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346.26年人事院勧告(その9) [42.26年人事院勧告]

 前回のノートでは「最小間差額」を取り上げ、教(二)(三)の場合、単純計算では4号俸で1,000円に満たない間差額になるという問題があることを指摘した。「最小間差額は1,000円とする。」というような設計上の原則があるのかどうかまでは分からないが、総合的見直しによる改定後の俸給表を見ると、そのように理解せざるを得ない様子になっている。
 さて、今回は、教(二)(三)についても最小間差額が1,000円となるよう調整できないか、試作してみようと思う。

 そこで、行(一)6級に相当する行(一)以外の俸給表の相当級の2%を超える引下げ改定となった号俸の総合的見直しによる改定状況を確認しておきたい。

<2%超引下げ改定号俸の改定状況>
 制度年齢 49歳 50歳  51歳 52歳  53歳  54歳 55歳  56歳~
 行(一)  △2.2 △2.5 △2.8 △3.0 △3.3 △3.6 △4.0 号俸増設
 専門   △2.2 △2.5 △2.8 △3.0 △3.3 △3.6 △4.0
 税務   △2.3 △2.6 △2.8 △3.0 △3.3 △3.5 △3.8 号俸増設
 公安(一) △2.3 △2.6 △2.8 △3.0 △3.3 △3.5 △3.8 号俸増設
 公安(二) △2.3 △2.6 △2.8 △3.0 △3.3 △3.5 △3.8 号俸増設
 海事(一) △2.3 △2.5 △2.8
 教育(二) △2.2 △2.7 △2.9 △3.1 △3.3
 医療(二) △2.2 △2.5 △2.8 △3.0 △3.3
 医療(三) △2.2 △2.5 △2.8 △3.0 △3.3 △3.6 △4.0
 福祉   △2.2 △2.5 △2.8 △3.0 △3.3 △3.6 △4.0
  ※上記以外の俸給表は、2%超引下げ開始年齢などが異なると考えられるので省略

 こうして細かく見ていくと、俸給表ごとに細部の改定率は何らかの理由により調整されていると思われる。改定率は、最大でプラス・マイナス0.2ポイントの範囲内である。
 それでは、旧教(二)(三)について、最小間差額が1,000円となるよう、改定額に100円単位で加減算しつつ、試作してみよう。
 試作の方法は、前回同様に行(一)との格合わせを行うことを基本にして、教(二)2級については行(一)6級の最高号俸に相当する号俸の改定率を△4.0%になるようにし、教(三)2級については行(一)5級の最高号俸に相当する号俸の改定率を△3.0%になるようにした上で、最小間差額が1,000円となるよう最高号俸から遡って各号俸を改定し、とりあえず収まるようにしてみた。

<教(二)2級の改定額試算(基幹号俸)>
 基幹号俸  較差改定後→総合的見直し(改定率) 行(一)6級の改定率による
 109号俸  408,700円→399,800円(△2.2%)  399,800円(△2.2%)
 113号俸  411,900円→401,100円(△2.6%)  401,600円(△2.5%)
 117号俸  414,700円→402,100円(△3.0%)  403,300円(△2.8%)
 121号俸  417,400円→403,100円(△3.4%)  404,900円(△3.0%)
 125号俸  419,100円→404,100円(△3.6%)  405,400円(△3.3%)
 129号俸  421,000円→405,100円(△3.8%)  405,900円(△3.6%)
 133号俸  422,900円→406,100円(△4.0%)  406,200円(△3.95%→△4.0%)
 137号俸  424,800円→407,100円(△4.2%)  号俸が存在しない
<教(二)2級の基幹号俸間差額>
 基幹号俸  較差改定後→総合的見直し 行(一)6級の改定率による
 109号俸  3,200円 → 1,300円   1,800円
 113号俸  2,800円 → 1,000円   1,700円
 117号俸  2,700円 → 1,000円   1,600円
 121号俸  1,700円 → 1,000円    500円
 125号俸  1,900円 → 1,000円    500円
 129号俸  1,900円 → 1,000円    300円
 133号俸  1,900円 → 1,000円    300円
 137号俸=最高号俸

<教(三)2級の改定額試算(基幹号俸)>
 基幹号俸  較差改定後→総合的見直し(改定率) 行(一)5級の改定率による
 133号俸  404,800円→396,000円(△2.2%)  396,600円(△2.0%)
 137号俸  406,800円→397,000円(△2.4%)  397,700円(△2.2%)
 141号俸  409,000円→398,000円(△2.7%)  398,400円(△2.6%)
 145号俸  411,200円→399,000円(△3.0%)  399,000円(△3.0%)
 149号俸  413,400円→400,000円(△3.2%)  号俸が存在しない
<教(三)2級の基幹号俸間差額>
 基幹号俸  較差改定→総合的見直し 行(一)5級の改定率による
 133号俸  2,200円 →1,000円   1,400円
 137号俸  2,200円 →1,000円    800円
 141号俸  2,200円 →1,000円    600円
 145号俸  2,200円 →1,000円    600円
 149号俸=最高号俸

