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420.「人事院月報」第2号 [49.「人事院月報」拾い読み]

 今回は「人事院月報」第2号(昭和25年6月発行)から拾い読みしてみよう。
 トップの記事は、「人事記録制度の概要」である。リードで経緯を述べている。

 国家公務員の人事記録制度は、昭和24年9月1日から試験的に一部の職員に対して、その適用を見たのであるが、本年7月1日から全国家公務員(非常勤職員を除く)に対して適用されることとなった。この制度はアメリカにおいては、既に古くから行われてきたのであるが、我が国においては全く新しいものであり、合理的人事行政の運営に欠くべからざる制度として、真に重要な意義を有するものである。この制度は相当複雑な手続規定を含んでいるが、その主要点のみを以下にのべてみることとする。(1頁)

 本文では、まず、「人事記録制度の法的根拠」を説明する。国家公務員法第19条の規定が引用されているが、当時は人事院が職員の人事記録を管理していたのであった。職員が離職した場合はその職員の任命権利者は人事記録を人事院へ送付し、人事院が最終保管責任者となっていたのであったが、昭和25年3月の人事院細則の改正で最終保管責任者を任命権者としたようである。
 現在、内閣総理大臣が職員の人事記録に関することを管理することになっている。これは、昭和40年5月のILO87号条約の批准に伴い、内閣総理大臣が国家公務員の使用者として職員の能率、厚生、服務、退職手当等に関する事務を所掌することになったことによるらしい。

 「人事院月報」第2号は、次に「人事記録制度の内容」を述べる。

 人事記録制度の意義を、簡単にいいあらわすことは、極めて難しいが、まず次のようにいえるであろう。
 人事記録制度とは、公務の民主的かつ、能率的運営を行うための基礎資料である公務員の人事に関する一切の事項を記録し、保管し且つこれを運用するための統一ある制度である。
 人事記録制度は、人事報告制度、人事記録の作成及び保管に関する制度並びに勤務記録カード制度の3者から成立っている。これらは合して、統一ある人事記録制度をなしているものであって、密接不可分の関係にある。(1~2頁)

 このあと、この3つの制度について簡単に解説するが、「人事報告制度」の解説中に次のような内容が記されている。

 特に注目すべきことは従来バラバラに使われてきた人事異動の用語の意味及び種類を統一したこと、辞令書の様式を根本的に変えたこと、及び、人事異動通知書(従来は辞令書)の作成、保管の責任者を任命権者並びに任命権の委任を受けたものとしたことである。(2頁)

 7頁に「人事異動通知書」の様式が掲載されているが、現在とは大きく異なっている。
 現在のそれは、表題に「人事異動通知書」と記載し、その下に全体を枠で囲み、最上部の左側に「氏名」、右側に「現官職」の欄が配置され、中央部に大きく「異動内容」欄が確保されて、自由に発令事項が記入できるようになっている。最下部は、「発令年月日」と「任命権利者」の記名・押印欄という、全体として簡素なつくりである。
 一方、このページに掲載されているものは、表題は「人事異動通知書」と記載されており、最上部は「氏名」欄となっているが、漢字で書いた氏名の上にフリガナを記載する様式になっている。その下は、「任命(懲戒)権者またはその委任を受けた者の官職氏名印」の欄となっている。最下部に配置している現行様式とは全く異なる発想で設計されている。その下に「下記のとおり発令する。」と記載された欄があり、その下は、「異動種目」と「発令日付」の欄、続いて、「職級名」、「俸給」、「所属部課」及び「職名」の事項名を中央に配置して、左側に「旧」、右側に「新」が配置されている。「職級名」の用語が見られるように、職階制を前提とした様式と考えられる。おそらく、職階制が実施されなかった以上、この様式も使用されることなく、これも想像だが、旧来の辞令の様式をベースにしながら早い段階で現在の様式に変更したのではないだろうか。


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