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449. 地公法及び自治法の改正案(その4) [46.臨時・非常勤教員]

 「地公法及び自治法の改正案(その2)」において、今回の地公法改正では臨時的任用厳格化を求めるものとなっており、国と同様に「常勤職員に欠員を生じた場合」に限定し、それ以外の場合を認めない改正内容となっていることとかかわって、次のように述べた。

「ということは、もし、現在、各都道府県で臨時的に任用されている常勤講師の中に「常勤職員に欠員を生じた場合」に該当しない者がいるとするならば、都道府県費負担にならないという事態になりそうな気がする…。」

 このことにかかわって、平成29年3月号の「地方公務員月報」に次のような記述が掲載された。「「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」に対する各地方公共団体からの意見等について」と題した記事中である。

「さらに、以下の三点について、地方公共団体から寄せられた質問に対し考え方を整理し、示しています。
 (略)
 第三に、「臨時的任用職員」についてです。
 改正法案では、フルタイムに限定するという趣旨から「常時勤務を要する職に欠員を生じた場合」という要件を付加していますが、これにより、臨時的任用が代替職員への対応に限られるということではなく、従来どおり、臨時に発生した業務等に臨時的任用職員を充てることができることを明示しています(ただし、臨時的任用については、パートタイムの任用はできません。)」

 以下に添付されている関係資料の13頁にも同趣旨の記述がある。

「 以上により、今回の改正でパートタイムの任用が制限され、フルタイムのみとなるものの、任用が可能な場合は、これまでどおり上記①から③までの場合(編注=①:緊急の場合、②:臨時の職に関する場合、③:採用候補者名簿や昇任候補者名簿がない場合)に変更はない。従って、臨時に発生した業務に対して臨時的任用職員を充てることは従来どおり認められるものである。」

 なんだ、従来どおりか…。どういう風に読めば「従来どおり」なのか、よく分からないのだが、都道府県負担にならないかもしれない…とか、心配することもないのかもしれない。

 ちなみに、分かる範囲で国家公務員の臨時的任用について確認しておきたい。
 まず、手始めに、人事院規則8-12(職員の任免)から、臨時的任用に係る規定を見ておく。

●人事院規則8-12(職員の任免)
(臨時的任用)
第三十九条 任命権者は、常勤官職に欠員を生じた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、現に職員でない者を臨時的に任用することができる。この場合において、第一号又は第二号に該当するときは、法第六十条第一項前段の人事院の承認があったものとみなす。
一 当該官職に採用、昇任、降任、転任又は配置換の方法により職員を任命するまでの間欠員にしておくことができない緊急の場合
二 当該官職が臨時的任用を行う日から一年に満たない期間内に廃止されることが予想される臨時のものである場合
三 当該官職に係る名簿がない場合又は当該官職に係る名簿において、当該官職を志望すると認められる採用候補者が五人に満たない場合

○運用通知(平21.3.18人企532)
第39条関係
2 この条の第1項第1号に該当する場合には、例えば、事故、災害等により突発的に生じた欠員を緊急に補充する必要がある場合で、採用、昇任、降任、転任、配置換又は併任の方法による補充が直ちには行えない客観的な事情があるときが含まれる。
3 この条の第1項第2号に該当する場合には、例えば、勤務時間法第20条に規定する介護休暇(1日を単位とするものに限る。)又は人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第22条第1項第6号若しくは第7号に規定する特別休暇(編注=産前・産後休暇)の承認を受けた職員の業務を処理することを職務とする官職で当該承認に係る期間を限度として置かれる臨時のものに臨時的任用を行う場合が含まれる。

 では、休職の場合は認められるのだろうか。
 この点について、手元にある逐条国家公務員法では詳しく書かれていなかったので、逐条地方公務員法を見た。臨時的任用に係る解説では特に注目すべき記述は見当たらなかったが、正式任用に係る第17条の解説に参考となる記述があった。(橋本勇「新版逐条地方公務員法第3次改訂版」)

「次に、任命が重複した場合が問題となる。本来、任命は欠員がある場合に行われるものであるから、任命が重複することはあり得ないのであるが、休職中の課長のポストに他の職員を任命する場合、あるいは分限免職が行われ、そのポストに他の職員が任命された後に当該免職の取消しが行われたような場合には重複任用の問題が生じる。前者については、国家公務員の場合は、休職者はその職を保有するものとしながら他の職員をその職に充てることはさしつかえないものとされており(人事院規則一一-四(職員の身分保障)四12)、制度的に重複任用が認められている。後者の場合は、やはり重複任用となるが、すみやかにいずれかの職員を配置換えすることにより、運用上解決すべきものである。」(247~248頁)

 補充の方法としては、正規職員を充てても、臨時的任用職員を充てても差し支えないと思われる。
 人事院規則11-4(職員の身分保障)の規定を確認しておく。

●人事院規則11-4(職員の身分保障)
(休職中の職員等の保有する官職)
第四条 休職中の職員は、休職にされた時占めていた官職又は休職中に異動した官職を保有するものとする。ただし、併任に係る官職については、この限りでない。
2 前項の規定は、当該官職を他の職員をもつて補充することを妨げるものではない。
3 第一項本文及び前項の規定は、専従休職者の保有する官職について準用する。

 休職の場合と同様に「当該官職を他の職員をもつて補充することを妨げるものではない。」とする例を拾ってみたら、国際機関等への派遣の場合(人事院規則18-0(職員の国際機関等への派遣)第5条第2項)、自己啓発等休業の場合(人事院規則25-0(職員の自己啓発等休業)第8条第2項)も同様の規定があった。
 個別の法律に基づく臨時的任用は、育児休業の場合(国家公務員育児休業法第7条第1項、地方公務員育児休業法第6条第1項)及び配偶者同行休業(国家公務員配偶者同行休業法第7条第1項、地方公務員法第26条の6第7項)がある。

 これら以外の場合については確認できなかったのだが、問題は、これら以外の場合について現に臨時的任用を行っている場合、果たして認められるのかどうかということになる。はじめに引用した「地方公務員月報」の記事では、「従来どおり、臨時に発生した業務等に臨時的任用職員を充てることができる」としており、そのとおりであることを今は期待したい。


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