 最小間差額を1,000円に合わせようとすれば、できないことはないのだろう。しかし、試してみた結果は、教(二)では最大0.4ポイントも改定率が厳しくなるし、教(三)では2%超引下げの開始年齢が1年早まることになってしまった。そうすると、他の俸給表と比較しても全体として厳しい改定となってしまうので、少し改定率を緩和することになるのだろうか。詳細な考察をする時間がないのだが、税務や公安(一)(二)については、行(一)と比較すると、制度年齢49歳・50歳の号俸では各0.1ポイント厳しい改定率であるが、制度年齢54歳の号俸では0.1ポイント、55歳の号俸では0.2ポイント改定率が緩和されており、何らかのバランスをとったのではないかと思える。
 さてさて、全人連ではどのように作成するのだろうか…。

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345.26年人事院勧告(その8) [42.26年人事院勧告]

 前回と前々回、旧教(二)(三)のモデル給与表の作成に関わって気になる点を4つ取り上げたが、今回も、その続きである。

(5) 最小間差額
 現行の俸給月額は100円単位であるから、最小の間差額は100円である。そうすると、基幹号俸間の間差額(俸給制度表における1年間の昇給額)の最小の額は、理論上100円×4=400円となるのであるが、実際の現行俸給表では1,000円が最小の額となっている。例えば、行(二)2級の101号俸~105号俸の間差額などである。他に、公安(二)2級や海事(二)2級、医療(二)2級にも1,000円となっている箇所があり、各号俸の間差額の組み合わせは、「300円×3+100円×1」、「300円×2+200円×2」、「400円×1+200円×3」の3種類である。
 この点に着目して今回勧告された各俸給表を見ると、2%を超えて引き下げられた号俸についても、基幹号俸間の最小の間差額は1,000円に抑えられている。(現行で1,000円の箇所は、そのまま1,000円が維持されている。
 行(一)の例を挙げる。

<行(一)5級の基幹号俸間差額>
 基幹号俸  現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
 77号俸  2,600円→2,600円(0.0%)→1,100円(△2.2%)
 81号俸  2,600円→2,600円(0.0%)→1,000円(△2.6%)
 85号俸(現最高号俸)    (0.0%)→1,000円(△3.0%)
 89号俸=号俸増設            1,000円
 93号俸=号俸増設(新最高号俸)

<行(一)6級の基幹号俸間差額>
 基幹号俸  現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
 69号俸  2,600円→2,600円(0.0%)→1,100円(△3.3%)
 73号俸  2,600円→2,600円(0.0%)→1,000円(△3.6%)
 77号俸(現最高号俸)    (0.0%)→1,000円(△4.0%)
 81号俸=号俸増設            1,000円
 85号俸=号俸増設(新最高号俸)

 基幹号俸の最小の間差額が1,000円である号俸の数は、今回の総合的見直しに伴い激増しているのだが、1,000円未満の例が見いだせないことからすると、意図的に1,000円を最小の間差額として統一的に改定したのではないか。つまり、行(一)6級の現最高号俸の改定率が△4%とされた根拠については、報告では「50歳台後半層については、国家公務員給与が民間給与をなお4ポイント程度上回っている状況にある」ことを挙げているのだが、具体の引下げ額を決めるに当たっては、人事院は、この基幹号俸の最小の間差額が1,000円より下回らないよう配慮したのではないだろうか、と思うのである。

 そうすると、旧教(二)(三)ではどうなるのだろうか。問題は生じないのだろうか。というのも、旧教(二)(三)の特2級以下の最高号俸付近の間差額は、行(一)の相当する職務の級の間差額に比べて小さい、すなわち、給与カーブが緩いからである。
 旧教(二)(三)について、行(一)との格合わせを行って試算した場合の例を挙げて考察する。

<教(二)2級の改定額試算(基幹号俸)>
 基幹号俸  現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
 117号俸  414,300円→414,700円(0.10%)→403,300円(△2.76%)
 121号俸  417,200円→417,400円(0.05%)→404,900円(△2.99%)
 125号俸  419,100円→419,100円(0%)→405,400円(△3.26%)
 129号俸  421,000円→421,000円(0%)→405,900円(△3.6%)
 133号俸  422,900円→422,900円(0%)→406,200円(△3.95%=△4.0%)
 137号俸  424,800円→424,800円(0%)→406,500円(△4.3%)
  ※行(一)6級の改定率に基づき試算
<教(二)2級の基幹号俸間差額>
 基幹号俸  現行 →較差改定→総合的見直し
 117号俸  2,900円→2,900円→1,600円
 121号俸  1,900円→1,900円→500円
 125号俸  1,900円→1,900円→500円
 129号俸  1,900円→1,900円→300円
 133号俸  1,900円→1,900円→300円
 137号俸=最高号俸

