84. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その2) [12.管理職手当]
前回、管理職手当の水準の教行対比を試みてみたが、これをどう考えればよいのであろうか。
管理職手当は、管理・監督の地位にある職員の特殊性として職務の困難性や高度の責任のほかに、実際上は超過勤務手当等の代替的な機能を担っているとされている。従って、俸給が同じであっても、それぞれの官職を個別に評価して給与上の措置を行う趣旨の手当であるから、本省内部部局の課長等が高い水準となっているのは当然なのだろう。
だが、それだけだろうか。人事院規則を見ても感じることだと思うが、支給割合の区分には組織階層や責任の度合いによって、部内秩序が構築されているといってよい。確かに行(一)適用官職相互間において、支給割合の区分と職務の級との均衡が組織階層を間に挟んで確保されているように感じる。が、そこに附属学校等の校長及び教頭の支給割合が並べられると、教(二)(三)の4級及び3級と格合わせにより対比される行(一)の級の水準と比べて明らかに低いものとなっており、違和感を覚えるのである。つまり、校長及び教頭に適用される支給割合の区分と格合わせにより置き換えた行(一)の職務の級との関係が、行(一)適用官職相互間において確保された均衡とは明らかにずれているのである。教(二)(三)の4級及び3級が行(一)の10級乃至9級であるとするならば、管理職手当の支給割合が4種又は5種というのはいかにも低く、少なくともワンランク落ちではないか。もっとも、管理職手当支給額の水準をどう評価するのか、という問題は別であるが。
83. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その1) [12.管理職手当]
次に、校長や教頭に支給される管理職手当(俸給の特別調整額)の支給率について行政職との対比を見てみると、俸給のそれと比較して相対的に低くなっているのではないか、といった辺りを考えてみたい。
まず、校長及び教頭に支給される管理職手当の相対的な水準を確認しておきたい。便宜上、国立大学法人化前の平成15年適用俸給表(平成14年12月改定)により対比することとし、いずれもベースとする号俸は中位号俸を基本とした。
<教(二)(三)の校長及び教頭に支給される管理職手当 平15ベース>
ベースとする号俸 学校規模 支給割合 管理職手当
高等学校の校長 教(二)4-8 474,800円 特大規模 4種16% 75,968円
〃 大規模 14% 66,472
〃 小規模 12% 56,976
高等学校の教頭 教(二)3-12 436,800円 大規模 5種12% 52,416
〃 小規模 10% 43,680
小中学校の校長 教(三)4-8 461,800円 特大規模 4種16% 73,888
〃 大規模 14% 64,652
〃 小規模 12% 55,416
小中学校の教頭 教(三)3-14 421,500円 大規模 5種12% 50,580
〃 小規模 10% 42,150
同様の手法で行(一)が適用される官職に支給される管理職手当の水準を確認し、対比を試みようと思う。しかし、国家公務員の実態をよく知らない者にとっては、様々な官職があって、これがなかなか難しい。とりあえず、格合わせの考え方で対比するとすれば、教(二)4級は行(一)10級、教(二)3級は行(一)9級、教(二)4級は行(一)9級、教(二)3級は行(一)9級ということになるので、これを意識しながら代表的なところで対比を行ってみたい。
<行(一)10級及び9級の職に支給される管理職手当 平15ベース>
ベースとする号俸 支給割合 管理職手当
本省庁課長等 行(一)10-8 457,100円 1種25% 114,275円
管区機関部長等 〃 2種20% 91,420
本省庁室長等 行(一)9-9 428,600円 2種20% 85,720
府県機関部長等 〃 3種16% 68,576
人事院規則9-17(俸給の特別調整額)別表に支給割合の区分が規定されているが、これを見ると、おおざっぱに見れば、県単位機関の課長や地方出先機関の長といったクラスで4種、更に小さな機関の課長や附属学校の事務長といったクラスで5種となっているようである。
<行(一)8級及び7級の職に支給される管理職手当 平15ベース>
ベースとする号俸 支給割合 管理職手当
行(一)8-11 399,700円 4種12% 47,964円
行(一)7-12 383,900円 5種10% 38,390