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344.26年人事院勧告(その7) [42.26年人事院勧告]

 前回、全人連において今後作成されるであろう旧教(二)(三)のモデル給与表に関わって、気になる点を3つ取り上げた。今回は、その続きである。

(4) 号俸増設
 3級以上の級の高位号俸については、50歳台後半層における官民の給与差を考慮して最大で4%程度引き下げることとする一方、平均改定率を上回る引下げ改定を行う号俸の範囲を限定した上で、40歳台や50歳台前半層の職員に対して昇給機会を確保する観点から、その在職実態等を考慮して、一定の号俸の増設を行うこととされた。
 人事院の報告では、「具体的には、行政職俸給表(一)5級及び6級の最高号俸には、50歳台前半層までの者がそれぞれ1,638人(最高号俸を受ける者の33.7%)、745人(同35.9%)いることを踏まえ、それぞれ8号俸の増設を行う」と説明している。
 そのほか、税務5級及び6級、公安(一)6級及び7級、公安(二)5級及び6級に限定して同様の号俸増設を行うこととしている。その在職実態が示されていないのでよく分からない。これらの俸給表については、在職実態というよりも、行(一)と俸給表の構造も似ているところであり、均衡の観点から行おうとするものではないだろうか。

 さて、旧教(二)(三)の号俸増設ついては、どう考えるべきだろうか。
 行(一)5級及び6級に相当する旧教(二)(三)の職務の級は、2級及び特2級ということでよいだろう。最高号俸における50歳台前半層までの者の在職実態については、行(一)5級及び6級にあっては全体の3割以上いるということであったが、旧教(二)(三)2級及び特2級の全国における状況は分からない。しかし、過去の改定経緯を踏まえると、それだけの割合の者がいる実態にはないと思われる。つまり、平成8年に3号俸の間引きが実施されたのだが、その間引き効果は、間引かれる号俸よりも上位の号俸に在職していた者には享受できない仕組みになっている。その結果、旧教(二)(三)の場合には、50歳台前半層までの者は最高号俸にほとんどいないだろうと思われるのである。
 その辺りの状況を簡単に記述してみる。

<平成8年号俸間引きに伴う切替表(抜粋)>
制度年齢   教(二)           教(三)
 25歳以下は省略
 26歳  6号俸 6号俸      9号俸 9号俸
 27歳  7号俸 7号俸(3月)  10号俸 10号俸(3月)
 28歳  8号俸 8号俸(6月)  11号俸 11号俸(6号俸)
 29歳  9号俸 9号俸(9月)  12号俸 12号俸(9号俸)
 30歳  10号俸 9号俸      13号俸 12号俸
 31歳  11号俸 10号俸(3月)  14号俸 13号俸(3号俸)
 32歳  12号俸 11号俸(6月)  15号俸 14号俸(6号俸)
 33歳  13号俸 12号俸(9月)  16号俸 15号俸(9号俸)
 34歳  14号俸 12号俸      17号俸 15号俸
 35歳  15号俸 13号俸(3月)  18号俸 16号俸(3月)
 36歳  16号俸 14号俸(6月)  19号俸 17号俸(6月)
 37歳  17号俸 15号俸(9月)  20号俸 18号俸(9月)
 38歳  18号俸 15号俸      21号俸 18号俸
 39歳以上は省略

 例えば、旧教(二)2級の18号俸に在職していた者であれば平成8年4月1日付けで15号俸(俸給月額は同額)に切り替え、同じく6号俸に在職していた者であれば同日付で6号俸(俸給月額は同額)に切り替えになったのである。前者は間引き効果をまったく享受できなかった者(間引き後の俸給表でみて昇給が3年遅れる者)であり、後者は完全に享受できた者である。
 当時、大卒制度年齢38歳であった者は実態ベースでは特昇定数を加味して平均で2歳程度若い年齢であろうと考えられ、平成27年4月では19年を加算して平均55歳程度になる。そしてその19年の間に旧19号俸+α、特昇定数を加味して旧21号俸程度+αを昇給することになるのだが、ここから、給与構造改革の実施に伴う昇給制度の変更(毎年1月に昇給)や昇給抑制措置の回復がなかった分の効果を減じる必要がある。生涯教諭であるケースでは昇格がないため単純に加算すればよく、旧36号俸程度(旧15号俸+21号俸程度)となる。全人連モデル給与表の場合(号俸増設等の都道府県独自措置がない場合)、計算に誤りがなければ、ようやく最高号俸に届くかどうかというのが現状だろう。すなわち、言い換えれば、「旧教(二)(三)の場合には、50歳台前半層までの者は最高号俸にほとんどいないだろう」ということになる。
 そうすると、在職実態からすれば、行(一)のように号俸を増設する理由が存在しないことになる。ちなみに、平成8年に号俸の間引きをしているのは、そのほかに、旧教(一)(四)をはじめ、専門、海事(一)、研究、医療(一)であるが、これらの俸給表については、今回いずれも号俸の増設はしていない。
 ただ、今後、平成8年の号俸間引きの効果を享受した者が55歳をまたずに最高号俸に到達するケースが年々増加してくることは確実である。完成形は当時6号俸以下(大学卒制度年齢26歳以下)の者であり、平均的に見れば現在40歳台前半層までの者ということになる。ということは、今回在職実態がないとして号俸を増設しなかったとしても、数年後には、行(一)同様に50歳台前半層に対する昇給機会の確保が確実に課題となってくるだろう…。

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