<教(三)2級の改定額試算(基幹号俸)>
 基幹号俸  現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
 133号俸  404,600円→404,800円(0.05%)→396,600円(△2.03%)
 137号俸  406,800円→406,800円(0%)→397,700円(△2.23%)
 141号俸  409,000円→409,000円(0%)→398,400円(△2.59%)
 145号俸  411,200円→411,200円(0%)→399,000円(△2.97%=△3.0%)
 149号俸  413,400円→413,400円(0%)→399,600円(△3.34%)
  ※行(一)5級の改定率に基づき試算
<教(三)2級の基幹号俸間差額>
 基幹号俸  現行 →較差改定→総合的見直し(改定率)
 133号俸  2,200円→2,000円→1,100円
 137号俸  2,200円→2,200円→700円
 141号俸  2,200円→2,200円→600円
 145号俸  2,200円→2,200円→600円
 149号俸=最高号俸

 同様の手法で単純に計算すれば、1級及び特2級の最高号俸付近における基幹号俸の間差額は、1,000円を下回ることが確認できる。

 とにかく、単純計算では教(二)2級では4号俸で300円しか間差額がない。これでは、100円単位の俸給月額を基礎に構成する俸給表として、理論上の基幹号俸の最小の間差額である400円にも満たないことになり、制度上問題があると言わざるをえない。
 この問題に対して、全人連モデル給与表ではどのような解決策を示してくれるのだろうか…。

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344.26年人事院勧告(その7) [42.26年人事院勧告]

 前回、全人連において今後作成されるであろう旧教(二)(三)のモデル給与表に関わって、気になる点を3つ取り上げた。今回は、その続きである。

(4) 号俸増設
 3級以上の級の高位号俸については、50歳台後半層における官民の給与差を考慮して最大で4%程度引き下げることとする一方、平均改定率を上回る引下げ改定を行う号俸の範囲を限定した上で、40歳台や50歳台前半層の職員に対して昇給機会を確保する観点から、その在職実態等を考慮して、一定の号俸の増設を行うこととされた。
 人事院の報告では、「具体的には、行政職俸給表(一)5級及び6級の最高号俸には、50歳台前半層までの者がそれぞれ1,638人(最高号俸を受ける者の33.7%)、745人(同35.9%)いることを踏まえ、それぞれ8号俸の増設を行う」と説明している。
 そのほか、税務5級及び6級、公安(一)6級及び7級、公安(二)5級及び6級に限定して同様の号俸増設を行うこととしている。その在職実態が示されていないのでよく分からない。これらの俸給表については、在職実態というよりも、行(一)と俸給表の構造も似ているところであり、均衡の観点から行おうとするものではないだろうか。

 さて、旧教(二)(三)の号俸増設ついては、どう考えるべきだろうか。
 行(一)5級及び6級に相当する旧教(二)(三)の職務の級は、2級及び特2級ということでよいだろう。最高号俸における50歳台前半層までの者の在職実態については、行(一)5級及び6級にあっては全体の3割以上いるということであったが、旧教(二)(三)2級及び特2級の全国における状況は分からない。しかし、過去の改定経緯を踏まえると、それだけの割合の者がいる実態にはないと思われる。つまり、平成8年に3号俸の間引きが実施されたのだが、その間引き効果は、間引かれる号俸よりも上位の号俸に在職していた者には享受できない仕組みになっている。その結果、旧教(二)(三)の場合には、50歳台前半層までの者は最高号俸にほとんどいないだろうと思われるのである。
 その辺りの状況を簡単に記述してみる。

<平成8年号俸間引きに伴う切替表(抜粋)>
制度年齢   教(二)           教(三)
 25歳以下は省略
 26歳  6号俸 6号俸      9号俸 9号俸
 27歳  7号俸 7号俸(3月)  10号俸 10号俸(3月)
 28歳  8号俸 8号俸(6月)  11号俸 11号俸(6号俸)
 29歳  9号俸 9号俸(9月)  12号俸 12号俸(9号俸)
 30歳  10号俸 9号俸      13号俸 12号俸
 31歳  11号俸 10号俸(3月)  14号俸 13号俸(3号俸)
 32歳  12号俸 11号俸(6月)  15号俸 14号俸(6号俸)
 33歳  13号俸 12号俸(9月)  16号俸 15号俸(9号俸)
 34歳  14号俸 12号俸      17号俸 15号俸
 35歳  15号俸 13号俸(3月)  18号俸 16号俸(3月)
 36歳  16号俸 14号俸(6月)  19号俸 17号俸(6月)
 37歳  17号俸 15号俸(9月)  20号俸 18号俸(9月)
 38歳  18号俸 15号俸      21号俸 18号俸
 39歳以上は省略

