂
 大卒制度年齢39歳の号俸 600円引上げ
 大卒制度年齢40~44歳の号俸 すべて500円引上げ
 大卒制度年齢45歳以上の号俸 すべて400円引上げ

(教一・教二の改定概要)
 大卒制度年齢29歳までの号俸 改定率行(一)相当(1,600円~1,900円引上げ)
 制度年齢の上昇に従って改定額400円に向けて収斂
 大卒制度年齢39歳の号俸 500円引上げ(教一3・4級を除く。)
 大卒制度年齢40歳以上の号俸 すべて400円引上げ

 細かなこところは、いつもどおりよく分からないが、基本的には従来どおりの改定方法と思われる。

 ところで、人事院は、若年層の水準を大きく引き上げ、相対的に高齢層の水準を引き上げる改定を継続している。その結果、平成18年の給与構造改革以後、俸給表の姿がどのように変化しているのか、気になっている。以下、概観してみたい。

 まず、行(一)の初号の水準及び最高号俸の水準の変化を確認する。
 平成18年4月改定の後、平成26年の総合的見直しのための改定を経て、本年(28)年勧告に至っているのだが、このノートでは簡略化し、「平成18年→平成28年(延べ改定額)」を掲載する。

<1級>
 1級1号 134,000円→141,600円(+7,600円)
 1級25号 170,200円→178,200(+8,000円)*一般職(大卒)の初任給
 1級93号 244,100円→246,600円(+2,500円)
<2級>
 2級1号 183,800円→191,700円(+7,900円)
 2級125号 309,900円→303,400円(▲6,500円)
<3級>
 3級1号 221,100円→227,900円(+6,800円)
 3級113号 357,200円→349,200円(▲8,000円)
<4級>
 4級1号 262,300円→261,100円(▲1,200円)
 4級93号 391,200円→380,200(▲11,000円)
<5級>
 5級1号 289,700円→287,100円(▲2,600円)
 5級85号 403,700円→390,200円(▲13,500円)
 5級93号 (403,700円)→392,200円(▲11,500円)…8号増設
<6級>
 6級1号 321,100円→317,700円(▲3,400円)
 6級77号 425,900円→407,400円(▲18,500円)
 6級85号 (425,900円)→409,400円(▲16,500円)…8号増設
<7級>
 7級1号 367,200円→361,800円(▲5,400円)
 7級61号 460,300円→444,100円(▲16,200円)
<8級>
 8級1号 414,800円→407,300円(▲7,500円)
 8級45号 482,600円→467,800円(▲14,800円)
<9級>
 9級1号 468,700円→457,600円(▲11,100円)
 9級41号 542,600円→526,700円(▲15,900円)
<10級>
 10級1号 534,200円→520,900円(▲13,300円)
 10級21号 575,300円→558,700円(▲16,600円)

 ざっとしたところ、一般職(大卒)の初任給が延べ+8,000円なのに対して、総合的見直しを反映して、例えば、5級最高号俸(号俸増設後)では延べ▲11,500円、6級では延べ▲16,500円となっている。

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