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175.残業時間の再評価(その1) [21.残業時間の再評価]

 ところで、財政制度等審議会が去る6月3日に「平成21年度予算編成の基本的考え方について」の建議を行った。その中で、義務教育費国庫負担金について、次のように述べている。
 「イ.義務教育費国庫負担金
 ② 教職員給与の効率化
  (略)
 また、平成18年度(2006年度)の「教員勤務実態調査」によれば、教員の残業時間が、昭和41年度(1966年度)の「教職員勤務状況調査」における残業時間よりも長くなったと指摘がある。しかしながら、昭和41年度調査では、調査結果に見直し・再評価を加えているものであり、平成18年度調査においても同様の見直し・再評価を行えば、必ずしも昭和41年度調査を上回る水準であるとは言えない〔資料Ⅱ-4-8参照〕。
 教員の業務負担の軽減に努めるべきであり、給与の増額は適切ではない。」
 添付資料では、次のように指摘している。
 〔資料Ⅱ-4-8参照〕
  勤務状況調査の比較(小中学校加重平均)
  昭和32年度調査(1日平均10:41)
  昭和41年度調査(1日平均9:19)
  平成18年度調査(1日平均10:21)
 昭和41年度の「教員勤務状況調査」は、
 「服務時間外でも学校敷地内における勤務は、原則として調査対象としたが、自主研修、付随関連活動(関係団体等)及び宿日直勤務については調査対象としなかった」もの。(文部省編「教育職員の給与特別措置法解説」第一法 規出版(昭和46年))
 「教員自身の申告に基づくものであるが、これを、職務の緊急性を考慮し、超過勤務命令をかけるという観点から見直し」たもの。(同上)
 実際、教員自身の申告である昭和32年度調査と比較してみると授業準備・研修等といった間接的な業務が大きく減じられている。」

 この〔資料Ⅱ-4-8参照〕に示されている昭和41年度調査の「1日平均9:19」及び平成18年度調査「1日平均10:21」はどうやって計算したのだろうか。財務省の主計官が文部科学省の調査を元に再計算したものと思うが、ちょっと考えてみたいと思う。
 そこで、棒グラフを見てみると、8時間45分のところに線が引かれていて、この腺を超える部分を「残業時間」と定義していることが分かる。
この棒グラフから逆算すると、平成18年度調査の1日平均残業時間は、10時間21分から8時間45分を引いた1時間36分となる。これを、月平均残業時間に換算するため21倍すると、33時間36分となる。当然ではあるが、文部科学省の主張する34時間に近い時間となっている。
 次に、昭和41年度調査の残業時間を逆算してみる。1日平均勤務時間9時間19分から8時間45分を引くと34分となる。これを21倍し、月平均残業時間を算出すると11時間54分となる。約12時間と考えてよいと思うが、こちらのほうは、8時間と説明されてきた昭和41年度調査当時の残業時間数よりも長い時間となっている。
 この約12時間という残業時間は、超過勤務命令をかけるという観点から見直しを行う前の残業時間なのだろうか。8時間を仮に4週間で割り戻すと、週2時間の残業時間となり、約12時間を仮に4週間で割り戻すと、週3時間の残業時間と理解していることになる。これを、宮地茂監修『教育職員の給与特別措置法解説』に掲載されている昭和41年度の調査数字によって確認しておきたい。次回に具体的に考察する。

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