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447. 地公法及び自治法の改正案(その3) [46.臨時・非常勤教員]

 フルタイムの会計年度任用職員に対しては、給料を支給しなければならず、そして、手当を支給することができることになる。しかも、自治法上は正式任用の常勤の職員と同様、何の限定もないから、地公法上の諸原則、平等取扱い原則をはじめ、情勢適応の原則、均衡の原則、職務給の原則を踏まえて条例で定めることになるはずである。

 この点、モデルになったと思われる国の期間業務職員に対する給与の現状はどうなっているのか。

 遠回りになるが、前提として、期間業務職員の法令上の位置づけを確認しておかなければならないだろう。
 人事院が公表している「期間業務職員制度の概要」を見てみる。

1.定義
 相当の期間任用される職員を就けるべき官職以外の官職である非常勤官職であって、1会計年度内に限って臨時的に置かれるもの(短時間勤務の官職その他人事院が定める官職(注)を除く。)に就けるために任用される職員
 (注)「人事院が定める官職」とは、その官職を占める職員の1週間当たりの勤務時間が、勤務時間法第5条第1項に規定する勤務時間の4分の3を超えない時間であるものである。

 定義は分かったが、このほかに、採用、任期、条件付採用期間、人事異動通知書、施行期日等は記載されているが、給与についての記載がない。
 期間業務職員は、国家公務員法第2条の規定を確認したが、特別職として掲げられていないので、一般職で間違いないだろう。
 期間業務職員の任免については、人事院規則八―一二(職員の任免)の第46条から第49条(非常勤職員の特例)が適用される。「期間業務職員」という用語も使用されている。第4条第13号に先ほど概要から引用した定義規定もある。

 さて、一般職ということなので、いわゆる一般職給与法の規定を確認する。

○一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)
(非常勤職員の給与)
第二十二条 (略)
2 前項に定める職員以外の常勤を要しない職員については、各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する。

 各省庁が決める給与を支給することになっている。ここで、人事院のガイドラインがでてくる。このガイドラインは、格差社会の解消が問題となる中、人事院が実施した調査によって、非常勤職員の給与について、同じ職務内容にありながら官署の違いにより差があることが判明したことから、平成20年8月に人事院総裁名で発出された。

○一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の非常勤職員に対する給与について(平成20年8月26日付け給実甲第1064号)
 一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第22条第2項の非常勤職員に対する給与の支給について、下記のとおり指針を定めたので、これを踏まえて給与の適正な支給に努めてください。
 なお、これに伴い、給実甲第83号(非常勤職員に対する6月及び12月における給与の取扱いについて)は廃止します。

1 基本となる給与を、当該非常勤職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級(当該職務の級が2以上ある場合にあっては、それらのうち最下位の職務の級)の初号俸の俸給月額を基礎として、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮して決定し、支給すること。
2 通勤手当に相当する給与を支給すること。
3 相当長期にわたって勤務する非常勤職員に対しては、期末手当に相当する給与を、勤務期間等を考慮の上支給するよう努めること。
4 各庁の長は、非常勤職員の給与に関し、前3項の規定の趣旨に沿った規程を整備すること。

 人事院のガイドラインは分かった。「常勤の職員の給与との権衡を考慮」という給与法に示された考え方を踏まえたものとなっているが、手当については、通勤手当及び期末手当以外の手当についての言及がない。

 平成28年9月、内閣官房内閣人事局が「国家公務員の非常勤職員に関する実態調査について(調査結果)」を公表している。
 この調査の対象となる職員は、平成28年4月1日時点で各府省に在籍する国家公務員の非常勤職員のうち、全ての期間業務職員と期間業務職員のうち、委員顧問参与等職員、任命期間が3か月以内の非常勤職員、勤務日数が少ない非常勤職員及び無休の非常勤職員以外の者である。
 長くなるが、給与関係の調査結果を全文引用しておく。

