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183.定時制通信教育手当(その3) [23.定時制通信教育手当]

 定時制通信教育手当が夜間手当でないことについは、「事務職員にも支給すべき」とする質問に対して、当時も文部省初等中等教育局長である内藤譽三郎が次のように答弁している。

<昭和35年3月16日衆議院文教委員会>
○内藤(譽)政府委員 このたびの法律によりまして定時制通信教育手当を受けない者は事務職員のみでございます。事務職員につきましては、夜間に勤務しておるという点においては確かに同じでございますけれども、本来この定時制通信教育という教育の形態は、全日制の学校と違いまして非常に複雑である。単に夜間ということだけでなくて、昼間の場合もそうですが、少人数で、通常の教育課程ではございませんので、生徒の生活指導からあるいは校外指導その他家庭訪問、あるいは家庭及び職場における教育との関連性の問題、その他幾多の複雑な問題があり、教育上困難である、こういう理由に基づきましたので、事務職員は、これは一般の夜間に勤務しておる職員と同じでございまして、事務職員まで含めますと、この問題は相当広範囲に及びますので、各種の公務員にも関連のあることでございますので、今回は定時制通信教育という特別の教育形態に沿いまして、これに対する手当を支給することにいたしたわけでございます。

○内藤(譽)政府委員 (略)
 ただいまの定時制、通信教育手当につきましては、実は夜間手当のような形でしたら、私は小牧委員の御質問はまことにごもっともだと思うのです。しかし今回の定時制、通信教育手当というのは夜間手当ではございませんで、定時制、通信教育の特殊性に基づいて支給するものでございます。現実に定時制の先生のうちの六割が夜間の先生でございまして、四割は昼間の先生でございます。この場合に、夜間、昼間を問わず、また通信教育の先生方はほとんど昼間でございますが、こういう場合になぜこの手当を支給するかと申しますと、定時制教育というのは全日制の教育と異なりまして、どうしても職場と学校との一体性が考えられなければならぬと思うのです。ですから、学校の方で基礎的なものをやり、うちへ帰って、あるいは職場において、そこでいろいろと実習計画が進められるわけです。先生方が、学校の授業だけでなく、職場の教育計画との関連を考えていろいろと指導される、また子供たちの複雑な生活環境の中で生活指導をするという点にも、非常に困難と複雑さが伴うという趣旨でこの手当を創設いたしたい、こういう趣旨でございます。
 この場合、事務職員はそれではどうかと申しますと、先ほど申しましたように、これが夜間手当で夜間勤務する者にということなら一つの理論が成り立ち得ると思いますけれども、今申しましたように、定時制、通信教育手当という特殊な性格を持ち、その教育の困難性に基づいてやるのだ、こういう趣旨でございます。事務職員は今申しましたような趣旨の教育をしているわけじゃない。ただ夜間勤務しておるというだけです。この夜間勤務するということは、定時制、通信教育のみならず、一般の事務職員も同じように感ずるいやな勤務だと思います。ですからその面にも波及してくる問題でもあろうと思うのであります。それから現実に申しまして、事務職員でも、学校数で申しますと、通信教育と四割の昼間の定時制がございますが、この昼間の定時制の職員に手当を出すことは、今度は全日制の事務職員にも波及するという問題になってくると思います。私どもはその線をどこに引くかと申しますと、これはあくまでも定時制、通信教育の特殊性、あるいは困難性、複雑性に基づいて支給するのだ、こういう明確な線を引いておりますので、事務職員に波及することは私どもは差し控えたわけでございます。

 文部省は、「定時制通信教育手当は、夜間勤務手当ではない」という立場で一貫しており、引用した以外の機会にも同様の答弁をしているようである。

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