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4. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その4) [1.旧教(二)(三)の作成]

 ここで、ちょっと後戻りするようだが、旧教育職俸給表(二)(三)の作成に当たっての基本的な考え方を確認しておこう。
 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならないとされているが、義務教育諸学校の教育職員の給与については、いわゆる人材確保法に基づき、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならないとされている。
 この人材確保法は、田中角栄内閣の時代、昭和49年に制定された法律であるが、この法律制定後の人事院による最初の給与勧告において、旧教(二)(三)の作成にもかかわる重要な官民較差適用方式の変更が行われている。当時、教員及び看護婦についての給与の特別改善を行うに当たり、そのこととの関連で、従来の総合較差方式を改め、現行の行政職とこれに相当する民間職種との比較方式に変更されたのである。つまり、一部の職種を優遇するために、行政職をはじめ他の職種の給与水準を低くして原資を捻出することが困難と判断されたのだ。そして、これ以後、官民均衡が図られるのは行政職についてのみであって、他の俸給表については、行(一)との均衡を基本に改定が行われることとなった。以来、この方式が踏襲されているようである。
 人材確保法に基づく教員給与の特別改善が第三次改善により一応の完成をみた訳だが、その時に確立された行(一)との均衡の取り方というものは、その後変更を行うべき特別の事情がない限りは変更されないものと考えて良いのではないかと思う。(実際のところは特別事情はあったのであって、その後、本府省職員をターゲットとした行政職の特別改善が行われてはいる。)

 さて、昭和49年の人材確保法制定から今日に至るまでの間において、教(二)(三)と行(一)との対比を行う上で大きく影響を与える制度変更があった。それは、一つは平成4年度から実施された行(一)4級以上に昇格メリットを与えるために導入された一号上位昇格制度、二つめは教(二)(三)で行われた号俸間引きであろう。
 この制度改正の事情が、前に検討した職務の級及び号俸を大卒制度年数との関係において制度的に何かがあるのではないかと想像した大卒制度年数の5年から15年の間の号俸ピッチが5号俸になっていない事情とつながってくると想像できる。
 この点を確認してみよう。前回確認した昇格対応に基づく表から関係部分を抜き出すと次のようになっていた。
<教(二)vs行(一)>        <教(三)vs行(一)>
 大卒制度年数 行(一)         教(二)    行(一)         教(三)
     5     5号俸(3級昇格) 5号俸    5号俸(3級昇格) 5号俸
    10     3号俸(7級昇格) 5号俸    3号俸(7級昇格) 5号俸
    15     5号俸(8級昇格) 5号俸    6号俸        5号俸
 行(一)については、大卒制度年数10年のところは3号俸となっている。大卒制度年数5年から10年までに3級から7級に昇格しているが、その間の昇格メリットが4号俸あるため、それを考慮すると3号俸+4号俸=7号俸になる。一方、教(二)(三)はこの間で2号俸の号俸間引きが行われているため、その間引きが無かったとしたならば5号俸+2号俸=7号俸ということになり、行(一)と教(二)(三)でバランスがとれそうである。
 また、大卒制度年数15年のところを検討してみると、教(三)vs行(一)では、行(一)が6号俸となっているが、教(三)はこの間に1号間引きが行われていることを考慮するとバランスがとれていることになる。同様に教(二)vs行(一)では、一見5号俸づつとなっているが、行(一)には1号俸の昇格メリットがあり、教(二)にはこの間に1号俸間引きがあるから、これらの事情を考慮するとこちらも6号俸でバランスがとれていることになる。
 こうして見ると、一見ずれているように見えた教(二)(三)と行(一)との対比の仕方、職務の級及び号俸の合わせ方については、平成3年以前の俸給表の姿に戻せば単純な対比方法になっていることが確認できることとなった。


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