 例えば、旧教(二)2級の18号俸に在職していた者であれば平成8年4月1日付けで15号俸(俸給月額は同額)に切り替え、同じく6号俸に在職していた者であれば同日付で6号俸(俸給月額は同額)に切り替えになったのである。前者は間引き効果をまったく享受できなかった者(間引き後の俸給表でみて昇給が3年遅れる者)であり、後者は完全に享受できた者である。
 当時、大卒制度年齢38歳であった者は実態ベースでは特昇定数を加味して平均で2歳程度若い年齢であろうと考えられ、平成27年4月では19年を加算して平均55歳程度になる。そしてその19年の間に旧19号俸+α、特昇定数を加味して旧21号俸程度+αを昇給することになるのだが、ここから、給与構造改革の実施に伴う昇給制度の変更(毎年1月に昇給)や昇給抑制措置の回復がなかった分の効果を減じる必要がある。生涯教諭であるケースでは昇格がないため単純に加算すればよく、旧36号俸程度(旧15号俸+21号俸程度)となる。全人連モデル給与表の場合(号俸増設等の都道府県独自措置がない場合)、計算に誤りがなければ、ようやく最高号俸に届くかどうかというのが現状だろう。すなわち、言い換えれば、「旧教(二)(三)の場合には、50歳台前半層までの者は最高号俸にほとんどいないだろう」ということになる。
 そうすると、在職実態からすれば、行(一)のように号俸を増設する理由が存在しないことになる。ちなみに、平成8年に号俸の間引きをしているのは、そのほかに、旧教(一)(四)をはじめ、専門、海事(一)、研究、医療(一)であるが、これらの俸給表については、今回いずれも号俸の増設はしていない。
 ただ、今後、平成8年の号俸間引きの効果を享受した者が55歳をまたずに最高号俸に到達するケースが年々増加してくることは確実である。完成形は当時6号俸以下(大学卒制度年齢26歳以下)の者であり、平均的に見れば現在40歳台前半層までの者ということになる。ということは、今回在職実態がないとして号俸を増設しなかったとしても、数年後には、行(一)同様に50歳台前半層に対する昇給機会の確保が確実に課題となってくるだろう…。

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343.26年人事院勧告(その6) [42.26年人事院勧告]

 前回、行(一)の4級~6級の関係に無理が生じていることを指摘した。各職務の級ごとの俸給制度曲線を示すグラフを見れば一目瞭然なのだが、1級をスタートの級として見ていくと、4級までは上位の級に上がるに従って、給与カーブの傾斜の相対関係が少しずつ開いていく。ところが、5級と6級で高位号俸の給与カーブの傾斜が急に緩やかになるのである。なんだか、頭を打たれそうになって首をすくめているかのようにも見える。そこで一旦リセットされて、6級を再スタートの級として見るならば、更に上位の級に上がっていくに従って、給与カーブの傾斜の相対関係が開いていく。いかにも行(一)の構造に上級下級の二重構造が作られたかのようである。

 ところで、この人事院勧告を踏まえて、全人連において旧教(二)(三)のモデル給与表が作成されることになると思われる。その際には、前回まで考察してきたような行(一)の新たな姿との均衡を基本に作成されるのだろう。モデル給与表が公表されるまでは詳細な点は分からないのだが、これまでのこのノートで学習してきたことを踏まえれば、ある程度は旧教(二)(三)モデル給与表への影響を推定することも可能であろう。
 気になる点のうち、いくつかを書いておこう。

(1) 初任給の引上げ
 行(一)の初任給については、世代間の給与配分の見直しの観点に立って、一般職試験(大卒程度)採用職員及び一般職試験(高卒者)採用職員については2,000円、総合職試験(大卒程度)採用職員については1,900円引き上げることとされた。
 行(一)以外の俸給表の初任給について勧告を確認すると、例えば、税務、公安(一)、公安(二)などは2,300円、教(一)、教(二)は2,400円引き上げることなどとされている。それは、従前の行(一)との均衡を確保した結果である。
 そうすると、旧教(二)(三)については、おそらく教諭(大卒)は2,200円程度、教諭(院卒)は2,100円程度引き上げることとなるのではないか。

(2) 較差改定における改定を行わない号俸
 26年の較差改定において改定を行わないこととされた号俸(50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえた3級以上の級の高位号俸)の制度年齢上の位置は、すべて「大学卒53歳以上」であった。
 これに従えば、旧教(二)(三)については一応次のようになるのではないか。
 ア 旧教(二)
   2級 125号俸以上
   特2級 101号俸以上
   3級 77号俸以上
   4級 37号俸以上
 イ 旧教(三)
   2級 137号俸
   特2級 101号俸以上
   3級 93号俸以上
   4級 37号俸以上
 なお、1級については、その水準が行(一)3級に満たないことから、一応この措置の対象外と思われる。ただし、旧教(二)1級の過去の改定経緯では、引上げのときは行(一)旧4級(現行3級)に合わせ、引下げのときは行(一)旧3級(現行2級)に合わせていたと考えられることから、もしかすると、旧教(二)1級については145号俸以上の改定が行われないのかもしれない。

(3) 総合的見直しにおける2%を超える引下げ
 総合的見直しにおける2%を超える引下げの様相は職務の級により大きくことなっていた。すなわち、6級の引下げが一番厳しく、最高号俸(号俸増設前)で唯一△4.0%であり、7級の最高号俸は△3.0%、5級の最高号俸(号俸増設前)は△3.0%であった。また、6級は2%を超える引下げ対象が広い範囲の号俸に及んでいた。
 旧教(二)(三)についても当然ながら、行(一)における総合的見直しとの均衡を踏まえた改定を行うこととなろう。ということは、行(一)の6級を中心に改定を勧告された高位号俸の引下げは、旧教(二)(三)では、教諭等に適用される2級や主幹教諭等に適用される特2級に直接的に影響を及ぼすことになる。
 国家公務員では地方の管理職等の給与水準をターゲットに引下げたと思われるのだが、地方公務員にとっては行政職等の管理職だけでなく、義務教育諸学校の教育公務員のうち多数を占める教諭等の給与水準がターゲットにされることを意味する。人材確保法によって旧教(二)2級は行(一)6級、旧教(三)2級は行(一)5級の水準まで引き上げられている当然の結果だといえば、そのとおりである。しかし、財務省筋からの人件費削減圧力を感じる今回の給与制度の総合的見直しの内容を踏まえると、単なる偶然とは思えない気もするのだが、考えすぎだろうか…。

