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448. 働き方改革実行計画の決定 [8.トピック]

 3月28日、政府は「働き方改革実現会議」(議長・安倍首相)を開催し、同一労働同一賃金の実現や時間外労働への罰則付き上限規制の導入などを柱とした「働き方改革実行計画」をまとめた。政府は、秋の臨時国会に関連法案を提出し、2019年度からの施行を目指す方針とのことらしい。
 長時間労働の是正に関する労働基準法の改正の方向性については、連合と経団連による労使合意を踏まえた案が盛り込まれており、原則として、月45時間、かつ、年360時間として罰則を課し、特例として労使協定を結ぶ場合でも上回ることができない上限を年720時間(月平均60時間)とした上で、繁忙期でも、休日労働を含んで100時間未満を満たさなければならないなどの上限規制を導入する。
 気になるのは、この罰則付き時間外労働の上限規制の導入が公立学校の教員にどのような影響を及ぼすのかということだ。
 本文から関係部分を拾い読みしてみる。

4.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
(略)
(法改正の方向性)
 現行の時間外労働の規制では、いわゆる36協定で定める時間外労働の限度を厚生労働大臣の限度基準告示で定めている。ここでは、36協定で締結できる時間外労働の上限を、原則、月45 時間以内、かつ年360 時間以内と定めているが、罰則等による強制力がない上、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して特別条項を設けることで、上限無く時間外労働が可能となっている。
 今回の法改正は、まさに、現行の限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせるとともに、従来、上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を設定するものである。
すなわち、現行の告示を厳しくして、かつ、法律により強制力を持たせたものであり、厳しいものとなっている。(12~13頁)

 つまり、いわゆる「36協定」を前提とした仕組みになっている。ということは、給特法に基づき教職調整額制度が適用される結果、労基法36条の適用が空振りとなっている公立義務教育諸学校に勤務している教員には、政府で議論されている罰則付き時間外労働の上限規制についても、おそらく空振りとなるのではと思われる。公立学校の教員の時間外勤務については、限定4項目を除いて、命じることはできない制度となっており、この考え方を前提とする限り、今回決定された実行計画に基づき労基法が改正されたとしても、適用の余地がないように思われるのである。
 公務員や教員について、何も言及がないのか…、と思って読み進めていくと、本文中には何ら記述はなかったが、ロードマップの中に見つかった。(40頁)

項目3.長時間労働の是正
④ 法改正による時間外動労の上限規制の導入(その5)
(略)
【具体的な施策】
(公務員等の長時間労働対策)
• 国家公務員については、民間の制度改正を踏まえ、適切な公務運営の確保に配慮しつつ、より実効性ある対策を検討する。また、超過勤務を縮減する前提として、超過勤務を実施する際に、その理由・見込み時間等を上司が把握するなど、勤務時間の適切な管理を更に徹底する。さらに、年次休暇の取得促進に向けた取組を徹底する。
• 地方公務員については、時間外勤務縮減に係る先進的事例の積極的な収集・提供のほか、各地方公共団体が抱える課題の解決に資する意見交換の場の設置等を通じ、各団体の取組を支援する。
• 教員については、各教育委員会による学校現場の業務改善の取組を加速するための実践研究事業の実施や、運動部活動に関するガイドラインの策定・部活動指導員の活用を通じた部活動の適正化を行う。さらに、教員の働き方・業務の在り方等についての教育再生実行会議における検討を踏まえ、長時間労働を是正する。

 まあ、教員に関する記述については、現在の文部科学省の動きがそのまま書かれており、びっくりする内容ではない。具体的な年次の工程を見ると、教員については、2017年度に「教育再生実行会議において検討・提言」とあり、2018~2021年度に「教員の長時間勤務是正の取組を推進」とあり、2022年以降は「実施状況を踏まえて見直しを行いつつ、必要に応じて更なる取組の検討、実施」となっている。とりあえずは、教育再生実行会議での検討内容を注視しなければならないということになる。

 さあ、これから本当に教員の長時間労働の是正が進むのだろうか。しかし、いずれにしても、現時点では教職調整額制度の見直しについては検討の俎上に上っていないようである…。


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