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182.定時制通信教育手当(その2) [23.定時制通信教育手当]

 今回は、国会に「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案」が提案された際の提案理由を確認したい。少し長いが、会議録を引用する。

<昭和35年3月15日参議院文教委員会>
○国務大臣(松田竹千代君) 
 (略)
 高等学校の定時制教育及び通信教育は、働きながら学ぶ青年に対し、教育の機会均等を保障する目的をもって戦後制度化されたものでありまして、勤労青年の基礎学力や職業技術その他の資質の向上に重大な役割を果たすものとして、都市、農村を問わず各方面から広く支持されてきたものであります。その後、各般の困難にもかかわらず、関係者の非常な努力によりまして、発足十余年を経過しました今日、ようやくその基礎が固まってきたものであります。政府といたしましても、これら教育の振興につきましては特に意を用い、施設、設備の整備等についてできる限りの努力をいたしてきたのでありますが、この際、一そうの充実強化をはかるためには、施設、設備の整備を一段と強化するとともにその教育に直接従事する校長及び教員の待遇につき特別の措置を講じて、優秀な人材を確保することが特に必要であると信ずるのであります。
 御承知のように、定時制教育には、夜間に授業を行なうものと昼間に授業を行なうものがありますが、夜間に授業を行なうものにおきましては、夜間勤務に伴う過労や病気など健康上の障害、のほか家庭生活上の不便も多いのであります。また、昼間に授業を行なうものにおきましても、学校は辺地などにおける地域の中心的教育施設としての特色と使命を有し、単に校内指導にとどまることなく、家庭実習、現場実習などの校外指導にも重点を置かなければならず、勤務量の負担がきわめて大きい実情であります。
 また、通信教育は、通信手段という新しい方法を用いて教育する特色のある制度でありますが、その教育には、添削指導、日曜日などの休業日における面接指導、辺地などの遠隔地における巡回指導もあわせ行なう必要があり、その勤務は容易ならぬものがあるのであります。さらに、定時制教育、通信教育を通じて、勤労と学習とを同時に遂行する生徒を対象とするため、生徒の学習や生活の指導には種々の困難を伴う現状であります。
 以上申し述べました実情にかんがみ、これらの教育に携わる校長及び教員に対し、その労に報いて専心その職務に精励できるようにするとともに、優秀な人材をこの方面に誘致し、確保し、もって定時制教育及び通信教育を振興するため、このたび定時制通信教育手当を支給する措置を講じようとするものであります。

 「夜間勤務に伴う過労や病気など健康上の障害、のほか家庭生活上の不便も多い」ということも理由の一つに挙げているようであるが、全体としてみれば夜間手当というものではなく、前回取り上げた『地方公務員給与制度詳解』(学陽書房)がまとめているように、この定時制通信教育手当は、定時制教育・通信教育に携わる者の職務の複雑性・困難性に着目するとともに、この分野への優秀な人材の誘致を目的として支給しているものと理解してよいであろう。

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