345.26年人事院勧告(その8) [42.26年人事院勧告]
前回と前々回、旧教(二)(三)のモデル給与表の作成に関わって気になる点を4つ取り上げたが、今回も、その続きである。
(5) 最小間差額
現行の俸給月額は100円単位であるから、最小の間差額は100円である。そうすると、基幹号俸間の間差額(俸給制度表における1年間の昇給額)の最小の額は、理論上100円×4=400円となるのであるが、実際の現行俸給表では1,000円が最小の額となっている。例えば、行(二)2級の101号俸~105号俸の間差額などである。他に、公安(二)2級や海事(二)2級、医療(二)2級にも1,000円となっている箇所があり、各号俸の間差額の組み合わせは、「300円×3+100円×1」、「300円×2+200円×2」、「400円×1+200円×3」の3種類である。
この点に着目して今回勧告された各俸給表を見ると、2%を超えて引き下げられた号俸についても、基幹号俸間の最小の間差額は1,000円に抑えられている。(現行で1,000円の箇所は、そのまま1,000円が維持されている。
行(一)の例を挙げる。
<行(一)5級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
77号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,100円(△2.2%)
81号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,000円(△2.6%)
85号俸(現最高号俸) (0.0%)→1,000円(△3.0%)
89号俸=号俸増設 1,000円
93号俸=号俸増設(新最高号俸)
<行(一)6級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
69号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,100円(△3.3%)
73号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,000円(△3.6%)
77号俸(現最高号俸) (0.0%)→1,000円(△4.0%)
81号俸=号俸増設 1,000円
85号俸=号俸増設(新最高号俸)
基幹号俸の最小の間差額が1,000円である号俸の数は、今回の総合的見直しに伴い激増しているのだが、1,000円未満の例が見いだせないことからすると、意図的に1,000円を最小の間差額として統一的に改定したのではないか。つまり、行(一)6級の現最高号俸の改定率が△4%とされた根拠については、報告では「50歳台後半層については、国家公務員給与が民間給与をなお4ポイント程度上回っている状況にある」ことを挙げているのだが、具体の引下げ額を決めるに当たっては、人事院は、この基幹号俸の最小の間差額が1,000円より下回らないよう配慮したのではないだろうか、と思うのである。
そうすると、旧教(二)(三)ではどうなるのだろうか。問題は生じないのだろうか。というのも、旧教(二)(三)の特2級以下の最高号俸付近の間差額は、行(一)の相当する職務の級の間差額に比べて小さい、すなわち、給与カーブが緩いからである。
旧教(二)(三)について、行(一)との格合わせを行って試算した場合の例を挙げて考察する。
<教(二)2級の改定額試算(基幹号俸)>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
117号俸 414,300円→414,700円(0.10%)→403,300円(△2.76%)
121号俸 417,200円→417,400円(0.05%)→404,900円(△2.99%)
125号俸 419,100円→419,100円(0%)→405,400円(△3.26%)
129号俸 421,000円→421,000円(0%)→405,900円(△3.6%)
133号俸 422,900円→422,900円(0%)→406,200円(△3.95%=△4.0%)
137号俸 424,800円→424,800円(0%)→406,500円(△4.3%)
※行(一)6級の改定率に基づき試算
<教(二)2級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定→総合的見直し
117号俸 2,900円→2,900円→1,600円
121号俸 1,900円→1,900円→500円
125号俸 1,900円→1,900円→500円
129号俸 1,900円→1,900円→300円
133号俸 1,900円→1,900円→300円
137号俸=最高号俸
<教(三)2級の改定額試算(基幹号俸)>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
133号俸 404,600円→404,800円(0.05%)→396,600円(△2.03%)
137号俸 406,800円→406,800円(0%)→397,700円(△2.23%)
141号俸 409,000円→409,000円(0%)→398,400円(△2.59%)
145号俸 411,200円→411,200円(0%)→399,000円(△2.97%=△3.0%)
149号俸 413,400円→413,400円(0%)→399,600円(△3.34%)
※行(一)5級の改定率に基づき試算
<教(三)2級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定→総合的見直し(改定率)
133号俸 2,200円→2,000円→1,100円
137号俸 2,200円→2,200円→700円
141号俸 2,200円→2,200円→600円
145号俸 2,200円→2,200円→600円
149号俸=最高号俸
同様の手法で単純に計算すれば、1級及び特2級の最高号俸付近における基幹号俸の間差額は、1,000円を下回ることが確認できる。
とにかく、単純計算では教(二)2級では4号俸で300円しか間差額がない。これでは、100円単位の俸給月額を基礎に構成する俸給表として、理論上の基幹号俸の最小の間差額である400円にも満たないことになり、制度上問題があると言わざるをえない。
