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187.古書散歩(その2)=『給与関係法令集』 [24.古書散歩]

 大蔵省給与局の編集による昭和24年4月刊行の『給与関係法令集』(学陽書房)がある。この本は、戦後、朝令暮改に明け暮れ、複雑、不統一な給与関係法令を整理して、給与実務担当者向けに編まれたものである。
 手元にある本は、スローファイヤーが進行して、各用紙の周囲の1センチメートル程度の幅は、かなり変色し、もろくなっている。
 この中に、職務による級別区分の基準(昭和23.4.30給本発第4号)というものがある。これは、15級制時代の俸給表における級別職務分類基準を示したものであろうが、この基準を見てみると、いかにも時代が感じられる記述となっている。いくつか拾ってみる。

 一級職
 使い走りや、官庁内の書類の伝達等その都度指図を受けて、命令通りやるだけで、それ以上の責任のない最も単純で容易な仕事を行う職務で、そのために特別の修習、経験及び体力を必要としないもの。
 三級職
 (4) その都度指図を受け又は予め定まった順序に従って、最も単純で定型的な書記的事務を命ぜられた範囲内で行う職務で、中等学校卒業程度若しくはこれと同程度と認められる教育又は若干の実習見習を要するが、その職務を行うに当つて自ら新たな判断を下す必要のないもの。
 五級職
 (3) 単純ではあるが、特に甚だしく体力を要する仕事、特に著しく疲労を伴う仕事又は常時普通以上の危険の伴う仕事に主として従事する職務
 六級職
 (5) 中央官庁又は地方大官庁において単純で定型的な書記的事務を主として処理する小さな係の長として、その係の事務を指揮監督する職務

 現在の行政職俸給表(一) 級別標準職務表を見ると、まったく様相が違っている。
 1級 定型的な業務を行う職務
 2級 1 主任の職務
    2 特に高度の知識又は経験を必要とする業務を行う職務
 3級 1 本省、管区機関又は府県単位機関の係長又は困難な業務を処理する主任の職務
    2~3 略

 前者の基準は、職階制の実施を目指した国家公務員法制定まもない頃の時代的要請を反映してか、後者の基準に比べると、はるかに分析的な記述になっている。

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