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342.26年人事院勧告(その5) [42.26年人事院勧告]

 前回、行(一)における2%を超える引下げの職務の級ごとの様相を概観した。
 行(一)以外の俸給表についての報告も引用しておく。

<26年報告抜粋>
イ 指定職俸給表
 指定職俸給表については、行政職俸給表(一)の平均改定率と同程度の引下げ改定を行う。
ウ 行政職俸給表(一)及び指定職俸給表以外の俸給表
 行政職俸給表(一)及び指定職俸給表以外の俸給表については、行政職俸給表(一)との均衡を基本とし、各俸給表における50歳台後半層の職員の在職実態等にも留意しつつ、引下げ改定を行う。ただし、医療職俸給表(一)については、国の医療施設に勤務する医師の処遇を確保する観点から、引下げ改定は行わない。
 また、40歳台や50歳台前半層の職員の在職実態等を踏まえ、税務職俸給表5級及び6級、公安職俸給表(一)6級及び7級並びに公安職俸給表(二)5級及び6級について、これらの職員に対して勤務成績に応じた昇給機会を確保する観点から、8号俸の増設を行う。
 再任用職員の俸給月額については、行政職俸給表(一)との均衡を基本に、引下げ改定を行う。

 行(一)以外の俸給表について確認してみたが、行(一)との均衡を基本としたものといえる。2%を超える引下げについても同様であった。専門、税務、公安(一)(二)、医療(二)(三)、福祉は行(一)と同じと言って良い。医療(一)の引下げは実施しない。行(二)などはやはり異なる。教(一)(二)には独自性が見られるように思われる。

 ところで、行(一)について、現行(今回の較差改定前)の俸給制度曲線と給与制度の総合的見直し後のそれとを比較してみた。このノートに掲載できないが、6級をターゲットにした見直しの結果は一目瞭然であり、従前の美しいカーブ、美しい級間のバランスははかなく崩れ去っている。
 例えば、間差額の変化を見てみる。立ち上がり部分の平均間差額→前半号俸(立ち上がり部分を含む)の平均間差額→後半号俸の平均間差額→最終間差額を百円単位で示す。どの号俸で区分するかは考察者の感覚によるので、絶対的な数値ではない。最終間差額の前半号俸の平均間差額に対する割合も( )内に記す。

<総合的見直しによる間差額の変化>
ア 現行
  1級 72→60→13→13(0.22)
  2級 72→60→13→13(0.22)
  3級 75→68→18→16(0.24)
  4級 84→80→25→25(0.31)
  5級 90→80→26→26(0.32)
  6級 87→77→27→26(0.34)
  7級 103→88→31→30(0.34)
  8級 88→79→32→31(0.39)
  9級 122→96→44→36(0.37)
  10級 126→113→48→48(0.43)
イ 見直し後
  1級 67→56→12→11(0.20)
  2級 67→56→12→11(0.20)
  3級 69→64→17→15(0.24)
  4級 82→78→21→16(0.21)
  5級 88→78→17→10(0.13)
  6級 85→75→13→10(0.13)
  7級 100→86→21→13(0.15)
  8級 86→77→23→15(0.19)
  9級 119→93→41→25(0.27)
  10級 122→109→37→37(0.34)

 今回の総合的見直しを行う以前から、4級、5級、6級の関係については水準が近いこともあってか、5級の給与カーブは途中から4級の給与カーブより緩やかだったのだが、更に緩やかになる結果となっている。普通、職務の級が上昇すれば、給与カーブはより傾斜がきつくなるものだが、そういった設計思想にはこの際こだわらず、ひたすら6級の高位号俸の給与カーブを緩やかにし、5級をはじめとして、より近い級の高位号俸の給与カーブを引きずって下げたようにも見える。その結果、6級の給与カーブは5級の給与カーブより若干傾斜がきついか同じであったものが、高位号俸前半ではついに5級の給与カーブより緩くなってしまった。また、5級の給与カーブも4級の給与カーブよりかなり緩いものとなってしまった。現行の俸給制度曲線では、かろうじて全体のバランスを確保しているようの見えるのだが、最早、諦めてしまったかのようである。
 その結果、グラフにしてみるとよく分かるが、4級~6級の関係にどう見ても無理が生じている。つまり、そのまま曲線を延長したとしたならば、4級と5級及び6級は確実に交差するからである。

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341.26年人事院勧告(その4) [42.26年人事院勧告]

 前回、「50歳台後半層における官民の給与差を考慮して、最大で4%程度引き下げる」とした引下げの様相は、職務の級により相当異なっていると指摘した。今回は、その点を見ていきたい。