この問題に対して、全人連モデル給与表ではどのような解決策を示してくれるのだろうか…。
(5) 最小間差額
現行の俸給月額は100円単位であるから、最小の間差額は100円である。そうすると、基幹号俸間の間差額(俸給制度表における1年間の昇給額)の最小の額は、理論上100円×4=400円となるのであるが、実際の現行俸給表では1,000円が最小の額となっている。例えば、行(二)2級の101号俸~105号俸の間差額などである。他に、公安(二)2級や海事(二)2級、医療(二)2級にも1,000円となっている箇所があり、各号俸の間差額の組み合わせは、「300円×3+100円×1」、「300円×2+200円×2」、「400円×1+200円×3」の3種類である。
この点に着目して今回勧告された各俸給表を見ると、2%を超えて引き下げられた号俸についても、基幹号俸間の最小の間差額は1,000円に抑えられている。(現行で1,000円の箇所は、そのまま1,000円が維持されている。
行(一)の例を挙げる。
<行(一)5級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
77号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,100円(△2.2%)
81号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,000円(△2.6%)
85号俸(現最高号俸) (0.0%)→1,000円(△3.0%)
89号俸=号俸増設 1,000円
93号俸=号俸増設(新最高号俸)
<行(一)6級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
69号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,100円(△3.3%)
73号俸 2,600円→2,600円(0.0%)→1,000円(△3.6%)
77号俸(現最高号俸) (0.0%)→1,000円(△4.0%)
81号俸=号俸増設 1,000円
85号俸=号俸増設(新最高号俸)
基幹号俸の最小の間差額が1,000円である号俸の数は、今回の総合的見直しに伴い激増しているのだが、1,000円未満の例が見いだせないことからすると、意図的に1,000円を最小の間差額として統一的に改定したのではないか。つまり、行(一)6級の現最高号俸の改定率が△4%とされた根拠については、報告では「50歳台後半層については、国家公務員給与が民間給与をなお4ポイント程度上回っている状況にある」ことを挙げているのだが、具体の引下げ額を決めるに当たっては、人事院は、この基幹号俸の最小の間差額が1,000円より下回らないよう配慮したのではないだろうか、と思うのである。
そうすると、旧教(二)(三)ではどうなるのだろうか。問題は生じないのだろうか。というのも、旧教(二)(三)の特2級以下の最高号俸付近の間差額は、行(一)の相当する職務の級の間差額に比べて小さい、すなわち、給与カーブが緩いからである。
旧教(二)(三)について、行(一)との格合わせを行って試算した場合の例を挙げて考察する。
<教(二)2級の改定額試算(基幹号俸)>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
117号俸 414,300円→414,700円(0.10%)→403,300円(△2.76%)
121号俸 417,200円→417,400円(0.05%)→404,900円(△2.99%)
125号俸 419,100円→419,100円(0%)→405,400円(△3.26%)
129号俸 421,000円→421,000円(0%)→405,900円(△3.6%)
133号俸 422,900円→422,900円(0%)→406,200円(△3.95%=△4.0%)
137号俸 424,800円→424,800円(0%)→406,500円(△4.3%)
※行(一)6級の改定率に基づき試算
<教(二)2級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定→総合的見直し
117号俸 2,900円→2,900円→1,600円
121号俸 1,900円→1,900円→500円
125号俸 1,900円→1,900円→500円
129号俸 1,900円→1,900円→300円
133号俸 1,900円→1,900円→300円
137号俸=最高号俸
<教(三)2級の改定額試算(基幹号俸)>
基幹号俸 現行 →較差改定(改定率)→総合的見直し(改定率)
133号俸 404,600円→404,800円(0.05%)→396,600円(△2.03%)
137号俸 406,800円→406,800円(0%)→397,700円(△2.23%)
141号俸 409,000円→409,000円(0%)→398,400円(△2.59%)
145号俸 411,200円→411,200円(0%)→399,000円(△2.97%=△3.0%)
149号俸 413,400円→413,400円(0%)→399,600円(△3.34%)
※行(一)5級の改定率に基づき試算
<教(三)2級の基幹号俸間差額>
基幹号俸 現行 →較差改定→総合的見直し(改定率)
133号俸 2,200円→2,000円→1,100円
137号俸 2,200円→2,200円→700円
141号俸 2,200円→2,200円→600円
145号俸 2,200円→2,200円→600円
149号俸=最高号俸
同様の手法で単純に計算すれば、1級及び特2級の最高号俸付近における基幹号俸の間差額は、1,000円を下回ることが確認できる。
とにかく、単純計算では教(二)2級では4号俸で300円しか間差額がない。これでは、100円単位の俸給月額を基礎に構成する俸給表として、理論上の基幹号俸の最小の間差額である400円にも満たないことになり、制度上問題があると言わざるをえない。
この問題に対して、全人連モデル給与表ではどのような解決策を示してくれるのだろうか…。
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