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71. トピック=ホワイトカラー・エグゼンプション [8.トピック]

 労働基準法の60年ぶりの大型改正となる「労働契約法」案とセットで政府が導入を目指してきた日本版ホワイトカラー・エグゼンプションの関連法案について、安倍首相は1月16日夜、25日招集の通常国会への提出を断念したとの報道があった。

「残業代ゼロ制度、関連法案提出は断念…首相が表明
 安倍首相は16日夜、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、管理職に近い事務職を労働時間規制から除外し、残業代をゼロにする「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制について、「残念ながらまだ国民の理解は得られていない。やるべき改革は行うが、国民の理解がなければうまくいかないものもあり、理解を求める努力を続ける必要がある」と述べ、通常国会への関連法案提出を断念する考えを表明した。
 法案提出断念の理由については、「働き過ぎを助長してはいけない。ましてサービス残業を奨励する結果になってはならないし、働く人の理解がなければ正しく動いていかない」と説明した。(2007年1月16日21時34分 読売新聞)」

 このホワイトカラー・エグゼンプションの本家はアメリカなのだが、適用対象となる労働者とは、エグゼキューティブ・エンプロイー、アドミニストレイティヴ・エンプロイー、プロフェッショナル・エンプロイー、アウトサイド・セールスマンなどとなっている。この中にどうも教員も含まれているらしいことから、日本版ホワイトカラー・エグゼンプションの範疇に教員が入ってくるのかどうか注目していたが、とりえず先送りとなった。
 以前、「教職調整額を支給し、労基法第37条を適用除外として、休日勤務手当や超過勤務手当を支給しないこととしている現行の教員についての勤務時間制度というものは、正に労働者を労働時間規制の対象外にする裁量労働制を35年も前に先取りしていたものと言えないだろうか」と指摘した。ホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入を巡って、「残業代のカットが経営側の本音だ」とか「過労死の温床になる」と労働側が批判しているが、今回の文部科学省が行った教員勤務実態調査の結果を見れば、そのことはすでに学校現場で証明されているといっても過言ではないのではないかと思う。

 昨日発売の「週間東洋経済(1月27日号)」は、「全解明 ニッポンの教師と学校」と題した特集を組み、最初に中教審教員給与WGに提出された各種資料を掲載しながら、「ひと目でわかるニッポンの教師」の記事を掲載している。そこでは、常態化する長時間労働や急増する精神疾患など、現代の教師が直面する過酷な現実を紹介し、更に、文部科学省が40年ぶりに実施した教員勤務実態調査の結果を示しながら、「ある範囲の労働者には労働時間規制を撤廃し残業代を支払わないようにする、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションの導入が議論されている。だが、教師は、まさにその制度を先取りされているかのうようだ」と指摘するのである。
 現実の教師の世界は、教職調整額を段階的に支給しようなどという机上の議論以前に、長時間勤務の改善が急務であることは明らかだ。様々なメディアでもっとこの現場の実態が広く紹介されてしかるべきだろうと思う。


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