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442. 昇格時号俸対応表の改正 [37.昇格制度の見直し]

 「436.構造改革後の俸給カーブ(その1)」一読者の方からコメントを頂いていたのに気がついておりませんでした。長くなるので、本文に掲載します。

 さて、お尋ねの昇格時号俸対応表の改定方法についてですが、最近は考察しておりませんでしたので、急ぎ、行(一)と教(二)について点検してみました。
 この2つについて点検した限りですが、結論を先に言えば、「人事院が給与構造改革に当たって表明してきた考え方に基づいて改定されている」ということになるようです。

 沿革的には、平成18年の給与構造改革により、それまでの1号上位昇格制度の趣旨を引き継いで一定額加算昇格制度に変更されたのですが、平成4年の昇格改善により導入された1号上位昇格制度の内容を確認しておく必要がありそうです。

◆平成4年以降の昇格制度
(1) 初任の級=行政(一)旧3級以下の職務の級へ昇格した場合
 ①特定号俸前からの昇格
   対応号俸方式(原号俸横すべりの号俸又は直近上位の号俸に決定)
 ②特定号俸以上からの昇格
   1号俸上位方式(直近上位の号俸の1号俸上位の号俸に決定)
(2) 初任の級以外の職務の級=行政(一)4級以上の職務の級へ昇格した場合
 <1号上位昇格制度>
 ①特定号俸前からの昇格
   対応号俸の1号俸上位の号俸に決定する方式
 ②特定号俸以上からの昇格
   1号上位号俸の1号俸上位の号俸に決定する方式
 ※「特定号俸」=第1双子の上位の号俸

 このように、初任の級と比較して、初任の級以外の職務の級(係長級以上)に対する昇格メリットは、更に1号俸分大きく付与されるのです。

 これを理解した上で、平成17年8月の人事委員会報告のうち、「昇格時の号俸決定方法」の見直しについての考え方を確認しておきます。

 「昇格時の号俸決定は、昇格時の職務・職責の高まりを給与上評価するものであることから、現行と同様の昇格メリットを確保するとともに、どの号俸からでも一定の昇格メリットを享受できるよう、昇格前の俸給月額に対応する基幹号俸(各職務の級の初号を基点として4号俸ごとに置かれる号俸)の俸給月額に職務の級別に一定額を加算した額に対応する上位の職務の級の基幹号俸に所要の号俸数を加算した号俸の俸給月額に決定する方法に改める。具体的には、俸給表別、職務の級別に、昇格対応号俸表を別に定めることとする。」

 具体的には、給与構造改革によりフラット化された俸給表に基づき作成した基幹号俸により構成された俸給表に対して、従前の1号上位昇格制度を適用して得られる昇格後の基幹号俸を基準に昇格時号俸対応表をまず作成し、その上で、基幹号俸以外の号俸については、従前の制度では昇給後の経過月数によっては不利になっていた部分を解消し、どの号俸から昇格しても有利不利がないよう均等に号俸を配分したものとしています。

 俸給表が改定される度に、昇格対応関係を検証の上、昇格時号俸対応表を改正する必要があるのですが、その後、初任の級以外の職務の級=行(一)では現行の3級以上の級については1号上位昇格制度における1号俸上位のメリットを引き継いだ一定額が加算されることから、基本的には1回改正したのみでその後改正することはなかったと思いますが、初任の級=行(一)では現行の2級以下の級については、従前の制度でも更に1号俸上位に決定することはなく、従って、一定額が加算されることもないため、俸給表改定の都度検証し、昇格時対応号俸表を改正していると考えられます。(「考えられる」というのは、残念ながら、毎回点検することまではできていなかったからです。)

 では、行(一)の改正後の昇格時号俸対応表を見てみます。
 新旧対照表で網掛けになっている部分を見ると、昇格前の1級は79号俸~93号俸で、改定額は800円~500円となっています。一方、昇格後の2級の対応する号俸は36号俸~45号俸で、改定額は1,100円~800円となっています。そのため、1級の号俸からの飛びつき先になる2級の号俸の位置が俸給表改定前の号俸の位置よりも下がってしまう可能性がでてきます。
 そのように想定した上で、4分割前の基幹号俸に基づく俸給表を作成して、従前の昇格対応関係を見ていきます。

