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343.26年人事院勧告(その6) [42.26年人事院勧告]

 前回、行(一)の4級~6級の関係に無理が生じていることを指摘した。各職務の級ごとの俸給制度曲線を示すグラフを見れば一目瞭然なのだが、1級をスタートの級として見ていくと、4級までは上位の級に上がるに従って、給与カーブの傾斜の相対関係が少しずつ開いていく。ところが、5級と6級で高位号俸の給与カーブの傾斜が急に緩やかになるのである。なんだか、頭を打たれそうになって首をすくめているかのようにも見える。そこで一旦リセットされて、6級を再スタートの級として見るならば、更に上位の級に上がっていくに従って、給与カーブの傾斜の相対関係が開いていく。いかにも行(一)の構造に上級下級の二重構造が作られたかのようである。

 ところで、この人事院勧告を踏まえて、全人連において旧教(二)(三)のモデル給与表が作成されることになると思われる。その際には、前回まで考察してきたような行(一)の新たな姿との均衡を基本に作成されるのだろう。モデル給与表が公表されるまでは詳細な点は分からないのだが、これまでのこのノートで学習してきたことを踏まえれば、ある程度は旧教(二)(三)モデル給与表への影響を推定することも可能であろう。
 気になる点のうち、いくつかを書いておこう。

(1) 初任給の引上げ
 行(一)の初任給については、世代間の給与配分の見直しの観点に立って、一般職試験(大卒程度)採用職員及び一般職試験(高卒者)採用職員については2,000円、総合職試験(大卒程度)採用職員については1,900円引き上げることとされた。
 行(一)以外の俸給表の初任給について勧告を確認すると、例えば、税務、公安(一)、公安(二)などは2,300円、教(一)、教(二)は2,400円引き上げることなどとされている。それは、従前の行(一)との均衡を確保した結果である。
 そうすると、旧教(二)(三)については、おそらく教諭(大卒)は2,200円程度、教諭(院卒)は2,100円程度引き上げることとなるのではないか。

(2) 較差改定における改定を行わない号俸
 26年の較差改定において改定を行わないこととされた号俸(50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえた3級以上の級の高位号俸)の制度年齢上の位置は、すべて「大学卒53歳以上」であった。
 これに従えば、旧教(二)(三)については一応次のようになるのではないか。
 ア 旧教(二)
   2級 125号俸以上
   特2級 101号俸以上
   3級 77号俸以上
   4級 37号俸以上
 イ 旧教(三)
   2級 137号俸
   特2級 101号俸以上
   3級 93号俸以上
   4級 37号俸以上
 なお、1級については、その水準が行(一)3級に満たないことから、一応この措置の対象外と思われる。ただし、旧教(二)1級の過去の改定経緯では、引上げのときは行(一)旧4級(現行3級)に合わせ、引下げのときは行(一)旧3級(現行2級)に合わせていたと考えられることから、もしかすると、旧教(二)1級については145号俸以上の改定が行われないのかもしれない。

(3) 総合的見直しにおける2%を超える引下げ
 総合的見直しにおける2%を超える引下げの様相は職務の級により大きくことなっていた。すなわち、6級の引下げが一番厳しく、最高号俸(号俸増設前)で唯一△4.0%であり、7級の最高号俸は△3.0%、5級の最高号俸(号俸増設前)は△3.0%であった。また、6級は2%を超える引下げ対象が広い範囲の号俸に及んでいた。
 旧教(二)(三)についても当然ながら、行(一)における総合的見直しとの均衡を踏まえた改定を行うこととなろう。ということは、行(一)の6級を中心に改定を勧告された高位号俸の引下げは、旧教(二)(三)では、教諭等に適用される2級や主幹教諭等に適用される特2級に直接的に影響を及ぼすことになる。
 国家公務員では地方の管理職等の給与水準をターゲットに引下げたと思われるのだが、地方公務員にとっては行政職等の管理職だけでなく、義務教育諸学校の教育公務員のうち多数を占める教諭等の給与水準がターゲットにされることを意味する。人材確保法によって旧教(二)2級は行(一)6級、旧教(三)2級は行(一)5級の水準まで引き上げられている当然の結果だといえば、そのとおりである。しかし、財務省筋からの人件費削減圧力を感じる今回の給与制度の総合的見直しの内容を踏まえると、単なる偶然とは思えない気もするのだが、考えすぎだろうか…。

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