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99. 役職段階別加算割合(その3) [13.役職段階別加算]

 この退職手当の調整額で総務省が行(一)との均衡を図るベースとした期末手当及び勤勉手当の役職段階別加算割合についてだが、そもそも、人事院は、教(二)(三)の役職段階別加算割合については、管理職手当(俸給の特別調整額)と同様に、行(一)よりワンランク下位の率にすることで均衡が図れるのだと考えて設定した側面があるのではないか、と思う。教(二)(三)の各職務の級を行(一)の各職務の級と格合わせした場合と比較すると、教(二)(三) の各職務の級の役職段階別加算割合は行(一)の各職務の級のそれよりも明らかに低くなっている。実際、その他の俸給表と対比してみても概ねワンランク下位の率となっていることが分かる。

 期末・勤勉手当は民間でいえば賞与に当たる。賞与が、「職責の大きさ×勤務実績」を基礎として支給すべきものであるとするならば、教(二)(三)については、行(一)の役職段階別加算割合よりもワンランク下位の割合とすることで、期末・勤勉手当基礎額が同程度の水準となり、バランスが保てると考えたのではないか。
 すなわち、教(二)(三)に役職段階別加算を行う場合、教(二)(三)の本俸には時間外勤務手当の代替えとしての側面を有する教職調整額が加算されているから、行(一)があくまで正規の勤務時間に対する報酬をベースに考えているのに比べて、教(二)(三)が有利になりすぎることになるのだ。より正確に言えば、教員の職務の複雑さや責任の度合い、困難性については、本俸に教職調整額を加算して期末・勤勉手当の基礎額に既に反映しているのだ。それに加えて役職段階別の加算を行おうとする場合に教職調整額をその基礎に含めることは、役職加算の趣旨と重複している部分があるのであると考えたのではないだろうか。
 従って、いわば重複評価をしている教職調整額分を役職段階別加算額から控除して役職段階加算割合を逆算して設定する必要がある。簡単に言えば、俸給月額に同格の率を掛けた額を俸給の月額(俸給月額+教職調整額)で割り戻すべきということだ。
  <教(二)(三)の役職段階別加算割合>
   5% + 4%×1.05 = 9.2%→概ね10%相当
  10% + 4%×1.10 = 14.4%→概ね15%相当
 計算結果は、上のとおりである。本来、行(一)みあいで10%相当であるならば、実際の役職段階別加算割合は5%でいいということ。役職段階別加算割合を10%とすれば、行(一)みあいで15%相当の効果を持つということである。
 このように考えることが正しいとするならば、一般の公務員とは大きく異なる給与制度を採用している公立学校教員について、公務貢献の度合いを単純に役職段階別加算の割合で比較をするというのは酷というものだろう。教職調整額が支給される教(二)(三)と行(一)について、その貢献度を比べようとするならば、教職調整額が期末・勤勉手当に及ぼしている働きを考慮し、役職段階別加算の割合によってではなく、本来は本俸の行(一)との均衡を基本とした対比を行うのが筋であろうが、賞与が「職責の大きさ×勤務実績」を基礎として支給すべきものであることを踏まえ、せめて役職段階別加算の額によって比較しようとするのが制度的に公平な在り方なのではないかと思う。(もっとも、教員に対する退職手当の水準は、退職手当の基本額の算定基礎に本俸的給与としての教職調整額を含めることによって既に有利に取り扱っているとの見方もできそうではあるが…。)


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