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131. 産業教育手当(その4) [17.産業教育手当]

 前回まで見てきたように、産業教育手当の趣旨を端的に言えば、「優秀な人材の確保」であり、その手当の性格は、「特殊勤務手当的」な性格と「俸給の調整額的」な性格を併せ有する特別の手当と捉えてよいようである。

 ここで、もう少し詳細に確認するため、いわゆる産業教育手当法が国会で審議されたときの議論を見ておきたい。
 まず、昭和32年4月4日衆議院文教委員会において、この法律の提案者である自由民主党赤城宗徳の趣旨説明を抜粋してみる。

「○赤城委員 (略)
 産業教育の振興につきましては、さきに産業教育振興法の制定以来見るべきものがありますことはすでに御承知の通りでありまして、同法に基く国庫補助金により特に産業教育閑係の高等学校の施設、役傭が充実されつつあることは、御同慶の至りであります。しかしながら、教育の振興は、施設設備など物的な面の充実のみでは達成できないのでありまして、教員に優秀な人材を得ることがぜひとも必要なのであります。しかも、産業教育におきましては、その勤務の特殊性から見まして、その資格、定員、待遇等につき特別の措置を高ずる必要があるのであります。
 産業教育振興法におきましては、特にこのような観点から第三条の三において「産業教育に従事する教員の資格、定員及び待遇については、産業教育の特殊性に基づき、特別の措置が講ぜられなければならない」と規定しているのであります。ところが、教育職員免許法で資格についての若干の配慮がなされたのみで、待遇については、今日まで何らの措置もとられなかったので、あります。
 そこで、本案は、この規定に基き、農業及び水産関係の教員の待遇について特別の措置を講じようとするものであります。
 従来、農業、水産に関する教育は、第一次産業に直結するきわめて重要なものであるにもかかわらず仕事がじみであるため、とかく敬遠されがちであり、さらにその勤務の内容は、自然的条件に支配されやすく、かつ、生物を相手とするものでありまして、時間を超越し、寸時もゆるがせにできない性質のものであります.たとえば、高等学校の農業科の教員は、農場、畜舎等において作物、家畜など、生命を持つものの栽培や飼育等を担当し、その管理の責任から寸時も解放されることはないのであり、さらに、生徒の教育に際しましても、これらの、栽培や飼育の実習等、他の一般の教科よりも極度に困難な実習を伴うものなのであります。また、水産科の教員は、生徒の教育のほか、実習船、和船、カッターを始め海中に設置した漁具、水中に養殖中の生物、製造工場の管理等特に困難かつ複雑さを伴う業務に当らなければならない責務を有するものであります。従って、これらの責務から生ずる早朝、夜間の作業、天候異変、疾病等に応ずる細心周到な要する適時適切の措置などその勤務は、全く特殊なものでありまして、これらの勤務に服する者に対しては、当然特別措置を講ずる必要があると考えられるのであります。(以下、略)」


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