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151.トピック=教職調整額の行方(その5) [8.トピック]

 12月18日に平成20年度政府予算編成の閣僚折衝が行われた記事が「時事ドットコム」に掲載されていた。この中に「教職調整額」の見直しについて触れた部分があるので掲載する。

「2007/12/18-19:31 教員定数1200人増で正式合意=給料優遇分は一部削減-財務・総務・文科相
 2008年度予算編成の閣僚折衝で、額賀福志郎財務相、増田寛也総務相、渡海紀三朗文部科学相は18日、文科省が要求した約7100人の教職員定数増に対し、約1200人増加することで正式合意した。「行革推進法を改正しない範囲内での措置」ということで小幅増での決着となった。
 (略)
 折衝ではまた、教員の給料に関しても、一般の公務員より優遇されている分の一部を削減する一方、副校長や主幹教諭の処遇改善や手当の一部を拡充することで合意。ただ、残業手当に当たる「教職調整額」の見直しは、再来年度以降に先送りした。」

 聞くところによると、教員給与見直しの最大の争点は、教員勤務実態調査の結果を根拠とする「教職調整額」の見直しであったようである。給料月額の4%を本給的給与として一律支給している現行制度を改め、はね返りを廃止した上で標準者を10%とし、さらに教員の職務負荷に応じて加算するという文部科学省の概算要求であったのだが、財務省筋が「悪のり」と表現した総額約12%の予算額という面だけではなく、法制的な面から検討をするとそのような制度は難しいこともあって、1年先送りとの結果に至ったようである。この点については、前回、このノートでも疑問を呈しておいたが、「やはり」という気はする。

 ところで、日付は遡るが11月19日に財政制度等審議会から出された「平成20年度予算の編成等に関する建議」で、教職調整額について意見を述べている部分があるので少し長いが、抜粋する。

「② 教職員給与の効率化〔資料Ⅱ-7-4参照〕
 教職員給与については、「行政改革推進法」及び「基本方針2006」では人材確保法の廃止を含めた見直しが定められている。まずは、平成18年の歳出改革を巡る議論の際に当面の措置として合意されたとおり、少なくとも地方公務員一般行政職の給与月額を上回る部分(平均2.76%)を確実に純減することが必要である。
 文部科学省による「教員勤務実態調査」において教員の労働時間の申告結果が示された。教員の職務は特殊性があり一般行政職と同じように勤務時間の内外を切り分け、残業を評価することが困難なことから、本来超過勤務手当とは位置付けの異なる教職調整額(給料月額の4%)が一律に支給されている。しかしながら、教職調整額の増額については、
・ 従来から残業時間の評価が困難であるとしているにもかかわらず、自己申告の労働時間を残業としていること。
・ 仮に残業の評価が可能であるのであれば、きちんと超過勤務命令をかけるべき残業であるかどうかを評価すべきこと。
・ 教員給与が一般行政職を上回る水準であるにもかかわらず、その差を更に拡大することになることから適切な措置とは言えない。」

 昭和41年の勤務状況調査に基づき現行の4%が計算された過程を見ると、教員の職務外と考えられる時間は相殺減している。例えば、校長会・研究会の時間、家庭教育学級など社会教育の時間などである。このときの整理からすれば、今回の勤務実態調査に基づく、月平均34時間の残業時間というのは、「実態」という意味ではある意味正しいのであろうが、それがすべて教員の職務なのかという点からすれば、ちょっと荒っぽいなという感想は持たざるを得ないと思う。逆に、きちんと従事内容を精査しないと、なんでもかんでも教員の職務とされてしましそうな危険を感じるのだが…


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