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9. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その9) [1.旧教(二)(三)の作成]

 前回、平成3年の俸給表の改定では、行(一)の各職務の級の初号付近をわたって昇格していく本省庁職員=特にキャリアと呼ばれる官僚たちを念頭においた昇格改善が行われてきたことを見てきた。しかし、この昇格対応号俸の改定率を1級下位より有利に改定するような改善方法は、昇格対応を崩さない限り自ずと限界があるのであって、それは当然の結果として、平成4年から漸進的に実施された昇格制度の改善をもたらしたと考えられるのである。
 ここで、少し脱線するが、昇格制度の変遷を概観しておきたい。
 昇格とは、「職員の職務の級を同一の俸給表の上位の級に変更すること」であるが、当然、昇格に伴って俸給月額が上がるものと考えているが、昔はそうではなかった。15級制時代の俸給表は、いわゆる通し号俸制であったため、職務の級が異なっても俸給月額は共通していたから、昇格後の俸給月額は、昇格前の俸給月額と同額に決定されることになっていた。現在では、昇格に伴って必ず某かの昇格メリットが与えられることからすれば不思議な感じさえするが、その名残は、行(一)の新1級38号俸から新2級1号俸(旧2級4号俸から旧3級1号俸)に昇格する場合に今もある。昭和32年に俸給表が8等級制になった後、昭和37年に昇格時の号俸決定方法として、特定号俸未満は同額又は直近上位の額に、特定号俸以上は直近上位の1号上位の額に決定するという方法が確立し、同制度が30年続いた後、昇格メリットの向上を図る趣旨で昭和37年に導入された直近上位昇格制度の更に1号上位の号俸に決定する1号上位昇格制度が平成4年度に行(一)4級以上にに導入されたのである。
 この1号上位昇格制度は、教(二)(三)にも当然導入されたが、いずれも3級以上の職務の級へ昇格する場合であり、1級から2級への昇格には採用されなかった。以前、教(二)2級は行(一)の2級から8級までに、教(三)2級は行(一)の2級から7級までにわたっているという話をしたが、教(二)(三)2級の場合には、当然といえば当然だが、同一級であるために1号上位昇格制度による昇格メリット効果を与えようにも制度的に与えられないこととなった。行(一)と教(二)(三)との俸給表の対比関係としては、平成4年の昇格改善及び平成8年の号俸間引き以前に戻して比較すれば、ほぼ均衡を保っている訳であるが、実際問題としては、行(一)4級以上には昇格するごとに1号俸が累積していく昇格メリット、つまり、7級に昇格すれば累積4号俸分のメリット、8級に昇格すれば累積5号俸分のメリットが与えられるのに対して、生涯2級にとどまる教諭に対しては、行(一)との格合わせでは明らかに4級以上の号俸となっているにも関わらず、そのような昇格メリットは制度上与えられることはないのである。
 この点を意識しながら、次回には平成4年から平成8年までの行(一)と教(二)(三)の平均改定率の違いから何が分かり、何が考えられるかを見ていきたい。


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