4 手当等
(1)「基本となる給与を決める際の考慮要素」(複数回答)
基本となる給与を決める際の考慮要素については、「職務内容」54,938人(98%)、「在勤する地域」53,904人(96%)、「職務経験(民間企業等における経験)」42,572人(76%)、「職務経験(非常勤職員としての勤務実績等)」38,314人(68%)、「学歴」18,007人(32%)、「責任の程度」3,958人(7%)、「同種の民間賃金」3,856人(7%)、「転勤の有無」41人(0.1%)、「その他」1,372人(2%)だった。
なお、考慮要素が複数ある場合もあるため、重複計上されている。
(2)「基本となる給与の上限」
基本となる給与に上限があるのは、55,861人(99.7%)だった。
(3)「期末手当に相当する給与の支給」
期末手当に相当する給与の支給については、一週間の勤務時間が常勤職員と同じ38時間45分の期間業務職員11,807人のうち、期末手当に相当する給与を支給する予定の職員は11,497人(97%)、一週間の勤務時間が常勤職員の3/4超38時間45分未満の期間業務職員18,622人のうち、期末手当に相当する給与を支給する予定の職員は2,080人(11%)、期間業務職員以外の非常勤職員25,590人のうち、期末手当に相当する給与を支給する予定の職員は2,200人(9%)だった。
また、期末手当に相当する給与を支給する基準については、勤務期間を基準とするもの6,307人(6月以上1年以内5,577人、6月未満730人)(11%)、特定の日に在職することを基準とするもの7,098人(13%)、その他の基準によるもの2,372人(4%)だった。
(4)「勤勉手当に相当する給与の支給」
勤勉手当に相当する給与の支給については、一週間の勤務時間が常勤職員と同じ38時間45分の期間業務職員11,807人のうち、勤勉手当に相当する給与を支給する予定の職員は9,166人(78%)、一週間の勤務時間が常勤職員の3/4超38時間45分未満の期間業務職員18,622人のうち、勤勉手当に相当する給与を支給する予定の職員は781人(4%)、期間業務職員以外の非常勤職員25,590人のうち、勤勉手当に相当する給与を支給する予定の職員は1,752人(7%)であった。
また、勤勉手当に相当する給与を支給する基準については、勤務期間を基準とするもの3,619人(6月以上1年以内3,443人、6月未満176人)(6%)、特定の日に在職することを基準とするもの6,319人(11%)、その他の基準によるもの1,761人(3%)だった。
(5)「通勤手当に相当する給与の支給」
通勤手当に相当する給与の支給については、当該給与の支給対象となる非常勤職員(※)には全員(54,240人)に支給予定であった。
※ 徒歩2km圏内に住んでいる場合等には、常勤職員と同様に通勤手当に相当する給与の支給対象外となる。
(6)「超過勤務手当に相当する給与の支給」
超過勤務手当に相当する給与の支給については、超過勤務が想定されていない非常勤職員を除き、全員(44,567人)に支給予定であった。
(7)「退職手当の支給」
退職手当の支給については、国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)が適用される非常勤職員(※)には全員(11,714人)に支給予定であった。
※ 国家公務員退職手当法が適用されるのは、常勤職員について定められている勤務時間以上勤務した日が18日以上ある月が引き続いて6月を超える等の要件を満たした者である。
(8)「給与法改正に伴う対応」
給与を引き上げる旨の「一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)」等の改正が行われた場合、非常勤職員の基本となる給与や期末手当に相当する給与等の対応(想定)については、「公布後の翌月から改定」10,617人(19%)、「次年度4月から改定」6,988人(12%)、「その他の時期に改定」6,447人(12%)、「4月に遡及して改定」2,796人(5%)、「給与の種類により改定する時期は異なる」1,283人(2%)、「改定なし」27,888人(50%)だった。

 期間業務職員は、日々雇用の非常勤職員の任用・勤務形態を見直して設けられた制度であった。予算の制約もあり、一気に正規任用の職員のようにはいかないのだろう。
 この調査結果では、割合の数値にばかり目がいくのだが、例えば、日々雇用であった頃の日給扱いはどうなっているのか、その他の手当の支給状況はどうか、といったことまでは分からない。そこで、各省庁のッホームページから、期間業務職員を募集する要項で給与に関する記述を拾い読みしてみた。ざっとした印象でしかないが、基本給たる給与については、月給ではなく日給(給与日額)であった。しかも、給与に上下の幅がないものが大半であると思われる。手当に至っては、ほとんどが通勤手当と期末手当の支給のみであった。目についたところでは、環境省では、期間業務職員の給与について、「日給8,100円~9,580円(学歴・職歴等を考慮の上決定) その他 賞与、通勤手当、住居手当、扶養手当、超過勤務手当支給(当方規定による)、退職手当(国家公務員退職手当法の規定による)」としている。

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