<2%を超える引下げ>
  3級 最大△2.0% 2%を超える引下げなし
  4級 85号俸(53歳)△2.1%~93号俸(55歳)△2.5%
  5級 77号俸(53歳)△2.2%~85号俸(55歳)△3.0% +8号俸=93号俸(57歳)△2.5%
  6級 53号俸(49歳)△2.2%~77号俸(55歳)△4.0% +8号俸=85号俸(57歳)△3.5%
  7級 49号俸(51歳)△2.1%~61号俸(54歳)△3.0%
  8級 37号俸(51歳)△2.1%~45号俸(53歳)△2.5%
  9級 37号俸(53歳)△2.1%~41号俸(54歳)△2.3%
  10級 17号俸(53歳)△2.1%~21号俸(54歳)△2.3%

 前回掲載した級別の平均改定率でも明らかになっているように、6級の引下げが一番厳しいものとなっており、8号俸増設前の最高号俸では唯一△4.0%となっている。次いで、7級の最高号俸が△3.0%、5級の8号俸増設前の最高号俸が△3.0%となっている。また、6級の場合には2%を超える引下げとなる号俸の幅が広く、大学卒制度年齢49歳の53号俸から8号俸増設前で見て55歳の77号俸までの6年分の号俸にわたっている。その他の職務の級での対象が2~3年分の号俸に止まっているとの比べると、6級のみが厳しい措置となっている。
 この点に関して報告では、「40歳台や50歳台前半層の職員の給与水準に与える影響にも留意する必要がある。このため、50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえ、平均改定率を上回る引下げ改定を行う号俸の範囲を限定する。」としている。つまり、50歳台後半層が実際に在職している状況などを踏まえて対象範囲を限定したというのである。年齢別の号俸在職実態が公表されていないので確認のしようがない。
 現在講じている55歳を超える職員に対する俸給等の1.5%減額措置を廃止することになるから、割り引いて考えればよいのかもしれない。そうすると、55歳を超える職員にとっては△4.0%は△2.5%、△3.0%は△1.5%、△2.5%は△1.0%…になる。だから、職務の級ごとに引下げの範囲が異なってもよいのかもしれない。しかし、俸給表そのものに年齢による在職実態を織り込むことは、俸給カーブの級間の相対関係をいびつにする可能性がある。
 どう見ても6級狙い撃ちであるが、これだけ職務の級によって厳しさに差があるのは、なりふり構わずという感じもするし、「50歳台後半層については国家公務員が民間給与を4ポイント程度上回っている」状況の中で、影響範囲をできる限り狭めようとした努力の結果のようにも思われる。

 人事院がどう考えたのか、正確に知ることはできないが、次の記述を掲載しておこう。

<2014年度公務労協情報 №52(7月29日)抜粋>
(古屋人事院給与局長再回答)
(3) 55歳以上が多くいる最高号俸の方を中心に見ていくことになる。前回見直したので、最高号俸あたりから昇格した場合であれば、大幅に引き下げられた号俸に飛びつくのか議論になるので、限定的にしたいと思っている。最高号俸近辺を厚めに引き下げざるを得ない。

 この回答内容を確かめようとすると、昇格時号俸対応の変化を確認しなければならない。少なくとも、人事院はこれらの運用レベルまで目配りしている。

<26年人事院報告の抜粋>
1 給与制度の総合的見直しの必要性
 (略)
 また、近年、国家公務員においては職員の平均年齢が上昇し、職員構成の高年齢化が顕著となってきていること、今後は、公的年金の支給開始年齢の段階的な引上げに伴い、雇用と年金の接続を図ることが求められていること等を踏まえると、給与カーブの見直し等が必要である。
(略)
 こうした取組は一定の成果を挙げたものの、公務においては、在職期間の長期化が進んだことに加え、地方の管理職等を中心に50歳台後半層において昇任する人事慣行があること等から、50歳台後半層については、国家公務員給与が民間給与をなお4ポイント程度上回っている状況にある。
このような状況を踏まえ、50歳台後半層の給与水準を見直すこと等により、世代間の給与配分を更に適正化する必要がある。
 なお、こうした取組は、官民の年齢別の給与差を縮小する観点のみならず、雇用と年金の接続を図ることが重要な課題となる中、50歳台の給与水準が60歳台前半の給与水準に関連することからも重要である。

 いずれにしても、職員構成の高年齢化による人件費増大圧力と雇用と年金の接続による人件費増大圧力をいかにして下げるのかというのが至上命題であり、ターゲットは「地方の管理職等」だと述べているように受け取れるのだが…。

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340.26年人事院勧告(その3) [42.26年人事院勧告]

 前回、26年勧告により改定を行わないこととされた号俸、すなわち「50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえ、3級以上の級の高位号俸」の制度年齢上の位置は、すべて「大学卒53歳以上」であることを確認した。
 行(一)以外の俸給表についても、簡単に見ておく。報告を引用する。

(行政職俸給表(一)以外の俸給表)
 行政職俸給表(一)以外の俸給表についても、行政職俸給表(一)との均衡を基本に所要の改定を行い、本年4月に遡及して実施する。
 指定職俸給表については、参考としている民間企業の役員報酬を下回っているが、行政職俸給表(一)10級の改定状況を勘案し、改定を行わない。

