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61. 教職調整額(その2) [7.教職調整額]

 果たして、監査結果報告書が示した「教職調整額は時間外勤務手当の一括支給」という認識は正しいのであろうか。そのような認識の下に諸手当の算出基礎から外してもよいのであろうか。
これについては、昭和46年5月18日の参議院文教委員会における佐藤人事院総裁の次の答弁によって確認しておこう。
 「……先生方の本来の職務のあるべき基本点は創意と自発性というものにあるものではないか、教育というものは教員方の創意と自発性というものにまつところが多いのじゃないかというようなその実質をも、それらも申しました点とからみ合わせて考えて、勤務時間の内外を問わず再評価いたしました結果は、前の文部省案のように勤務時間をはみ出た分について包括的ないわゆる超勤の包括支払いというような意味の四%では筋が通らない。勤務時間の内外を通じてのその職務の再評価をして、これは単なるつけたりの手当じゃなしに、本俸そのものを引き上げると、四%の調整額というのがそこにあるわけです。したがいまして、その調整額は諸般の手当にはね返りますから、実質的にはこれは六%の実質になってくる。そのほかにさらに退職手当等においては平均二十五万円のプラスになる、年金についてもさらにプラスになるというようなことになりますけれども、これは先生方の職務の評価をした場合においては正しい評価であるということに踏み切りまして、したがって、先ほど申しました時間計測にはなじまないという点から、普通の勤務時間をこえて何時間というようなことを基本にする超過勤務手当というものは、この際これは支給をしないことになる、いわば現在裁判官とか検察官に同じような制度がございます。超過勤務命令はあっても手当は支給しないという制度が現在あるわけであります。そういう制度の形に持っていくのが正しい姿ではないかというふうに考えまして、基本的にこの考え方を変えて、ここに意見の申し出を申し上げた…」
 この点について、宮地茂監修『教育職員の給与特別措置法解説』(第一法規、昭和46年)は明確に述べている。
 「教職調整額は超過勤務手当の一律支給という性格の給与ではない。教育職員の勤務態様の特殊性に基づいて勤務時間の内外を問わず、包括的に評価して支給される俸給相当の性格を有する給与というべきである。それでは何故俸給の引き上げにより処理しないかとの疑問が生ずるが、これは、給与法上俸給が正規の勤務時間の勤務に対する報酬であるとされている点や将来超過勤務に対する給与上の措置の有無が不明確になるおそれがある点などを考慮したものと考えられる。」(p92)
 これら認識は、教職調整額を創設してから相当な年月が経過したからなどというような理由付けで変えてもいいものだとはとても思えないのだが…


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