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265. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その7) [33.給与水準と加算割合]

 前回、平成8年の各教育職俸給表について、調整基本額の基礎となる中位号俸を決定する際に用いた初号の位置がどうなっているのかを考察した。若い号俸のカットは何を意味しているのだろうか。
 この初号の位置については、一部を除いて、行(一)のいずれかの職務の級の初号の俸給制度表における位置と一致している。そこで、各教育職俸給表の職務の級ごとの役職段階別加算割合と、中位号俸を決定する際の初号に係る行(一)の職務の級の役職段階別加算割合を確認してみたいと思う。

<教(二)中位号俸に係る初号の位置と加算割合>
 1級 0~(5%)  行(一)3級初号  0%
 2級 0~10%  行(一)6級初号  10%
 3級 10%    行(一)8級初号  15% ※
 4級 15~20% 行(一)10級3号=11級0号  20%
<教(三)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 0%     行(一)3級初号  0%
 2級 0~10%  行(一)6級初号  10%
 3級 10%    行(一)7級初号  10%
 4級 15~20% 行(一) 10級3号=11級0号  20%
<教(一)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 0~(5%)  行(一)3級初号  0%
 2級 0~5%   行(一)5級初号  5%
 3級 10%    行(一)7級初号  10%
 4級 10~15% 行(一)8級初号  15%
 5級 15~20% 行(一)11級初号  20%
<教(四)中位号俸に係る初号の位置>
 1級 0~(5%)  行(一)3級初号  0%
 2級 0~5%   行(一)5級初号  5%
 3級 10%    行(一)7級初号  10%
 4級 15~20% 行(一)8級初号  15% ※
 5級 20%    行(一)11級初号  20%
 ( )の割合は、人事院規則9-40別表第一備考に基づき「人事院が特に必要と認めるもの」との位置づけであり、原則的ではない加算割合と理解しておく。

 どうであろうか。※印を付けた一部の職務の級を除くと、各教育職俸給表の職務の級ごとに適用される役職段階別加算割合の一番高い加算割合となっていると理解することができないだろうか。つまり、俸給の調整方法として、調整基本額の基礎となる中位号俸を決定するに当たって、その職務の級に適用される最高の加算割合を睨みつつ、初号の位置を決めたように見えるのである。ただ、それでも分からない部分はある。加算割合の5%は行(一)の4級及び5級であるが、なぜ、5級を採用したのか。加算割合の10%は行(一)の6級及び7級であるが、どうして、この場合に6級とし、別の場合に7級としたのか。同じように加算割合15%、20%の場合は、なぜ、そうなっているのか、と言うことである。ここはもう、バランス感覚としか言いようがないのではないだろうか。おそらく、計算される調整基本額の水準を各俸給表間で比較したとき、そうすることでうまく俸給表間の均衡を図ることができるということだろうと思う。

 平成8年に俸給の調整額制度が改正される前は、定率3%の額に定額を加算して調整基本額を算定したが、その定額を求めるための中位号俸を決定するに際しては、このようなややこしいことは行われなかった。単純に、中位号俸を求めればよかったのである。おそらく人事院は、給与改定により平均昇給率が年々低下していく運命にある中で、従来の調整方法が根拠としてきた昇給率という考え方から、職務・職責をより重視する方向で調整することを求めたのではないだろうか。
 この役職段階別加算措置の導入は、この他にも、退職手当の調整額にも影響を与えることになったが、その状況は以前に考察したとおりである。

 以上の考察も、結局は仮説でしかない。これらを通じて感じることは、従来の俸給表の構造は、職務の級間の重なりも大きく、給与カーブも年功的に上昇していくことになっていたため、職務の級の数が少ない特別俸給表にあっては、ある一つの職務の級の給与水準は、どうしても行(一)の複数の職務の級にブリッジすることとなり、端的に当該職務の級の「格」を考えるときには、その職務の複雑さと責任の度合いに鑑みて中核となる職務を摘出する必要があったのである。人事院としての一つの答えが、役職段階別加算措置の姿だったのであろう。
 しかし、それでもなお、「教(二)(三)の役職段階別加算割合は、行(一)より1ランク低いのではないか」との問題に答えを示すことにはなっていない。教(二)(三)に限っては、給与水準と加算割合との関係が、その他の特別俸給表に比べて特異な姿になっているのである。教(二)が教(三)にひきずられているのは分かるが、やはり、教員の職務の特殊性を踏まえた本俸的給与としての教職調整額が期末手当及び勤勉手当の算定基礎額になっているという特殊事情を考慮したものとしたか考えられない…。

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