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8. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その8) [1.旧教(二)(三)の作成]

 11級制に改められて以降の教(二)(三)2級の平均改定率とこれに格合わせした行(一)の平均改定率の推移を見てみた。もっと詳細にみれば、若年層に配慮したり、売り手市場の民間賃金の動きを踏まえて初任給を改善したり、初任給の改善を抑えて中堅層に厚く配分したり…とその年その年の課題に対応するため、行(一)との均衡を基本に改定するとはいうものの、級構成がまったく違う教(二)(三)との対比関係は平均では均衡しても、号俸レベルでは微妙に食い違っている。この問題に首をつっこむときわめて技術的な話になると思うのでこの程度にし、平均改定率の推移で両者の対比関係を概観することにしたい。
 まず、平成3年は、行(一)の平均改定率が教(二)(三)の平均改定率に対して0.5~0.6%高くなっている。一方、平成4年から平成8年までは、教(二)(三)の平均改定率が行(一)の平均改定率に対して1.5%高くなっている。これをいったいどう見ればよいのか。
 平成3年の俸給表の改定についての人事院の説明では、民間企業の動向を踏まえた初任給の相当程度の改善を行ったことのほか、次のように言っている。
 「行政職俸給表(一)についていえば、初任給改善との関係や民間企業における配分傾向等を考慮して、若年層職員の改善に重点を置いた配分を行うこととし、併せて、本省庁職員を念頭に置いた改善を行うこととしました。…その他の俸給表については、行政職との権衡を考慮しつつ、それぞれの俸給表の特別な事情を勘案した改善を行っています。」
 ここでいう「本省庁職員を念頭においた特別改善」の実施が、行(一)の平均改定率を教(二)(三)の平均改定率に対して0.5~0.6%高くする結果をもたらしたのではないか、と推測できる。具体的な改定表はここに示せないが、行(一)の改定を見ると、若年層の職務の級である1~3級だけでなく、係長級以上である4級以上の各職務の級においても初号から2~5号俸では5.0~6.8%の高い改定率となっている。しかも、これを昇格対応号俸でみると、1級下位の職務の級の直近下位の号俸の改定率よりも昇格後に受ける号俸の改定率の方が0.5%程度高くなっている。例えば、3級5号俸の改定率が5.3%であるのに対して、昇格対応号俸である4級1号俸の改定率は6.8%と高くなっているが、その差は号俸が上がるにしたがい漸減し、中位号俸以上になると同率となり、さらに逆転する。これが、単に若年層職員の改善に重点を置いた平成2年の改定が昇格対応号俸でみると1級下位の職務の級の直近下位と号俸の改定率と同率になっていることと比較すると、まさに、行(一)の各職務の級の初号付近をわたって昇格していく本省庁職員=特にキャリアと呼ばれる官僚に昇格メリットを与えるための俸給表の改定であると言えるだろう。
 もっとも、同じメリットは教(二)(三)の3級以上でも行われてはいる。しかし、生涯教諭であることを前提とした2級について考えてみると、格合わせをする行(一)の各号俸は各職務の級を峰わたりした場合の号俸であるから、昇格メリットを付与するために嵩上げした改定率をそのまま教(二)(三)の2級に反映することはかえって公務部内全体の中でのバランスを崩すことになると考えられたのであろう。


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