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325.トピック=校長・教頭給与の引上げ、大阪府 [8.トピック]

 大阪府人事委員会が、公立小中学校や府立高校の校長・教頭の給与を引き上げる勧告を行ったとの報道があった。日本経済新聞 Webに掲載された記事を転載する。

日本経済新聞 Web刊
校長・教頭給与の引き上げ勧告 大阪府人事委、知事らに
2014/2/11 2:12
 大阪府人事委員会は10日、府内の公立小中学や府立高の校長・教頭の給与を最大で月約2万3千~9万6千円引き上げるよう松井一郎府知事らに勧告した。校長のマネジメント力強化や教頭の担い手不足解消が狙い。校長ら管理職に限って給与引き上げを勧告するのは全国的にも異例という。
 府人事委によると、必要な財源は年約920万円という。松井知事は「最大限尊重する」と述べ、今年4月からの引き上げを検討する。
 勧告はベテラン教員の給与が教頭を上回るなど給与体系の問題を指摘。給与引き上げで「学校のマネジメント力を高め、見合った給与制度に改める」よう求めた。

 大阪府人事委員会のホームページに掲載されている「府立高等学校長等の給与に関する報告及び勧告」の概要(平成26年2月10日)から、勧告のポイントを抜粋しておく。
<勧告のポイント>
○ 校長及び教頭の「初号」水準を引き上げ。
   例.府立高等学校長の場合
     … 1号給から28 号給までをカットし現29 号給を新1号給へと改正。
○ これにより…
1)若手管理職の月例給水準が上がる(昇任意欲の喚起)
   例.高等学校長が最大 5.2 万円、
     高等学校教頭が最大 7.6 万円のアップ
2)役職相互の年収での重なりがなくなる(職務給の原則を推進)
   例.高等学校長の場合
     改定前:教頭との年収の重なりが最大 68 万円
     改定後:教頭との年収の重なりが「ゼロ!」
○ 平成26年4月1日から実施。

 報告の本文を読むと、教育委員会は、大阪府立学校条例制定に向けた審議に当たり、教育常任委員会が「校長の権限、処遇を拡大」との附帯決議を行ったことを受け、管理職の給与制度の改正を検討したが、校長給料の定額制(ダブルレート化)については、処遇改善と逆転防止の観点から、校長給料の最高号給と教頭給料の最高号給を基準としたため、財政面の懸念から実現しなかったようである。
 教育委員会は、校長及び教頭の給料を職務・職責に見合ったものに引上げ、職務給の原則を推進するとともに、若年層から学校管理職を目指すインセンティブを構築する必要があるとして、具体的には、教頭(3級)と首席・指導教諭(特2級)の年間給与の重なりを解消し、教頭の年収の下限を、首席・指導教諭の年収の上限に合わせることとし、その財源として、校長の上位の号給を引き下げる案を検討したとのことである。
 これに対して人事委員会は、教育委員会案のうち、初号の水準を引上げ、若年層管理職の給与を優位なものとし、管理職への昇進意欲を高めようとする部分については、学校のマネジメント力を高めるものとして積極的に賛意を表しているが、財源をベテラン層管理職の最高号給水準に求めてそれを引き下げることについてはマネジメント上の課題を指摘し、最高号給水準を引き下げないことを内容とする勧告を行った。

 勧告された給料表及び切替表を確認してみると、その改定内容は、高校等給料表及び小中学校給料表の3級及び4級の号給について、それぞれ初号から各給料表の職務の級に応じて11~40号給を削除しただけのシンプルなものとなっている。
 給料水準は、給料表に定める金額と実際の運用により確定するものであることから、級別資格基準や昇格時号給対応表が改定されるのかどうか気になるところであるが、その点について報告及び勧告は沈黙をしている。しかし、報告本文を読む限り、どうもそれらの点について改定はなさそうである。
 そうすると、例えば、俸給制度表上において3級初号の制度年齢に到達していない教諭等(制度年齢40歳以下)を教頭に登用した場合にいわゆる飛び昇格を生じることとなると考えられる。更に、その抜擢された優秀な若年層教頭が若くして校長に登用された場合には、重ねて飛び昇格することとなり、その分高い水準の号給に決定されることとなると思われる。
 そうすると、最高号給への到達も早くなることとなる。その点、大阪府の給料表に設けられている号給数は、全人連モデル給与表よりも相当延長されている。例えば、高校の校長に適用される4級の号給は28号給以下を削除し、29号給を初号としたため、全人連モデルであったとしたならば最高号給は37号給であるから9号給(制度年数3年分に相当)となるところ、大阪府の高等学校等教育職給料表の最高号給は現行57号給・改定後29号給であることから、制度年数5年分に相当する号給数が延長されている。(初任給基準が1年分有利だが、最高号給は制度年齢上57歳に位置にある。)
 このように、大阪府の改定後の給料表では、抜擢された若い校長は飛び昇格によってその分頭打ちが早くなるのだが、詳細に考察した訳ではないが、極端なケースでは50歳までに頭打ちになることが想定される。今後、大量退職時代が終わり、若くして管理職に抜擢するケースが増加してくる。その時に、大阪府人事委員会はどのようにこの問題を考えるのだろうか。しかし、そもそも教育委員会自身が校長給料の定額制(ダブルレート化)を目指していたのだから、仮に年齢若くして給料が頭打ちとなったとしても、職務給を推進する立場から当然だと考えるのかもしれない。

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