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275.へき地手当(その2) [35.へき地手当]

 へき地教育振興法は、昭和29年に制定された法律であり、その目的は第1条に次のとり謳われている。
「この法律は、教育の機会均等の趣旨に基き、かつ、へき地における教育の特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体がへき地における教育を振興するために実施しなければならない諸施策を明らかにし、もつてへき地における教育の水準の向上を図ることを目的とする。」

 この法律が国会に提出されたときの提案理由を確認しておく。
少し長いが、昭和29年4月14日衆議院文部委員会で大達茂雄文部大臣行った提案理由の説明を国会会議録から引用する。

 「今回政府から提出いたしましたへき地教育振興法案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
  現下わが国の教育におきまして全国的に見て、一般の場合と異なつた特殊な事情によつてその発展を阻害されておりますのが僻地における教育であります。
  ここに僻地と申しますのは、山間地、離島その他これと似た条件を備えた地域であつて、交通至難で自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない地方であります。しかも僻地の持つこれらの諸条件はきわめて顕著にその教育に影響いたしておりまして、これが僻地教育の特殊事情ないし特殊条件となつて現われているのであります。
  すなわち僻地におきましては、一般に小規模の学校が多く、教育の施設、設備は不十分であり、しかも教職員を確保することも容易でなく、その上これらの条件に応ずるためには、学習指導方法についてもさらにくふうと改善を加えなければならないものが少くない等の事情があるのであります。
  このような僻地における教育の実情は、教育の機会均等の趣旨から考えまして、はなはだ憂うべき状態であります。そこで何らか積極的な対策を講ずる必要を痛感いたしまして、この法律案を提出した次第であります。
  次にこの法律案の骨子を御説明申し上げます。ただいま申し上げました通り、僻地における教育は各種の面について特殊な困難な条件を背負つているので、断片的な施策では十分にその充実発展を期待することができないのであります。そこで、その特殊事情に応ずる教育内容の充実、教職員の確保、施設及び設備の整備等あらゆる面における総合的施策を、市町村、都道府県及び国がそれぞれの段階において実施することが必要であります。
  このような考え方から、国及び地方公共団体がそれぞれ実施すべき具体的施策を明記したのであります。
  まず市町村につきましては、市町村は教育内容の充実、教員住宅の建設、学校教育及び社会教育の用に供するための教育施設の設置、健康管理の適正な実施、通学の便の提供等のため必要な措置を講ずることといたしております。
  次に都道府県は、教育内容の充実のため必要な調査、研究等を行い、必要に応じて教員養成施設を設け、教職員の特殊勤務手当について特別の考慮を払い、その他市町村の任務の遂行に関して必要な指導、助言を行うこととしております。
  最後に国の任務といたしましては、僻地における教育について必要な調査、研究を行い、地方公共団体の任務の遂行を援助するとともに、地方公共団体が教員住宅を建築したとき、学校教育及び社会教育の用に供する教育施設を設けたとき、教員養成施設を設置したとき、それらの経費の一部を補助することとしたのであります。
  以上がこの法律案を提案いたしました理由とその趣旨の大要でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。」

 参議院では、同年5月18日の文部委員会で同様の説明が行われている。

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