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43.「職階制」小考察(その2) [4.「職階制」小考察]

 職階制は今も実施されていないのだが、人事院は何もしなかったのではなく、昭和27年末には格付表の作成をおおむね終え、昭和28年には給与準則案の国会及び内閣への提出までの準備は行ったらしい。しかし、結局その実施は見送られたのである。
 その際に作成された「職種の定義および職級明細書」が残っている。例えば、小学校の教員であれば、「教育」という職群の「小学校教育」という職種に属し、「1級 小学校教員」に格付けされている。職級明細書には、職級の名称のほか職級の特質が約1頁にわたって記述されている。詳細な職務分析に基づき…というぐらいだから、膨大な記述があるのかと思っていたが、職級明細書自体は案外簡単なもののように思える。まあそれでも、「児童の教育をつかさどる」との学校教育法の規定よりは、遙かに具体的にその職務と責任の特質を示す記述とはなっているのかなと思う。この「1級 小学校教員」という職級には、小学校の教員(教頭と思われるものも含んでいる。)のほかに、少年院における収容少年の更生教育を職務とする官職や教護院における収容児童の教護を職務とする官職が含まれているところが現在の教育職俸給表(三)と違っておもしろいところである。
 これだけ見ても、やっぱり職階制はよく分からない。ただ、それは決して位階のような身分の分類や能力主義的な等級制などではなく、官職=職務と責任によって分類するんですよという考え方を基本に据えようとしていたことだけは、確かなようである。
(国家公務員の職階制に関する法律)
 第6条 官職の分類の基礎は、官職の職務と責任であつて、職員の有する資格、成績又は能力であつてはならない。
 第8条第3項 格付に当つては、官職の職務と責任に関係のない要素を考慮してはならない。又、いかなる場合においても、格付の際にその職員の受ける給与を考慮してはならない。


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