SSブログ

229.昇給間差額(その4) [28.昇給間差額]

 一足飛びになるが、次に11級制俸給表の昇給間差額を考察しよう。

 8等級制俸給表のときと同じように昇給間差額を概観してみる。ただし、昭和32年俸給表のように昇給間差額が整然と並んでいないため、一番大きな額から最低の額までの幅を示しておくことにする。
 <昭60行(一)昇給間差額>
  11級 1~5号俸138百円~11号俸64百円 平均126.9百円
  10級 2~8号俸115百円~14号俸46百円 平均99.6百円
  9級  4~6号俸109百円~16・17号俸43百円 平均89.1百円
  8級  4~8号俸91百円~19・20号俸38百円 平均74.1百円
  7級  6~10号俸87百円~20・21号俸37百円 平均69.2百円
  6級  9~11号俸86百円~22・23号俸36百円 平均66.7百円
  5級  2~4号俸79百円~24・25号俸28百円 平均56.0百円
  4級  4・5号俸78百円~25~27号俸24百円 平均51.9百円
  3級  4号俸70百円~24~26号俸22百円 平均45.2百円
  2級  3号俸70百円~18号俸20百円 平均42.4百円
 昇給間差額は、同一級内では概ね初号から数号俸上位の号俸に上がるとピークを迎え、その後上位の号俸に上がるに従って徐々に下がり、ピーク時の概ね3割から4割の額になる。昇給間差額が形作る昇給カーブは、職務の級ごとに様相が違ったものになっている印象を受ける。しかし、昇給間差額を俸給月額で割った昇給率の推移を見ると、初号から最高号俸に向かって(2級1~3号俸を除いて)、どの職務の級もなだらかに減少していく美しい形態になっている。しかも、その率は、同年次で見た場合には、職務の級が上位になるに従って高い率となるように綺麗に配置されており、でこぼこしたようないい加減さはない。この辺りに、人事院のこだわりを感じる。

 ところで、昭和32年俸給表行(一)7等級以上の実質平均昇給率を前回と同じ方法で計算すると、4.8%となる。11級制に移行した昭和60年俸給表の行(一)2級以上の平均昇給率を計算すると、2.6%である。28年間で大卒初任給は9,200円から113,200円と12.3倍になったが、逆に平均昇給率は46%も下がったことになっている。

 教(二)(三)についても確認しておく。
 <昭60教(二)昇給間差額>
  4級(校長) 1~6号俸91百円~14号俸46百円 平均83.9百円
  3級(教頭) 7~8号俸87百円~23号俸42百円 平均79.6百円
  2級(教諭) 12~14号俸84百円~35号俸30百円 平均71.1百円
 <昭60教(三)昇給間差額>
  4級(校長) 1~4号俸81百円~14号俸41百円 平均69.4百円
  3級(教頭) 1~3号俸87百円~26・27号俸30百円 平均70.3百円
  2級(教諭) 15~17号俸84百円~38号俸26百円 平均67.7百円
 教(二)(三)も、基本的には行(一)と同様の傾向が見てとれる。ただ、この間に行(一)同様に昇給カーブのフラット化が進行したことで、教(二)と教(三)の違いがよりハッキリとしてきたようにも見える。2級で言えば、経験17年までは教(二)と教(三)で同額であるが、経験18年以降は教(二)の昇給間差額がより高い水準で推移する。3級でも、経験18年までは同額であるが、その後は教(二)の昇給間差額が更に大きくなることから、教(三)の昇給間差額のピークが初号付近なのに対して、教(二)のピークは経験20年・21年の号俸になっている。その結果、当然ながら、教(二)の平均昇給率はぐっと高くなっている。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。