 まず、対応号俸方式で飛びつき先(同額又は直近上位額の号俸)を見ます。
 1級33号俸 191,700円 → 2級1号俸 191,700円
 1級37号俸 197,500円 → 2級5号俸 198,700円
 1級41号俸 202,700円 → 2級9号俸 205,800円
 1級45号俸 207,800円 → 2級13号俸 212,600円
 1級49号俸 212,800円 → 2級17号俸 219,600円
 1級53号俸 217,100円 → 2級17号俸 219,600円(特定号俸)
 1級57号俸 220,600円 → 2級21号俸 226,000円

 第1双子は、2級17号給に対応する1級49号俸・53号俸なので、この第1双子を解消するため、上位の1級53号俸を特定号俸として、これ以上の号俸は対応号俸の更に1号俸=現行4号俸上位の号俸に決定します。
 1級53号俸 217,100円 → 2級21号俸 226,000円(特定号俸)
 1級57号俸 220,600円 → 2級25号俸 232,200円
 1級61号俸 223,900円 → 2級25号俸 232,200円
 1級65号俸 227,300円 → 2級29号俸 237,700円
 1級69号俸 230,800円 → 2級29号俸 237,700円
 1級73号俸 233,700円 → 2級33号俸 242,400円
 1級77号俸 236,400円 → 2級33号俸 242,400円
 1級81号俸 239,400円 → 2級37号俸 247,000円
 1級85号俸 242,100円 → 2級37号俸 247,000円
 1級89号俸 244,900円 → 2級41号俸 252,700円
 1級93号俸 246,600円 → 2級41号俸 252,700円

 単純に1号俸上位方式で決定すると、双子が連続した対応関係になります。そのため、昇格前の経過月数というべきか、成績というべきか、各号俸の相対的な位置関係をできるかりり維持するため、昇格後の基幹号俸間に4分割後の号俸が均等に配分されるように割り振られています。双子であれば、4分割後の号俸を2つずつ並べ、三つ子であれば、4分割後の号俸を3つずつ並べます。双子等がなければ、4分割後の号俸は当然ですが1つずつ並べます。
 一部を抜粋して確認してみます。(★=基幹号俸)
 1級53号俸★ → 2級21号俸★(特定号俸)
 1級54号俸  → 2級22号俸
 1級55号俸  → 2級23号俸
 1級56号俸  → 2級24号俸
 1級57号俸★ → 2級25号俸★
 1級58号俸  → 2級25号俸
 1級59号俸  → 2級26号俸
 1級60号俸  → 2級26号俸
 1級61号俸★ → 2級27号俸
 1級62号俸  → 2級27号俸
 1級63号俸  → 2級28号俸
 1級64号俸  → 2級28号俸
 1級65号俸★ → 2級29号俸★

 これ以上の号俸も同様に作成し、最後は、2級41号俸を2級43号俸とすれば、今回俸給表改定後の昇格時号俸対応表が完成することになります。
 教(二)についても同様の手法で作成すれば、改正後の対応表が得られます。ただし、昇給カーブの相対関係が大きく違っていることを反映して、上位の号俸では六つ子関係が存在するので、行(一)とは少しイメージが異なりますが…。

 だらだらと長くなりましたが、今回改正後の昇格時号俸対応表の少なくとも行(一)及び教(二)については、只今述べたとおりの作業を行うと、そのとおりの答えになるということなので、「人事院が給与構造改革に当たって表明してきた考え方に基づいて改定されている」ということで良いのではないかと思います。(もしかすると、その他の俸給表では、何らかの事情で微修正をしていたりするかもしれませんが…。)

 なお、「昇格時メリットの上限が『直近上位の号俸プラス6号俸まで』になるよう調整している」との御意見ですが、初任の級については、基幹号俸単位で特定号俸以上は「直近上位の号俸の1号俸上位の号俸に決定」するので、4号俸に分割後で考えると、「直近上位の号俸の4号俸以上8号俸未満」になると考えられます。そうすると、理論的には「直近上位の号俸プラス7号俸まで」となりそうです。
 初任の級以外の級は、「直近上位の号俸の1号俸上位の号俸の更に1号俸上位の号俸」の考え方を引き継いでいるものの、一定額を加算する方式になっている関係で、4号俸に分割後では単純に「直近上位の号俸の8号俸以上12号俸未満」とはならず、実際には+16号俸となるケースもあるようです。(そのことが、給与制度の総合的見直しに伴う昇格制度の見直しの誘因にもなったのかもしれません。詳細には考察できてはおりません。)

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