 行(一)以外の俸給表についてざっと確認してみると、行(一)との均衡を基本にしており、改定を行わない号俸は概ね「大学卒53歳以上」の号俸となっている。ただ、いくつかの俸給表は異なっており、行(二)や海事(二)、海事(一)の改定にあたっては、別の要素が考慮されているように思われる。詳細に確認していくだけの余裕がないので、次の点について考察する。

 さて、これから「給与制度の総合的見直し」関連の給与改定手法を見ていきたい。
まず、報告本文を引用する。

<給与制度の総合的見直し関係>
ア 行政職俸給表(一)
 俸給表の水準を平均2%引き下げる。その際、各職務の級及び号俸について、俸給表の平均改定率と同率の引下げを行うことを基本とした上で、次の措置を行う。
(ア) 1級(全号俸)及び2級の初任給に係る号俸については、人材確保への影響等を考慮して、引下げを行わない。
(イ) 3級以上の級の高位号俸については、50歳台後半層における官民の給与差を考慮して、最大で4%程度引き下げる。
 その際、40歳台や50歳台前半層の職員の給与水準に与える影響にも留意する必要がある。このため、50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえ、平均改定率を上回る引下げ改定を行う号俸の範囲を限定するとともに、40歳台や50歳台前半層の職員に対して勤務成績に応じた昇給機会を確保する観点から、5級及び6級について、8号俸の増設を行う。
 また、再任用職員の俸給月額については、再任用職員以外の職員の俸給月額の改定に準じた引下げ改定を行う。

 次に、勧告された俸給表に基づき、「給与制度の総合的見直し」関連の給与改定状況を具体的に確認していきたい。
 まず、級別の改定率を概観する。(基幹号俸のみで概観)

 <行(一)の級別の改定率>
  1級 初号0%~93号俸0%(平均0%) ※改定なし。
  2級 初号0%~125号俸△2.0%(平均△1.6%)
  3級 初号△0.3%~113号俸△2.0%(平均△1.8%)
  4級 初号△2.0%~93号俸△2.5%(平均△2.0%)
  5級 初号△2.0%~85号俸△3.5%(平均△2.1%) +8号俸
  6級 初号△2.0%~77号俸△4.0%(平均△2.4%) +8号俸
  7級 初号△2.0%~61号俸△3.0%(平均△2.1%)
  8級 初号△2.0%~45号俸△2.5%(平均△2.1%)
  9級 初号△2.0%~41号俸△2.3%(平均△2.1%)
  10級 初号△2.0%~21号俸△2.3%(平均△2.0%)

 引下げを行わない号俸は、報告のとおり1級の全号俸と2級の初任給に係る号俸(総合職(大卒)及び総合職(院卒))となっている。
 「3級以上の級の高位号俸については、50歳台後半層における官民の給与差を考慮して、最大で4%程度引き下げる。」としているものの、2%を超える引下げは「4級以上の級の高位号俸」を対象に引き下げられている。ただ、引下げの様相は職務の級により相当異なっているように思われる。
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339.26年人事院勧告(その2) [42.26年人事院勧告]

 今回は、26年人事院勧告による本年の較差改定の具体的な手法について考察するため、行政職俸給表(一)の改定状況を確認したい。

 例によって俸給制度表を作成する。22年給与改定、23年給与改定で考察した内容に従えば、11級制時代の制度表ではなく、給与構造改革に対応したものを作ればよかった。すなわち、平成4年度から漸進的に導入された昇格改善の効果を織り込んだ現行の俸給表及び昇格対応関係に基づき単純に作成する。
 これに基づき、改定状況を確認していく。

ア 初任給の水準(代表例)
  一般職(高卒)採用試験 1-5  2,000円
  一般職(大卒)採用試験 1-25 2,000円
  総合職(大卒)採用試験 2-1  1,900円

イ 級別の改定率
  1級 初号1.5%~93号俸0.5%(平均0.8%)
  2級 初号1.0%~125号俸0.1%(平均0.4%)
  3級 初号0.8%~113号俸0%(平均0.3%)
  4級 初号0.6%~93号俸0%(平均0.3%)
  5級 初号0.5%~85号俸0%(平均0.3%)
  6級 初号0.5%~77号俸0%(平均0.2%)
  7級 初号0.4%~61号俸0%(平均0.2%)
  8級 初号0.3%~45号俸0%(平均0.1%)
  9級 初号0.2%~41号俸0%(平均0.1%)
  10級 初号0.1%~21号俸0%(平均0.0%)
 下位の職務の級ほど、下位の号俸ほど改定率は高くなっている。(下位の号俸ほど改定額は高くなっている。)

