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192.古書散歩(その6)=『新俸給制度詳解』 [24.古書散歩]

 俸給表の構造を考える上で、いくつかポイントがある。初任給の号俸を含んでいる職務の級の初号が初任給の号俸であることは、採用試験とセットで考えると比較的理解しやすい。現在の制度で言えば、例えば、国家公務員採用I種試験の対象となる官職は、「行政職俸給表(一)の職務の級二級の官職」などの官職とされており(人事院規則八―八(採用試験))、I種試験合格者の初任給については、行(一)2級1号俸と定められている訳である。
 では、その2級1号俸の1級に対する位置関係はどのようにして決まるのだろうか。また、現行3級以上の初号の位置はどのようにして定めたのであろうか。これまでの考察で、級別資格基準が関係していることは分かってきた。平成2年に初任給基準か改善される前は、級別資格基準のラインと大学卒又は高校卒でみた場合の各職務の級の初号の位置とはぴったり一致している。
 このあたりの事情を説明している書物がある。15級制から8等級制に移行した際に出版された、『新俸給制度詳解』(著者/瀧本忠男・慶徳庄意・船後正道、学陽書房、昭和32年発行)である。この学習ノートにとって大切な部分なので、次に少し引用しておこう。

 「従つて、等級別資格基準表に定められている資格要件は、新給与制度の運用上の必然性から生まれて来るものであるから、その内容は、当然にそれぞれの俸給表の作成理念とその構造及び従来の給与制度の運用との関連から導き出されたものであるということができる。/この関連を、行政職俸給表(一)の等級別資格基準表に例をとつて次に述べてみる。/行政職俸給表(一)においては、一等級を次官、長官、二等級を本省の局長、部長、三等級を本省の課長、四等級を本省の課長補佐、五等級を本省の係長、六等級を地方の係長、七等級を上級係員、八等級を初級係員といつたように、標準的に各級に格付けられる最も基本的な職務を考え、それらの行政組織上の位置、任用の実態、従前の給与の運用等を参照として俸給表が作成されている。従つて、等級別資格基準表は、その俸給表の構造から作成されることとなり、俸給表と等級別資格基準表とは表裏一体をなしている。すなわち、等級別資格基準表を想定しつつ、俸給表が作られ、その俸給表の運用の手段として等級別資格基準表が作られたのである。/その関係は、次の表のとおりとなる。」

 引用文でいう「次の表」は、このノートでは省略するが、その表には「一等級下位の初号からその等級の初号に達するまでの昇給期間」と「等級別資格基準表の年数」との関係が示されている。ずれている部分の注意書きもある。
 この書によって、これまでの考察内容が間違ってはいなかったと確認できたと言ってよいであろう。

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