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82. 続・3級加算額(その2) [11.続・3級加算額]

 平成18年4月の給料の切替えに伴い現給保障を行う際、教職調整額の支給と3級加算額の支給との関係から逆転現象が生じる場合があることが前回確認できた。
 国立大学の法人化に伴って、地方が準拠してきた教(二)(三)が存在しなくなった中で、各都道府県では、この問題にどのように対処したのだろうか。
 すべての都道府県の給与条例と関係人事委員会規則を調べていけばおおよそは分かるはずである。ただ、このノートではそこまでは時間的余裕がない。聞くところでは、教頭昇格に伴い教諭の基本給と逆転しても特に措置を講じていない県が大半らしい。前回考察したように、どう見てもおかしくはないのだろうか。措置を講じないとした県は、いったいこの現象をどのように考えているのだろうか。
 その理由を推測してみると、教職調整額をあくまで時間外勤務手当の代替給与と考えることを前提にして、現給保障するのは俸給月額であるから、時間外勤務手当としての給与まで保障する必要ようはないと考えているのではないか。また、時間外勤務手当が支給されず管理職手当が支給されている3級の教頭には教職調整額の支給の余地がないと考えているのではないかと思う。あるいは、年収ベースで逆転しないのだから、いいではないかといった考え方かもしれない。
 しかし、教職調整額には本俸的給与としての性格も併せて付与されていたはずだった。だからこそ、3級加算額という給与を創設して逆転を防止してきたのではなかったのか。この沿革的な理由を尊重したと思われる県もある。条例レベルで逆転防止を規定している例としては神奈川県がある。学校職員の給与等に関する条例の一部改正条例(平成17年条例第125号)の附則から関係規定を抜粋してみよう。
 (給料月額に加算する額の経過措置)
第12条 切替日以降に第2条の規定による改正後の給与条例別表第1の4級に昇格する者のうち、同表の4級の給料月額、同表の備考2に規定する当該給料月額に加算する額(以下「教職加算額」という。)及び前条第1項に規定する給料の合計が、切替日の前日において受けていた給料月額及び教職調整額の合計に達しないこととなる職員にあっては、その差額に相当する額を教職加算額に加算した額をもって特別教職加算額として支給する。
(編注 神奈川県では教(二)と教(三)を統合するとともに、新2級を設けた独自の給料表を作成しており、「別表第1」とは統合された教育職員給料表を指し、「4級」とは旧3級に相当する職務の級である。)

 給与構造改革に伴う俸給水準の引き下げの経過措置について、人事院は、民間における見直し事例の判例紹介しながら、「俸給月額」ではなく「俸給水準」を現給保障するようなイメージ図を作成している(「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」平成17年8月)。国立大学が法人化されず、国の旧教(二)及び旧教(三)が今も存在しているならば、人事院はこの問題に対してどのような答えを出したであろうか。


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