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87. 管理職手当(俸給の特別調整額)(その5) [12.管理職手当]

 前回までの考察では、教(二)及び教(三)の適用される校長、教頭等の教育職員に支給される管理職手当の支給率は、教員に支給される教職調整額の影響を制度的に受け、結果として行(一)の適用される官職に支給される俸給の特別調整額の支給率のワンランク落ちとなっているのではないかとの仮説を提示した。
 管理職手当(俸給の特別調整額)は、「実際上の問題としてみれば超過勤務手当等の代替的な機能を担っている」(『公務員給与法精義』)と理解されているのだが、今述べた「支給率ワンラクク落ち」の観点から、改めて校長、教頭等の教育職員に支給される管理職手当(俸給の特別調整額)創設時の沿革を探ってみると、興味深いエピソードが残されていた。

 高校、中学校、小学校の校長に対して昭和33年から管理職手当を支給することを巡って国会で審議された経過の中にそのエピソードはある。国会会議録から引用してみよう。
<昭和33年6月24日開催の衆議院文教委員会>
「○内藤政府委員 御指摘のように管理職手当につきましては、経過的、沿革的には確かに御説のように超勤手当の振りかえによった分がございます。この点は国家公務員についてもあるいは地方公務員につきましても同様でございます。しかし管理職手当は、イコール超勤の振りかえではございません。すでに国立の大学の学長、学部長、病院長、研究所長等には管理職手当が支給せられておるわけであります。御指摘のように超過勤務手当が調整号俸で解決された上に、さらに学長、学部長、病院長、研究所長には管理職手当が支給されているわけでありますが、今回は高等学校以下の校長に管理職手当を支給するわけであります。そこでお尋ねの管理職手当の関係は、そういう調整号俸があるために、学長、学部長、病院長等の管理職手当の率は、普通ですと一八%あるいは二五%が適当でありますけれども、その調整号俸が考慮されましたので、率が一二%になっておるのでございます。高等学校以下につきましてはさらに七%、こういう状況でございます。」

 校長に対する管理職手当の支給は、当時の政治状況から色々と国会で問題にされたようだが、教員給与制度を考える観点からいえば、当時の文部省初等中等教育局長答弁が正しいのならば、前回までのこのノートの問題意識に通じるものがあると言えるのではないだろうか。
 すなわち、校長、教頭に対する管理職手当(俸給の特別調整額)の支給率は、創設当初は、調整号俸を支給しているが故に行(一)の適用される官職の支給率より低く抑えている。更に給特法制定後においても、教員給与の特別改善により若干の引き上げはあったものの、沿革的経緯を引き継ぎ、教職調整額の制度的な影響を考慮して、やはり行(一)の適用される官職の支給率より低く抑えたままとしているのではないかと思うのである。


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