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49. 行政職俸給表(一)の構造(その4) [5.行(一)の構造]

 前回、行(一)にはⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の3つの俸給表が組み込まれていると考えた傍証として、56歳昇給停止制度の俸給表構造への影響を考察したが、この点に関しては、人事院給与局給与法令研究会人事院給与局長鹿兒島重治編『改正給与制度詳説』(学陽書房、昭和61年)が参考になる。
 これによれば、8等級制から11級制度へと俸給表の等級構成が再編整備されるに至った重要な契機として、定年制の実施を第一に挙げ、その経緯を解説している。給与制度改定の検討過程で示された説明会配付資料(昭和60年5月)には、次のような下りがある。
 「定年制度の施行による在職期間の明確化等に伴い、標準的な職員の採用から退職までの公務員生活を想定した制度設計に基づき必要号俸数を設定」
 更に、従前は「各等級の号俸構成は在職者の実態を基準とした形で設定されてきたものであるが、昭和60年から定年制度が実施されることによっていわば職員の在職期間が明確になることになるため、職員の在職中の処遇の明確化を図る必要があった。」と指摘した後、「各等級の最高号俸の位置については、現行制度において昇給し得ることとされている年齢である57歳に見合う号俸まで設定することを基本として措置された」と述べている。
 この頃の昇給延伸・昇給停止制度は、56歳を超える職員の最初の昇給期間は18月、その後の昇給期間は24月とし、58歳を超える職員を昇給停止としていたのだが、そこに定年制が実施されることになり、3号俸を限度に号俸延長の措置が採られたようである。
 その後、平成2年に初任給基準が1号俸改善され、従って、俸給制度表上では1号俸づつ前倒しされる形となり、結果として昭和60年に最高号俸の位置を制度年齢57歳にいったん並べたラインが1年前倒しの56歳昇給停止のラインにそろった形となったのである。

 傍証の二つめの根拠は、「適用俸給表別、級別、号俸別人員」の表である。これは、毎年の人事院勧告の公務員会計の報告資料に掲載されている。ちなみに平成17年勧告の行(一)についてみてみよう。
 といったが、紙幅の関係でここには掲載できない。おおざっぱに見て1,000人以上の在職人員となっている号俸の束がある。これがおそらく行(一)Ⅱ種及びⅢ種であろう。大きな在職人員の束の行き着き先は、7級のわく外と8級のわく外であることが容易に分かる。それらの大きな束より早く昇格し、各級をわたっているグループがあるが、これが行(一)Ⅰ種であろう。試験区分別にこの「適用俸給表別、級別、号俸別人員」の表が作成されていれば歴然とするのだろうが、それは公表されていない。従って、あくまでおおざっぱなことしか想像できないが、おそらくそのような在職の実態があるといって良いのではないかと思う。


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