ウ 改定を行わない号俸
  報告=50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえ、3級以上の級の高位号俸
  3級 101号俸以上
  4級 85号俸以上
  5級 77号俸以上
  6級 69号俸以上
  7級 57号俸以上
  8級 45号俸以上
  9級 37号俸以上
  10級 17号俸以上
 考察の前提として作成した行(一)俸給制度表によれば、これらの号俸の大学卒制度年齢は、3級~8級まではいずれも53歳以上であるが、9級及び10級は55歳以上となった。なぜ、9級以上の号俸は2年遅れるのか…。
 22年給与改定は40歳のライン、23年給与改定では43歳のラインを確認できたのだが、9級及び10級にはそのような制度年齢の号俸は存在しないことから、その時点では十分に確認をしたものではなかった。おそらく、9級以上は特別扱いになっているか、あるいは、単純に行(一)の給与構造改革後の昇格対応関係で制度上を作成したことによる誤りであろう。(行(一)以外の俸給表改定に当たって、行(一)との均衡を基本とすると、それらの俸給制度表は単純な昇格対応関係でないことは、これまでの考察で確認している。)

 さて、ここで立ち止まって、俸給制度表の点検をする必要がある。
 まず、11級制度時代の俸給制度表を作成する。そして、平成2年の初任給改善の効果を加味する。その上で、平成18年の切替表に基づき、新旧の対応する号俸を並べ、更に増設された号俸(基幹号俸)を追加する。ここから、平成18年の切替えによりカットされた初号付近の号俸に相当する年数を職務の級ごとに前倒し、給与構造改革後の俸給制度表としてみる。
 これに基づく各職務の級の初号の位置と、行(一)の昇格時号俸対応表における各職務の級の初号の位置と比較してみると、8級までは一致するが、9級以上は昇格時号俸対応表の方が俸給制度表よりも2年遅くなっていることが分かる。
 これによって俸給制度表を補正すれば、26年勧告により改定を行わないこととされた号俸の制度年齢上の位置は、すべて「大学卒53歳以上」と理解できることになる。

(そうすると、以前、この学習ノートで記述した内容で考察が不十分であった箇所を訂正する必要がある。一例を挙げれば、「287.23年俸給表改定(その1)」において「23年勧告により引下げが開始される号俸」を考察しているが、「9級 1号俸(制度年齢46歳以上)、10級 1号俸(制度年齢51歳以上)」とした部分について、制度年齢をそれぞれ2年前倒しし、「9級 1号俸(制度年齢44歳以上)、10級 1号俸(制度年齢49歳以上)」しなければならない。)

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338.26年人事院勧告(その1) [42.26年人事院勧告]

 8月7日、人事院は7年ぶりに国家公務員給与を引き上げるよう国会と内閣に勧告した。景気回復の影響等による民間賃金の上昇を反映して、月例給を0.27%、ボーナスを0.15か月分、今年の4月に遡って改定するものとなっている。同時に「給与制度の総合的見直し」についても勧告した。こちらの方は、地域間及び世代間の給与配分の見直しを目的として、俸給表を民間賃金の低い地域の水準に合わせて平均2%引下げ、行政職の初任給の号俸を2,000円引き上げる一方、55歳以上の職員が在職する号俸は最大4%まで引き下げるなどの内容となっている。
 「旧教育職俸給表(二)(三)はどのようにして作成するのか」という疑問を出発点とするこの学習ノートにとっては、今回の人事院勧告は平成23年勧告以来の俸給表改定を内容とするものであり、久しぶりに旧教(二)(三)作成方法を考察するためのチャンスを与えてくれるものとなっている。
 俸給表の改定は、本年の較差改定と給与制度の総合的見直しのよる改定の2段階となっている。
 まず、本年の較差改定を考察する。報告本文の記述を引用する。

<本年の較差改定関係>
(行政職俸給表(一))
 民間との給与比較を行っている行政職俸給表(一)について、平均0.3%引き上げることとする。
 その際、世代間の給与配分の見直しの観点に立って、一般職試験(大卒程度)採用職員及び一般職試験(高卒者)採用職員の初任給について、民間の初任給との間に相当の差が生じていることを踏まえ、2,000円引き上げることとし、若年層についても同程度の改定を行う。
 また、50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえ、3級以上の級の高位号俸については、改定を行わないこととする。再任用職員の俸給月額についても、この取扱いに準じて改定を行わないこととする。
 この改定は、本年4月時点の比較に基づいて公務員給与と民間給与を均衡させるためのものであることから、同月に遡及して実施する。

 給与制度の総合的見直しにおいて世代間の見直しを行うこととなるが、「本年の俸給の水準改定に当たっても、世代間の給与配分の観点から若年層に重点を置きながら広い範囲の号俸について引上げを行う」ことを改定の基本方針としている。
 報告本文を読む限り、比較的単純な改定手法かと思われるが、3級以上の高位号俸の改定を行わない部分については「50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえ」としている点が気がかりである。大学卒の俸給制度表においては、2級~6級の最高号俸の位置は制度年齢55歳(3級は56歳)となっているから、俸給制度表の上においては50歳台後半層に適用される号俸はほぼ最高号俸に限定される。報告では「在職実態等を踏まえて」としているので、制度表をにらんでも直接答えは出てこない。従前の特昇原資15%=査定原資15%の存在を前提にすれば、制度表上の50歳台前半層に適用される号俸が改定を行わない号俸とされたのではないかと推定できる。具体的な号俸がどのように指定されたのかは、実際に勧告された俸給表の号俸によって確認していくほかない。

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