2. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その2) [1.旧教(二)(三)の作成]
もちろん、素人があれこれ詮索したところで完璧な旧教育職俸給表(二)(三)が作成できるわけではなく、無意味なことなのかもしれない。が、秘められた作成ノウハウの一端を探り当てることができるなら、専門機関である人事院の給与を担当する職員たちが公立学校教員の職務と責任について何を考え、どのような思想で俸給表を作成していたのかを伺い知ることにつながるだろう。
ヒントの一つは、全国人事委員会連合会の委託を受けて財団法人日本人事行政研究所が作成したいわゆる「全人連モデル」と呼ばれる旧教育職俸給表(二)(三)相当参考給与表の参考として示された参考資料「参考給与表と行政職俸給表(一)との対比表」にある。それは、平成18年4月制度改正~俸給表水準の引き下げと給与カーブのフラット化を中核とする給与構造改革の前後で教育職と行政職との俸給水準に変わりのないことを示したものであるが、我々の関心から見れば、意義はそれにとどまらない。
たとえば、教(二)2級と対比している行(一)の俸給月額と教(三)2級のそれとでは、大卒制度年数15年以上で額が違い、教(三)より教(二)の方が高くなっている。ここから、教(二)2級と対比している行(一)の職務の級と教(三)のそれとが異なっていることが容易に推測できる。
より詳細に見てみよう。
この対比表は、大卒制度年数5年刻みごとに教(二)(三)と行(一)のそれぞれの俸給月額を対比している。記載されている俸給月額からそれぞれの職務の級と号俸を平成18年4月改正前で確認すると次のようになる。なお、今後、行(一)の職務の級については、特にことわらない限り平成18年4月改定以前の11級制における職務の級とする。
<教(二)vs行(一)> <教(三)vs行(一)>
大卒制度年数 行(一) 教(二) 行(一) 教(三)
0 2-2 2-2 2-2 2-5
5 3-4 2-7 3-4 2-10
10 7-1 2-12 7-1 2-15
15 8-5 2-17 7-7 2-20
20 8-10 2-22 7-12 2-25
25 8-15 2-27 7-17 2-30
30 8-20 2-32 7-22 2-35
つまり、教(二)は行(一)の2級から8級まで、教(三)は行(一)の2級から7級までと対比していることが分かる。従来の教育職俸給表の経緯を踏まえたといわれる全人連モデルにおいては、教(二)は行(一)の8級を下らない給料水準、教(三)は行(一)の7級を下らない給料水準とし、それに変更がないように作成しているということである。
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