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13. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その13) [1.旧教(二)(三)の作成]

 どうもこれまでは教(二)(三)の作成というより、行(一)との対比の議論の深みにはまったような感じであった。ここで、「作成」の方に議論を戻したい。
 これまで述べてきたことを念頭に置きながら、(その1)で説明したように、教(二)(三)の改定前の各号俸に行(一)の各号俸のその年の改定率を掛けて教(二)(三)の改定後の各号俸を計算の上、100円未満の端数を処理することとなる。ただ、その際、その年の改定率がすべての号俸で同率の改定であれば、単純に改定率を掛けて後は微調整するだけである。実際には、その年その年の民間企業の賃金動向を踏まえ、若年層中心であったり、中堅層中心であったり、職務重視を意識した改定であったり、給与カーブを変更するような改定となっている年の方が多い。
 具体的な俸給表の改定は毎年の改定表を見て確かめてもらうしかないが、2級のままの教(二)(三)に対し、対比する行(一)Ⅱ種は2級から7級あるいは8級までわたっているのであるから、単に行(一)の対比する号俸の改定率を掛けただけとはなっていない。平均改定率が同程度であっても、教(二)(三)の各号俸の実際の改定の姿は微調整が施されている。行(一)の各職務の級の対比すべき号俸を並べただけでは、教(二)(三)2級としてはなめらかになっていなかったり、一つの職務の級の給与カーブの姿を考慮したり、昇格対応関係-いわゆる双子、三つ子関係-なども意識しながら改定率を調整したりしているのであろう。この辺りは想像でしかないが、しかし俸給表作成の思想としては大事な点ではあろう。
 大卒制度年数5年ごとの俸給水準を押さえつつ、一つの職務の級ごとになめらかな、言い換えれば等比級数曲線として美しい給与カーブを形成し、次の職務の級の給与カーブにつないでいく…。そんなイメージを抱いている。
 例えば、昭和28年の人事院勧告の説明資料では、「新しい俸給金額の算定は給与準則の俸給表に適合するように行ったが、その基礎資料として職種別の民間給与額を調査し、独身成年男子の標準生計費の計算を行った点は従来と同様である。すなわち、民間の職種別の賃金を公務員の東京における本俸相当額に換算し、これを予め定めておいた格付基準表(第四表)に従って等級と号俸(通し号俸)に格付した。次に、各格付号俸についてそれらの値の平均を算出し、その分布に最もよくあてはまった線(最適線)としての等比級数曲線を最小自乗法によって求めた」との説明がある。さすがに、これはちょっと古すぎるか。
 以上、想像を交えて教(二)(三)の2級について考察してきたが、教(二)(三)には他に1級、3級及び4級があり、それぞれ独自の観点を加味する必要はあろうが、分析の手法自体は基本的に2級と同様と考えられるため、ここでは触れない。1級には1級の問題、3級には3級の特殊性、4級には4級の特長がある。それはそれで興味深いのではあるが、とりあえず、それらはまた別の機会に考えていきたいと思う。


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